ISOその5 2003.11.15
私の仕事はいつも申し上げているとおり、第二者監査であります。
最近、第三者審査機関に勤めている某氏と話す機会がありました。
氏は私が行っている監査で活動のアウトプットや法規制への適合を確認しているのは環境監査としては不適当であり、マネジメントシステムを評価するべきだというご説でありました。
ちょっと待ってくれ、勘違いしていないか?
この御仁、環境監査といえばISO14001のシステム適合監査しかないと思っているのではないか?
監査といってもシステム監査もあるだろうし、遵法監査もパフォーマンス監査も、工程監査、製品監査、業務監査、現場監査その他いろいろな切り口ごとに種類があります。環境をとらえてもISO14001規格に基づくシステム監査だけじゃあありません。
1987年にISOのマネジメントシステム規格なんてものが発生する前から監査というものは存在していて、さまざまな切り口から適合性を評価判定していたということを知らないのだろうか?
いまどきの審査員養成コースではISO規格に則った品質監査とか環境監査しか教えていないのだろうか?
★★嘆かわしいことだ。
quest.gif 私は氏のご説に反論することなく黙って聞いておりましたが、いわゆるシステム監査もアウトプットを見ないでシステムを評価できるのかなと疑問に思いました。
とまあ、そんなことから監査の効果を何で測るのか考えをめぐらしました。
某氏は目の前にいてももはや煙がごとき存在・・・

マネジメントシステムの評価を何でするのか?
input process output があるとき、
ひとつにはプロセスの中を調べてそれが正しく設計されているか、適正に動いているかを点検する方法もあるだろう。
もうひとつはプロセスをブラックボックスと見てインプットとアウトプットからシステムが期待されるプロセスを果たしているかを見る方法もある。
ISO9001でも14001でもパフォーマンス向上を求めていない。求めているのはシステムの向上である。
しかし、組織が本当に求めているのはシステムの向上ではなく、パフォーマンス向上である。システムの向上はパフォーマンス向上のパラメータ(代用特性)でしかない。
そして更に勘違いしてはいけないことはISO規格への適合そのものも手段であって、目的ではない。
例えば今後ISO14001に代わる優れたシステム規格が出現したら現状の規格を捨てて新しいものを取り入れることに何の問題もない・・・というよりそうすべきなのである。現実にISO規格より当社のシステムが優れているからISO認証を返上したという企業もある。

ISO9001だって94年版から2000年版にグレードアップされたわけだし

ISO14001の序文にもあるが、規格の目的は継続的な改善のためにツールを提供するに過ぎない。
省エネをするぞ!と決めて活動しても天候や残業の増加その他もろもろによって電力が減らないこともある。その場合でもその活動や是正、計画変更が適正であればシステムは適正であったと判断される。私も異議はない。
新しい環境適合製品を開発しようとしても技術的に困難で挫折することもあるだろう。それもやむをえない。
しかし最終的には省エネや新製品をものにできなければ組織(会社)に貢献しないことは明白である。
結果としてパフォーマンスを向上させない、会社に貢献しないのであればシステムが向上したとは言えないのではないか?
まして「法律を守るぞ!」と宣言して(本当は宣言しなくとも遵法は義務であるのだが)諸般の事情で違反してしまいました・・・なんてことが通るわけがない。
システムがよければアウトプットがよい。・・・・これは真ではない。
システムが悪ければアウトプットが悪い。・・・・これもまた真ではない。
アウトプットがよければシステムが良い。・・・・これもまた真ではない。
アウトプットが悪ければシステムが悪い。・・・・これもまた真ではない。
アウトプットとして法を破れば会社が悪い。・・・これは絶対正しい。
exp.gif ならば結果として違反が起きたなら、システムが適正ではないと断言してよいのではないか?

傍らに言葉を語る煙が存在していましたが、ということを考えつつ結論として自分の仕事は価値があり、社会に貢献しているのだと自分で納得したのであります。(自画自賛?)

審査登録機関に勤めている人がみなそうだとか私の考えが二者監査をしている者の一般的考えだということはありません。ただ品質改善とか廃棄物管理といった実務経験のない、ISO規格しか知らない人は私のような考えの方は少ないのかもしれません。
でも、監査をしていてそれが単なるあら捜しとか、規格適合判定であるだけなら、なんとむなしいことではないでしょうか?

はっと傍らの煙に気がつきました。
『えい、控えおろう!私のCEAR登録証の20倍も大きい番号の登録証を持っていて何を語る!
君は何を持って自己の存在を正当化するのだね?』
なんて失礼なことは言いませんでした。  氏は私よりかなり年上でしたので改めて恥をかかせることもないでありましょう。

企業が本当に必要としているのはISO規格適合とかシステムの良否を判定してくれる審査員ではなく、遵法とパフォーマンスを評価してくれる審査員またはコンサルタントではないのでしょうか?




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