ハム 2004.03.20
あなたはハムという言葉をご存知だろうか?
ボンレスハムとか滝沢ハムではない。アマチュア無線のことである。
 「アマチュア無線って何?」
そう、そういうふうに反応してくれないと困る。 
私自身、まさに絶滅危惧種と思っていた。
昨日、駅前の本屋で息抜きに「諸君」を手に取り、吐き気を催す中国の策略の記事を立ち読みしていた。本屋によって本の種類の並びが異なる。通常は「諸君」の近辺にはそれに類した雑誌、たとえば「正論」とかがあるのだが、その本屋ではそれを戻そうとした時に数センチ離れたところに「CQ」という雑誌があるのが目に入った。
オオ、まだそれは生き残っていたのだ! 感動である。
CQとは無線通信の呼びかけの言葉である。
ちなみに、インターネットの(藁)に相当するのはHIである。
私の数少ない趣味の中に・・・・正確に言えば過去には趣味であったのだが・・・・アマチュア無線というものがある。
実は私は2アマなのだ。といっても知らない人は何も知るまい。
アマチュア無線には1アマ、2アマ、3アマ、4アマとランクがあり(今は違うのかもしれないが)2アマといえばモールスもできて、アマチュアに許された全周波数帯での通信とHFやVHFでは100Wまでの出力が許されるかなりな位置づけだったのである。自慢ではないが(というと大体が自慢なのだが)私は相当早いモールスでも聞き取ることができた。もちろんアルファベットだけだが・・・・日本語でモールス通信をしている人は20年前でも見かけたことがない。
みんな車にこんなのを付けていた 私たちが若い頃、遊びに行って仲間同士で連絡するための小道具はアマチュア無線だった。正直なところアマ免許なんて持ってなくてもみんな無線機を使っていたものだ。もちろんそれは違法である。
でも、山に登って小出力でどこまで届いたかなんて競ったのは20年いやそれ以上前のお話である。
アマチュア無線で行っていた事というのはすべて新しく表れた種々の道具に取って代わられた。
道不案内のところを走っていて、近道や混雑状況を地元のハム(ローカルという)に教えてもらう役は、GPSという強力な武器が取って代った。
走行中の車同士の連絡とか混雑した観光地で集合するための手段としては、今じゃ携帯電話というものすごい道具があります。
遠い異国の人とお話がしたいという目的にはインターネットがあります。誰かと巡り会えるかどうかさえわからずに、深夜一人であてもなく周波数を切り替えて探したなんて・・・・信じられない!

宇宙人からの電波を探すより確率が低いかも 

今じゃ、どんな趣味あるいは議題でも掲示板やニューズグループというツールがあります。英語ができれば話し相手に困ることはありません。残念ながら私は英語が得意ではありません。

ハムは趣味の王様なんて表現もありました。俗世間で王侯貴族が消滅していくと同様に、趣味の王様も消え去るのみか?
前振りが長かったですが、アマチュア無線なんてとうに消え去ったのとばかり考えておりましたが、まだまだ生き残っていたのです。


JA●XXX

●●無線クラブ

早速その雑誌を手に取りました。厚さは30年前の半分以下、いや3分の一でしょう。本の後ろは昔と同じく水晶発振子やLCR、TTLなどの部品やアマチュア用の計測器の広告が細かい文字で並んでいます。その少し前は各地のグループが「JA○XXX」なんて書いた旗の前にメンバーが並んで「今月どこどこでミーティングします」なんてこれまた30年前と同じ形式で写っています。
表表紙、裏表紙を見ますと、さすがに30年前とはメーカー名は相当変っております。かっては商売敵だった2社が今では合併(吸収?)して連名の会社となっていたり・・・・・
しばし懐かしい思いに浸ったのであります。

ところで、ここで終わったのではあまりにもつまらない。
以前、有事になれば携帯が使えなくなるなんて騒いでいた有事法制反対論者がいましたね、
有事になれば何事も自力でものごとを進めなくてはなりませんよ、あなた。
そんな時のためにアマチュア無線を見直そうというご提案でございます。
前半だけではアマ無線愛好者から刺客が差し向けられるかもしれませんが、これからの文章をお読みになればアマ無線愛好者あるいはリグ製作会社からお褒めの言葉がいただけるかと・・・・・
アマチュア無線はどこでも誰でもできます。携帯電話の基地局が破壊あるいは停止しても大丈夫!
携帯電話は基地局が停止すれば重い時計にすぎませんが、無線機はスタンドアロンで機能します。
商用電源(100V)が止まっても大丈夫! 無線機は電池でも動きます。
これを1台もっていれば仲間同士で話ができます。
到達距離ですか? 周波数帯とアンテナによりますが144MHz10WのSSBならば30キロは大丈夫でしょう。430MHzでは見通し距離かな?
見通し距離とは目で見える範囲のこと、波長の短い電波は光と同じ性質だから見える範囲には届く、山の陰になると通信できません。
波長が長ければ波の性質ですから山の陰でも大丈夫ですが、そうするとアンテナが大きくなり・・・あちら立てればこちらが・・・なのです。
今ではこんなに小さくなりました 第三者に傍受(盗み聞き)されることは? そりゃあります。でもね、30年前、144MHzなんて200チャンネルスキャンして空いているのがほとんどない状態でしたが、今じゃ通信している人はまずいませんよ、心配でしたら7Mくらいなら絶対間違いありません。でもそうするとアンテナから移動は困難でしょう?
携帯電話やPHSでは所在地を探すことができるのは通信範囲が狭く、基地局から簡単に所在が割り出せるからです。一方一般の無線通信はまあ、簡単に所在はつかまりませんよ。ほんの短時間の発信でしかもある程度の速さで移動していれば発信源を探そうとしてもまず大丈夫です。
フォックスハンティングなんて電波を連続的に出しているからこそ見つかるので、短時間小出力の連絡ならまず捕まりませんよ。
有事の際は携帯が使えないとご心配することはありません。どっちにしても携帯では盗聴といいますか、所在地を含めて監視することは簡単です。
だからこそ有事の際の通信にはアマチュア無線を! まさに携帯時代だからこその逆転の発想であります。
冗談抜きに、有事法制を心配している人々は一家に一台無線機を置いたほうが良いかもしれません。
一番の欠点は、通信相手がアマチュア無線機を持っていない可能性が大なことです。  
お断りしておきますが、アマチュア無線機を使用するにはハム免許と無線局の免許がいります。免許なしで無線機を使用するのは電波法違反です。
とはいえ非常時には免許がなくとも使用できることになっています。
もっとも中国軍や北朝鮮軍が侵攻してきたときに、電波法なんて言い出す人はまずいないでしょう 
映画で第二次大戦後の東ヨーロッパで共産主義に反対する人々がノイズだらけの無線機で連絡を取り合う姿を見たことがあります。あれから半世紀たった今、日本で侵略軍に隠れて無線機を使う時代がきませんように!



本日の提案


有事に携帯電話が使えなくなるとご心配の方は今すぐアマ無線の免許を取り、ハンディ機をひとつ買っておきましょう。
みんな携帯を使っている時代にアマ無線はカッコいいかもしれません?




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