環境審査 レッスン2 2005.10.01
審査員講座の2回目です。
本日はオープニングミーティングについて考えたいと思います。
なあに、むずかしい授業ではありません。なにせおばQの考えることですから、 
では始まりです。

最近は工場の守衛所にISOの審査員様のお迎えが出ていないことが多い。
そりゃ、当たり前といえば当たり前ですよね。だって、審査してもらうために大金(通常のサーベイランスであっても最低で30万から規模の大きいところなら数百万円)を支払っているのだから、わざわざ課長や部長が、いや平社員だって審査員のお出ましを正門で待ってるわけがありません。
お金を受け取る方よりも、お金を払う方が強いというのは万国共通のことわり
space.gif理【ことわり】 (1)道理 (2)理由 (3)理屈 (4)礼儀
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そして、出迎えのないことに苦情を言う審査員もいなくなった。
これは実は当たり前ではない。10年も前、いえほんの数年前までは門に出迎えがいないと、いちゃもんをつける審査員殿もいらっしゃったのである。
それどころかホテルまでお迎えが来ないと苦情を言われたものだ。
10年前の話だが、私が事務局だったとき朝夕ホテルまでタクシーで送り迎えしたが、後日受け取った審査費用の請求書にタクシー代も入っていたことがあった。これは倫理上の問題というより犯罪行為、詐欺ではなかろうか!
ともあれ、ホテルへのお迎えはあったほうが良いかもしれないが、あの世からのお迎えは・・・ない方が良いと思う。 
まあ、ここはまだ序盤でもなく、どうでもよいと言えばどうでもよいことで・・・

工場に入りますと、たいてい審査員殿は控え室にご案内されてお茶を一服することになる。
以前は、ここで審査員同士が名刺交換するケースが多かった。要するに初対面同士が審査をしようというわけである。しかし、この世界ではこの程度のことに驚いていてはいけない。
幸いに最近はそのような風景を見かけなくなった。前夜宿泊したホテルで初対面の審査員同士は名刺交換をするだろうし、また翌日の審査の打ち合わせをするのが通例になったようだ。
訪問先であまり見苦しいことはするなという審査機関のご指導があるらしい。大変良いことである。

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しかし、お茶を飲みながら、次の休みにゴルフに行く話とか昨日の審査結果についての議論などをしているのはしょっちゅう見聞きする。なにせ私の知っている企業は安普請が多いので、聞くつもりがなくても「昨日行った企業はとんでもなく対応が悪かった」といった話が聞こえてしまうのである。
そんな話を聞いて受審企業は何を感じどう思うかをご理解できるだろう。この審査員はよそに行ったらこの会社のこともこんなふうに話しているのかと思いますと、いささか心中おだやかではありません。
まともな営業マンなら客先を訪問してお客様を待っている間に、連れとそのような話をするはずがありません。そんなことは社会人の常識でございます。
それに営業マンが商品の原価などをお客様の前で話すだろうか?
出先で他社の審査結果を話しするということはそれと類似であると思う。
最近は昼飯をご辞退してコンビニ弁当を持っていく審査員もいらっしゃいます。そういうルールを定めた審査機関もあると聞きます。数年前に審査員が受審企業からおいしい牛肉のご馳走になり新聞沙汰になったことがあり、熱ものに懲りてなますを吹いているようであります。
でもね、癒着とか審査の公平性・客観性が昼飯ひとつで変わるもんでしょうか?
審査員の矜持とはそんなに安すっちいものなのでしょうか? 
そんなことよりも、企業人としての礼儀としてもっと大事なことがあるのではなかろうか?

お時間となりますと、いよいよセレモニーの始まりです。
工場長あるいは管理責任者クラスが審査員ご一行をオープニング会場にご案内となります。
はじめにご挨拶ということで、審査側と受審側のエール交換が行われます。お互いに正々堂々とルールを守った戦いを誓うわけです。
いいですね〜高校野球のようです
審査側が話す項目と内容は決まっており、審査機関や審査員によって大きく変わるようなことはありません。
しかし、話の中身や言葉使いがおかしいなあと感じることはあります。
「このたびは○○審査機関をお選びいただきありがとうございます。」というのはまあ良い。我々も審査を受けるにあたって、大金を払うのだから、評判の良いところ、値段も高くないところ、審査日程などこちらの希望を受けてくれるところと、QCD(品質、コスト、納期)を考えに考え、まわりと相談し上長に伺いでて決裁を受けたのですからね。
woman6.gif しかしお客さんが誰かをカン違いしている審査員もいます。あけすけに受審企業を「お客様」と呼んでいるところもあります。これはもう完全にカン違いです。
環境であろうと品質であろうと、審査員の「お客様」は不特定多数の利害関係者であり、直接のクライアントは審査機関の上級経営者もしくは判定委員会であるはずです。カスタマーとクライアントは別だという論理があるのかもしれませんが、その論理がどういうものか私にはわかりません。

第三者認証とか審査登録というのは審査機関の好き勝手にできるのではありません。
そもそも第三者認証とは、IAFという団体が定めた「審査登録機関に対する一般要求事項」と、国ごとの認定機関が定めた「審査登録に対する認定の基準」に基づいて行うわけです。
space.gif注1)IAF(国際認定機関協力機構)
space.gif注2)認定機関:日本では日本適合性認定協会があたります。

さて、これらのガイドラインでは次のような文言があります。
「審査登録機関は、すべての関係者に、従うべき異議申し立てのプロセス及び手順があることを、適宜及び適切な場で周知するようにしなければならない。」(ガイド66 4.1.1.5)
私はほとんどの審査のオープニングの場において、審査員からこの異議申し立てについての説明を聞いたことがありません。
ただひとつ、国内某審査機関だけは必ず説明します。一度ある審査員が「異議申し立ても面倒なので、もし不具合があれば私が書きましょう」と冗談めかして言ってました。自信があったのでしょう。 
その1社を除き、私がお相手したり陪席させていただいた多くの審査機関・・・国内及び外資系に関わらず・・・異議申し立てについて一言も触れませんね〜
これは不具合があって異議申し立てされると困るからなのでしょうか?
本来なら、しなければならない説明をしない審査機関そのものについて異議申し立てしなければなりません。
審査員は毎年審査員資格を更新するときに、異議申し立ての有無とその処置を審査員登録機関に報告しなければならなりません。


本日はオープニングミーティングのお話でした。
エッツ、まともなことを話していないですって? 含蓄のある内容と思ったのですが・・

では本日のおさらいです。



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