手のひら 2 2007.08.26

高物好みの娘と違い、家内は安っぽいものを買うのが好きだ。
それも店頭でよりも、カタログ誌とか新聞の折り込み広告を見て通信販売で買うのが楽しみで、常日頃買い物をしている。具体的な品目としては、家具、ふとん、小物類、部屋に飾るものなどなど、まあそんなに金はかからないので目くじら立てることはない。
これが高額なアクセサリーなどジャンジャンと買われたのでは、夜逃げしなければならない。
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私の悪口を書いて
はいけませんよ!

ところが家内の買う家具は安物であるうえに、ノックダウンが多い。ノックダウンとは叩きのめすことではなく、組み立て式家具のことである。
組み立て式といっても高級な家具なら接合部に金具を使ったりしているのでちゃんと仕上がるのだが、安物はそうはいかない。まあいいかげんさはハンパではないのだ。

つい先日も戸棚を買った。もちろんノックダウンで家内の手に負えるわけがない。家内は甘い声で「今度の休みに組み立ててね」なんていっちゃって・・・
まあ、しょうがない、組立図を見ると、底板と側板は下からねじ止めであるが、天板と側板はダボでつなぐ。

お断りしておくが、私は昔木工をしたこともある。丸鋸盤とかルーターなんていう機械も使っていたし、塗装だってスプレーだってオイル仕上げだってした。シルク印刷なんてのはプロである。
お間違えないように、プロ級ではない。プロだったのである。 

まあそういう過去の自負もあって組み立て開始となった。ところがその家具のつくりのいい加減さはハンパでない。ダボというのをご存じだろうか? 
ダボ継とはつまりこういうものだ

太さ1センチ長さ数センチの木の丸棒で接合する双方に丸穴を開け水性の接着剤をつけて差し込みつなぐという、古来からの方式である。だから当然穴はきつくなければならないし、更に水を含んで木が膨らむことを計算して穴の径を決めなければならない。あたりまえだが材質が合板とかパーティクルボードであるとかによって、穴径は変えなければならない。
ところが、この組み立て式家具の穴とダボはズボズボで、押さえが効かない。我が家にはハタガネもなければゴムバンドもない。家の中を探したが役に立ちそうなものがなく、梱包用のひもとテープで押さえておくしかない。
こんなことで大丈夫だろうか? 懸念が黒雲のように・・

一般的に家具の直角は裏板で出す。いくら天板、底板、側板を組んでも直角にはならない。建物ならすじかいだろうが、家具では4面の板の直角を出して裏板を固定するのがセオリーである。ところがこの組み立て式家具の裏板は天板・側板・底板に切られた溝に入れるだけ、更に言えば裏板は1枚だと輸送ができないものだからなんと4分割である。もう直角を出す方策がない。
ともかく形にはなったが、私の自尊心もできばえもだいぶ落ち込んだのである。

te.gif 終わった、終わったと風呂に入ると手のひらがしみた。見るとねじ回しを使ったもので、手のひらの皮がむけ血がにじんでいた。

ああ、昔は手のひらが固かったのにおれはもう役に立たなくなったものだと軟弱になった自分を嘆いた。



本日の教訓

老化は足から、軟弱さは手のひらから・・・


なぜ、「手のひら 2」なのかと言えば、手のひらパートワンがあるからである。
昔は、真面目なことを書いていたと改めて反省



Yosh師匠からお便りを頂きました(07.08.27)
ところがこの組み立て式家具の裏板は天板・側板・底板に切られた溝に入れるだけ、更に言えば裏板は1枚だと輸送ができないものだからなんと4分割である。もう直角を出す方策がない。

其の組み立て式家具を“ただの”で無く“高価な”「箱」と呼びます。
其れに現今の家は真直ぐに建つて居らぬので直角を出す方策が要らぬのです。哈哈哈

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これはこれは師匠、厳しい!
そうだったのか!
家具ではなく、単なる箱だったのですね!
しかしいくら腕の良いYosh師匠でもこの箱の直角はだせないでしょう。
なんせ、ぐらぐらですもの


Yosh様からお便りを頂きました(07.09.01)
とうた様、
なんせ、ぐらぐらですもの

地震の時に動きを相対させ打ち消す、即ち地震対策を施してあるのです。
おお!これは不覚
かように決め細やかな気遣いで作られていたとは、おばQ未熟
Yosh師匠、これからも相も変らぬご指導をお願いたてまつり候

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