どの環境マネジメントシステムが良いのか 2005.11.26
最近はISOについて書かないのはなぜか? なんて問いかけてくれる方はいない。
以前、あらま様からISOについてお便りを頂き、このウェブサイトもISO関連と認められているのか考えたこともあったが、またたく間にあらま様はダジャレに染まり、うそ八百と縁を切ってしまわれた。悲しいことだ。
とはいえ、このウェブサイトへのご訪問者が多いのは独り言がトップであるが、二番はうそ八百であって毎日100人近い人がお見えになっている。他方、憲法や推薦する本は毎日2・30人しかアクセスして頂いていない。
ならばうそ八百にも力を入れなければご期待を裏切ることになる。
誰も期待していないかもしれないという可能性はとりあえず無視しよう。 

というわけで本日は久しぶりに演題はうそ八百である。
タイトルにある環境マネジメントシステムとはなんぞや? なんてまじめに考えると10ページくらい書かないとならないし、そんな小難しいことを考えなくてもよろしい。
現在の日本では『環境にやさしい企業』というのがブランドイメージを上げる手っ取り早い方法であるらしく、どんな業種でもISO14001認証と看板を掲げている企業が増えている。またグリーン調達といって、物品を購入するにも環境にやさしい企業から買いましょうなどという運動がはやっており、ISO14001認証していることを入札条件にしたりする自治体もある。

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そんなもの非関税障壁だと考えている人もいるはずだ。
ただ大声で言うと「お前は環境保護に反対か」と責められそうで、おとなしくしているのだろう。
今の世の中へたなことをいうと性差別だとか、差別語だとか言われるので唇が寒い。

まあ、ここではISO14001というものが環境マネジメントシステムと言って環境保護の証明書、印だとお考えいただいてほぼ間違いない。
同業者の方、あまり細かいことに異議を呈さないでください。

じゃあ、ISO14001というのはどこで買えるんや? いくらで売ってるんだ?
という疑問を持たれたあなた、偉い! そうです、そんなもの買ってくるのと同じこと。
まずそのへんのISOコンサルタントという看板を掲げているところに電話して「うち今度ISO14001認証したいんや、業種は○○で従業員○人でんな。いくらで指導してくれる?」と聞きますと「月何回で○万でどないや」とか「免状もらうまで指導して○万だ」なんて返事がもらえます。
いくつか声をかけ、比較して安いところに頼めばよろしい。間違いなく、あなたの会社も半年後には審査を受けて免状がもらえるでしょう。
ところで!
iso.gif

このホームページは
USO800
の認証を受けています

もらった免状の効力ってなんじゃろな?
現実的な効果としては入札条件をクリアしたり、グリーン購入の条件を満たすためのビジネスの死活問題がある。名刺とか看板に表示することができるなんてのは刺身のつまであろう。
従業員のモラール向上とかブランド向上なんてのは・・・・測定不可能である。
しかし、ISO14001認証のためには金がかかる。そして最初だけでなく、もらったが最後、毎年維持費用がかかる。
死んだ親父の戒名代のようです。あまり立派な戒名をいただくと子孫が泣きます。
いくらかかるのだろうか?なんて好奇心をお持ちでしたら検索エンジンで審査登録機関を探しますと、最近は業種と従業員数を入れるとアットいうまに概算費用が出るという便利な時代となっております。

入札条件やグリーン調達の基準を満たさないと商売が上がったりだ、しかしISO14001は金がかかるという状況ですとどのようなことが起きるか・・・なんてことは大人ならすぐ分かるってもんでございます。
そうです、代用品です。
ローレックスやヴィトンが欲しいけどお金がないのよ、という人のために偽物があります。
おっと偽物はいけません。それは法違反です。

代用品には法律違反だけではありません。
昔アメリカでポルシェが代えない人がマツダのスポーツカーを買い、マツダはプアマンズポルシェと呼ばれました。
1970年代、アメリカ空軍はF4ファントムの後継機としてF15を開発しましたが、あまりにも高価なため数を揃えるためにF16という安価品を作りました。あれから30年・・・実際には安価品の方が活躍したようです。
アメリカ空軍の花、サンダーバーズもF16です。ヨーロッパ諸国はF15は高すぎるからとF16を採用し現在に至っています。
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もちろん、アメリカ海軍も発想では負けてはいません。こちらはF4の後継としてF14を開発しましたが、その数の少ないのを補うためにF18を採用しました。ところが・・ところが・・・今現在F14は時代に合わずに(敵がなくなったというのが正しいのかもしれませんが)ぞくぞくと退役していますが、それを埋めているのがスーパーホーネットと呼ばれるF18の改良版です。安価品、代用品をあなどってはいけません。

さて、環境マネジメントシステムの世界にも同じことが起きて不思議ではなく、同じことが起きなければ不思議といえましょう。
みなさん耳にしたことがあると思いますが、エコステージとかエコアクションとかKESと称する環境マネジメントシステムが存在し、環境にかかる金を安くしたいという企業はこれらの認証を受けています。時間がたつとこれからもドンドン類似のものが出現してきそうです。もちろん、今後発生する新しい環境マネジメントシステムは市場競争力を持つためにいっそう安価で簡易なものとなるに違いありません。
水は高きから低きに流れるといいますからそれは自然の摂理なのでしょう。
現実にはさまざまな環境マネジメントシステムとその認証制度があり、まさに環境マネジメントシステム 百花繚乱であります。
こういった環境マネジメントシステムは、ISO14001より仕組みが簡単で、費用が安く、中小企業にとってハードルが低く楽に認証を受けられますとか宣伝しています。
同じ効果があるのなら安い方が良いのは言うまでもありません。それは戦闘機もブランド品も環境マネジメントシステムも同じです。
まったく同じように、入札条件をクリアし、グリーン購入の条件を満たすことができ、名刺とか看板に表示することができ、従業員のモラール向上とかブランド向上ができて安いなら安い方が良いのは当然です。
じゃあISO14001よりもそういった環境マネジメントシステムが良いのでしょうか?

でも、チョット待ってください。
環境マネジメントシステムって入札条件をクリアしたり、グリーン購入の条件を満たすことができたり、名刺とか看板に表示することができたり、従業員のモラール向上とかブランド向上するためのものじゃないはずですよね?
man7.gif 環境負荷を低減するための会社の活動の基本を決めたものではないのでしょうか?
環境マネジメントシステムの元祖、家元であるISO14001の序文に書いてあります。
「この規格の全体的なねらいは、社会経済的ニーズとバランスをとりながら環境保全及び汚染の予防を支えることである。」
つまり環境保全及び汚染の予防を支えることができるか否かが、その環境マネジメントシステムの価値を図る指標であり、極論すれば存在意義を測ることができるでしょう。
この理屈に異議おありでしょうか?

現実にはこの論理に反論は多々あります。
以前某審査機関の取締役から「ISO14001はマネジメントシステムだから」といわれました。
エコ○○の関係者から「これは遵法が目的ではなくマネジメントシステムです」といわれました。
そりゃそうでしょう。順法を確実にしますとかパフォーマンスを向上させますなんていったら、間違いなくウソか誇大広告ですヨ。
でも、いずれの環境マネジメントシステム認証をしている個々の企業をとらえれば環境保全及び汚染の予防は完全にできないという論理は通用しても、その環境マネジメントシステムの認証を受けている企業のグループ全体としてみれば認証していないグループよりも環境保全及び汚染の予防が向上していなければならないことは間違いないようです。
交通事故で車のシートベルトを締めていても死亡する人もいれば、シートベルトをしないことによって助かったケースがあってもおかしくない。しかし全体をとらえればシートベルトを締めている方が死者は少ないという根拠がなければシートベルトを義務化する理由にはならない。

いかなる環境マネジメントシステムであろうと個々ではなく全体では環境改善効果(遵法やパフォーマンス向上)がなければ存在意義はないということにご同意いただけますよね。

では私の立論に対する反論は否定され、新たな異議はなしと認め、次に進みます。 
ではさまざまな環境マネジメントシステムがあって、どれが良いか?と考えたとき、かかる費用ではなく環境保全と汚染の予防で評価すべきでしょう。
もっと露骨に言えば、それぞれの環境マネジメントシステムを認証した企業のグループを比較して、環境法違反が少ない方、環境事故が少ない方に軍配を上げるべきではないでしょうか?
いえ、そうに違いありません。
F14は高価だからと安価なF18を導入しても、F18が実戦で敵機に撃ち落されてばかりでは役に立たないのです。
この環境マネジメントシステムは高価だからと、代わりに安価な環境マネジメントシステムの認証を受けても環境保全の効果がなければ認証の意味がありません。
私の論理が間違っていなければ、ぜひそれぞれの環境マネジメントシステムの比較をしておおやけに示すべきではないでしょうか?



本日のたわ言
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環境マネジメントシステムの評価指標として、法違反と環境事故を提案します。
認証を受けた組織から法違反と環境事故の発生が少ないマネジメントシステムを採用しましょう。
それが環境にやさしい企業の選択です。


私、この文章を40分で書きました。
日頃考えていること、願っていることをですから時間はかかりません。




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