ISOその2 2002.09.07
ISO9000やって良くなったのは文書管理だけ、
ISO14001で良くなったのは環境意識だけ、
なんてことをよく聞きます。

笑い話のようですが笑っちゃいけません、経営者(お金を出す人)にとっては笑い事ではありません。

別にISO9001や14001はシステム規格だから直接的な効果は期待できないよ、なんてことを申すつもりはありません。
効果がないならシステム規格が無力だということです。本当にそうなのでしょうか?
そんなはずはありません。
規格に基づいて活動して成果が出ないなら、それは何かがどこかが間違っているのです。
品質をよくしよう、環境をよくしようと大事な資源を投入してアウトプットがないならそれは方法論が間違っているのです。

あちこち環境監査などに伺います。
そうしますと、たいていの会社ではISO規格をのままおうむ返しにした規則があるんです。ところがそれは表上のルールで、実際の手順はまた別にあることが多いのです。そして裏ルールのほうが実戦的なのです。
なぜ規則が二通りあるのでしょうか?
なんで、現実をありのままに文書化してそれが当社のルールだと表明しないのでしょうか?
緊急事態なんて誰が見ても危ないと思うことに対して、予防策を講じ、訓練などをしているのです。ところが、ISO対応の規則を見ますと非常に複雑な論理で緊急事態を決定しそれに対して緊急時の手順書(規則)を作り、訓練をすることにしているのです。

不思議なのですが、計算結果一定点以上だとなぜ緊急事態になるのでしょうか?

笑うしかありません。
このような事態を引き起こしたのは、規格を読み取れない審査機関、コンサルタント、そしてシステム構築者の誤解の集積なのでしょうか?

私は環境側面の特定に点数化する方法を否定します。
驚くことにいまだにこの方法を教えてお金をとっている講習機関があるんです
以前、この件に関して某ISOの板で議論をしたことがありました。
反論された方が書きました。
『私は点数化した結果、重要な側面に気付いた。それでこの方法の効果があると思う。』
笑っちゃいますよ、そんなことをしてはじめて重要だと気付くようなら環境担当者として半人前どころか、駆け出しもいいところでしょう!
いえいえ、実際にはお仕事が勤まらないと思いますよ(^^)
そして根本的なことですが、数値化する基準はありませんから、人により、会社によって同じものであっても点数が変わります。
AとBがあっても評価者によってある場合はAが重要、ある場合はBが重要となることがあるのです。
へえ〜、ISOってそんなもんなんですか?
ISO規格を貶めないでください、
いったいぜんたい、ガソリンが100リットルあるのと、重油を10トンあるのをどちらが危険性が大きいか?指定数量の倍数を計算してなんになるんです?

ところで、その危なさですが、何で測るのでしょうか?
火災の危険ですか? 火災と言っても発火しやすいのか?火力が大きいのか?消火しにくいのか?なんなんでしょう??
火災だけじゃありませよね、漏れたときはガソリンの被害と、重油の被害を比較できるのでしょうか?
  一方は蒸気圧が高く、一方は低い、
  含有物質はいかがか? ベンゼンの率、硫黄の率、その他もろもろ、
被害の指標として、農作物への影響、健康被害、水生生物への被害、影響の及ぼす期間・・・
点数で測れると思う方はぜひその方法を教えていただきたいものです。


いずれも危ないのですから法に基づいた対策はもちろん、経営上許す限りの予防策を講じるだけの話ではないですか?
事務所の廃棄物と電力を点数をつけて計算し、電力のほうが重要な結果がでた!と叫ぶ(かどうかは知りませんが)人の思考回路を疑います。
もし、これに異議ある審査員、審査機関、コンサルタント、システム構築者がいらっしゃいましたらぜひとも議論をしたいとお待ち申し上げます。

もうひとつ具体例を、
コミュニケーションといいますと何を思い浮かべますか?
別にテレビや新聞のことを言っているのではありません。
会社内のコミュニケーションといえば、それは職制そのものじゃないですか!
それがどこでも『コミュニケーション規則』なるものを拝見しますと、いくつかの情報の例を挙げて、この場合はどこからどこへ伝えて、というチャートが並ぶのが多いのです。

へえ、御社では総務部が対外窓口じゃないんですか?
ISO14001を始める前は、そのような仕事の分担も決めてなかったんですか(@@)
会社の方針や各種指示は職制以外のルートで伝達するんですか?
私の30年以上にわたる会社人生で、職制以外のルートによるコミュニケーションは、組合関係、そして人事異動の噂話だけでしたね、

本日は環境監査から戻ったところなのですが、お会いした関係者のみなさんが規格の精神をご理解いただいていないのにいささかうんざりしておるのです。

おっと、常々私はISO規格や法律は行間を読むな!文言を読めと申しております。
精神などと言いますと、主義に反します。
規格文言をひたすらお読みになることをお勧めいたします。
日本語も読めないでどうする!


ISO9000やって良くなったのは文書管理だけ、
ISO14001で良くなったのは環境意識だけ、

そんなこと言わないでください。

そんなこといっちゃ、『当社はISO規格を使いこなせないんです。』と言っていることと同義ですよ。




まじめな話ですが、
ISO規格で言っているのは、これだけが要求事項だよという最低レベルを示しているのです。

会社として考えることは、
これからISO規格に書いてあることをしなくちゃならない・・・・ではないのです。
既にISO規格に書いてあることはしているはずだ。それぞれの項目に現実にしていることのどれをどういうふうに当てはめるべきか?・・・・なのです。

冗談抜きに、日本の会社なら法律を守り、その上にリスク管理のために既に種々の予防策を講じています。
トップは方針を定め、方針展開をしているでしょう。
そして常時あるいは定期的にフォローされてます。(売り上げ、生産性、品質などなど)
その進捗フォローの結果、目標や方向を変更し、教育をしなおし、あるいは管理職、担当者を入れ替えているではありませんか、
それが経営者による見直しです。
見方を変えればそのように活動していない会社は淘汰されてしまうのです。

さあ、このときISO規格にあるもので欠落しているものがありますか?

ないのは明文化あるいは組織化されていない内部監査くらいではないでしょうか?
ではそれだけちょびっと(手間がかからないように)盛り込みましょうや、

私にとってのISOとはそんなもんです。

しかしながら、と続くのは毎度のことですが、、
現実にある会社の仕組みが期待されるようなものでなければ、私は認めません!




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