環境保証とはなにか 2004.08.11
環境に関わって暮らしを立てておりますが、常日頃考えていることを話したいと思います。
EMSといいますと環境マネジメントシステムの略、「そりゃなんじゃい?」といわれますと説明がはなはだ難しいのであります。いえ、ISOの定義とかというのでしたら簡単です。
しかし会社の中、あるいは自治体などの組織の中でEMSとはいかなるものか、なんのためか、存在意義を説明しようとすると簡単ではありません。
またどこの会社でもISO14001なんて活動をしてますが、なかなか本業に結びついたテーマというのがない。本業を環境目的・目標に取り上げたりするとそれが話題になるような有様です。
オカシイジャアリマセンカ?

環境側面の把握も上っ面、法規制の把握も通り一遍です。コンサルが言うとおり環境目的・目標・環境マネジメントプログラムと大量の資料を作っては環境に悪いですよ。
そしてISO14001認証(審査登録)の結果、効果は出たのか?会社に貢献したのか?と問えば名刺にロゴマークを書けたことだけなんて悲しくて涙が出るようなことしかありません。
ご異議あれば承ります。
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しかし、と続くのですが、類似のものですがQMSつまり品質マネジメントシステムというものがあります。ISO9000なんてのがそれです。QMSですと説明に困るあるいは詰まるということはあまりなさそうです。もともと品質保証という考えはISO9000シリーズができる前からありました。それは商売をする上で必要不可欠だったのです。だからISO9000が制定されて、その規格に則った品質保証をしてくれと要求されたり、あるいは認証(審査登録)を要求されたときあまり違和感がなかったし、また実際に品質保証の実態とリンクしていたのです。
正確には外部品質保証も内部品質保証もISO9000シリーズとはリンクしていたといいましょう。
ISO9000が品質保証から品質マネジメントシステムなんて発展したようなことをいっても中身は大きく変わってはいません。また言い換えれば品質保証の機能のない品質マネジメントシステムはありえないからです。本当を言えばISO90001:2000だって中身はほとんどがQAでQIはほんの一部だけなのです。
ところが環境管理についていえばあまり外部から形あるものを要求されたことはありませんでした。公害防止といっても要するに法規制を守ればそれで事足りたのです。
ISO9000ができたとき、品質保証部門の面々はああ、これは今までのこれに相当するなと直感できたのに対して、ISO14001に出会ったとき環境担当者は今までの活動の中に該当するものを見つけらなかったというのが実情なのではないでしょうか?
womankomatta.gif
私に反論する前にあと2行お読みください。
環境マネジメントシステムが会社の環境管理の実効とリンクして向上しているなら日本の環境事故、環境法規制違反は半減しているはずです。
現実は違います。よって証明終わり

私は環境マネジメントシステムという前に、環境保証という考えを企業が理解することが必要だと思うのです。環境保証という語句を用いている会社もありますが、私が考えている意味の環境保証と同じかといえばちょっと違うような気がします。
環境保証という表現はキヤノンでは一般語として使われている。
環境保証とはこの場の造語でありますが、意味は簡単明瞭、品質保証の語を環境に入れ替えただけの意味であります。
つまり「環境保証」とは「環境活動が良いと自信を持って言えるようにすること」であります。
当然、社内に対しての「内部環境保証」と社外に対しての「外部環境保証」もあるのです。

参考までに品質と環境の比較を説明しますと
    QMSにおいて品質管理(QM)とは品質管理(QC)・品質保証(QA)・品質改善(QI)で構成される。
  • 品質管理(QC)品質要求事項を満たすQMの部分
  • 品質改善(QI)品質要求事項を満たす能力を高めるQMの部分
  • 品質保証(QA)品質要求事項が満たされているという確信を与えるQMの部分

    これを環境管理(EM)で考えると
  • 環境管理(EC)遵法や規格要求事項を満たすEMの部分
    廃棄物処理や公害対策、省エネといった工場管理やオフィスの管理
  • 環境改善(EI)環境要求事項を満たす能力を高めるEMの部分
    エコファクトリー、エコプロダクツ、社会貢献などの推進
  • 環境保証(EA)環境要求事項が満たされているという確信を与えるEMの部分
    環境活動が適正であると確信を与えるEMの部分
となるのではないかと考えるのです。

そしてISO14001はまずなによりも環境保証をまっとうしなければ存在意義がないのではないか?と私は考えているのです。

環境保証についてもっと細かく話しましょう。
保証とはassuranceつまり「確実に何事かが起こることの約束」です。
品質保証とは製品が壊れないことを保証することでも壊れたときの修理や交換をすつことでもなく、ISO9000の定義では「品質要求事項が満たされているという確信を与えること」です。
環境では環境法規制を守り、エコファクトリー・エコプロダクツを作り、更には環境保護から社会貢献まで行うこと、そういったものすべてが環境活動でありその仕組みがEMSなのですが、それをいかに社内や社外に知らせめ安心感を抱かせるかという部分の活動が環境保証だと思うのです。
環境管理(EC)や環境改善(EI)は個々の部門が担当していて、環境統括部門がその統括と内部牽制を行っているならばそれこそ環境保証ではないでしょうか。

内部環境保証と外部環境保証とは
品質でいえば、内部品質保証とは経営者に自社の品質は大丈夫だと安心感を与えることで、外部品質保証とは顧客に品質は大丈夫だと確信させることです。
それと同じく環境にも内部環境保証と外部環境保証が考えられる。内部環境保証とは日常管理や内部監査を含めた内部牽制結果を経営層に報告し「自社の環境活動は適正である」と報告し安心感を与えることであり、外部環境保証とは行政や外部の利害関係者へコミュニケーションを図り環境活動が適切に行われているという信頼を持たせることである。その中にはもちろん情報公開も含まれる。
確信を与えることとは「完璧」であることではなく、IBMのように今年度これだけの環境事故が起き、これだけ罰金を払いましたと表明することもあるだろう。結果が偶然とか個人の力量によるものでなく、EMSのPDCAが適正に回っていることが要点だと思う。

IBMの名誉のために言えば、多くの会社では自社の不具合や罰金さえ把握していないのではなかろか?
ISO14001の第一の目的あるいは機能は環境保証だ と考えたらどうだろうか?
だって環境管理(EC)や環境改善(EI)は以前からしていたのですから、

紙・ごみ・電気なんて揶揄(やゆ)されて、日本全国のISO14001の事務局の方々、悲しくないですか?
環境事務局の第一義は規格に基づいた大量の資料作成でもちゃちなパフォーマンス改善でもありません。
もちろんそれをしてはいけないということではないけれど、

あなたたちの最大最優先のお仕事は環境保証なのです。
man7.gif それは現実の価値があります。法規制について内部牽制をするには担当部門の担当者以上の知識、技能がいるでしょう。それがなければ環境保証はできません。あなたたちが行った調査結果を経営者は重要で貴重ななものと受け止めるでしょう。
もちろんそのためには『ままごと』のような内部環境監査報告ではだめですよ、

ISO14001をEMSというあいまいな塊ではなく、環境保証という概念から始めたらどうでしょうか?
そうすればわかりやすく、会社のためになり、そして社外に対して信頼性とブランドイメージを高めると思うのですが、


えー、本日のコンテンツには顔マークがひとつもないことにお気づきでしょうか?
私がけっこうまじめに考えていることを示したかったのであります。
もしご同意いただける方はあちこちで同じことを叫んでいただきたいのです。著作権、アイデアなどを占有するつもりはありません。


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