ISO事務局講座 その1 2006.10.15
マネジメントシステムってなんですか?
ISO14001規格は組織(会社など)が【環境に関して】作るべき仕組み(システム)の満たすべき要件を定めている。
環境に限らずに、会社とは何かと考えれば、会社とは設立の目的を達すべく、定款を定め事業活動を行い、永続することが目的である。
株式会社の起源は探検航海といわれている。一人では新大陸への航海を行う事業資金を賄えない時、同志をつのり一航海限りの会社 を作り成功したときの利益を分け合った。失敗すれば投資分のみの損失を負う。これが株式会社である。
期間限定であったわけだ。
現在の企業はゴーングコンサーンともいわれ、工事対応のベンチャーを除けばその目的は存続することといわれている。
企業が事業を行っていくにはさまざまな業務をしなければならず、それぞれについて手順を決め業務を進めていかなくてはならない。
どの会社も明文・不文はともかく会社の事業を推進するためにシステムを持つ。
システムは、組織、機能、手順で構成される。会社は組織体制を決め、それぞれの部門が担う業務を決め、それぞれの業務を進める手順を定める。具体的には会社職制、職務分掌、会社規則などに展開実施される。
このとき環境管理だけのシステムというのはありえない。会社の仕事はすべてが有機的に結びついているし、効率向上、費用削減のためにひとつのアクションが複数の目的を持つこともある。
だから環境マネジメントシステムというのが【独立して】存在するわけではない。
ISO14001では環境マネジメントシステムを「組織のマネジメントシステムの一部で、環境方針を策定し、実施し、維持し、環境側面を管理するために用いられるもの」と定義されている。
このように環境マネジメントシステムというのは会社の唯一である経営システムを環境という切り口でみたものであって、独立したひとつのシステムではない。
最近、品質マネジメントシステムと環境マネジメントシステムを統合しようとか、統合したものをゼネラルマネジメントシステムと呼ぶこともあるが、本質を理解していないとしかいいようがない。

審査で審査員から「このシステムは運用されているのですか?」と質問されたことがある。
先方は「もちろんです」という回答を期待していたのだろうが、私はこの質問自体にものすごい違和感を感じた。
man7.gif なぜなら私は過去新しいマネジメントシステムを作ったことがない。マニュアルに書かれているのは過去から会社がしていることである。
私は過去15年以上も品質保証とか環境管理に係ってきたが、一度足りとも新しくシステムを作ったことはない。
タイの工場に行ってISO9000やISO14000の認証をしたこともあるが、この時もその会社にもとからある不文のシステムを文書化したに過ぎず、新しいシステムを作ったわけではない。
知り合いの会社でISO14001認証を指導した時も、向こうの方に話したのは、存在している会社の仕組みを良く調べなさい、そしてISO規格と比較して足りないことを追加し、最低限のことを文書化しなさいということでしかありません。
「環境マネジメントシステムを構築した」などと語っている人をみると、本当に構築したならばものすごいことだと思います。それは環境にとどまらずひとつの会社の文化を作り上げたということです。あるいは小泉さんではなくても一度ぶっ壊して再構築したということでしょう。
現実はそのようなものすごいことをしたのではなく、単に元からある文化を文書化しただけではないのでしょうか?
それどころか、ISO認証のために紙ゴミ電気についてのうそ800を書き散らしたに過ぎないのかもしれません。
シニカルかもしれませんが私はそう見ています。

ISO事務局の心構えとスタンス
私たちの仕事はすべて会社のため、株主のため、哲学的に言えば(?)社会のためにしているわけです。
その会社の真の目的は何か?といえば、前に書いたように存続することそのものかもしれません。
私たちISO事務局の仕事は単に環境や品質システムを外部・内部に説明することではなく、もちろん免状をもらうことでもない。私たちの仕事の真の目的は、会社が永続的に存続していくために、更に会社の価値を高くするために、環境ISOで何ができるかということである。
まあ、現実の仕事として不適合を出さないようにするということも渡世の義理ではある。
--注意--
「不具合を全然出さない」ことは不可能である。
世の審査員は働き者であるから、不適合をださないと働いた気がしないので必ず置き土産を出す。
我々事務局は、会社に悪影響がなければ審査員の顔を立てて不適合を認め、チョコチョコっと文書を改定し裏付け資料を作って審査員の期待に応えるのがこの世界のお約束である。
man2.gif 肩肘を張って理屈を言ったり、正義感にかられて正論を吐くのは野暮というもの。
ただ、会社に役に立たないくらいならともかく、会社に悪影響を与えるようなご指摘には審査員を怒らせずにやわらかく拒否し、妥協点を見出さなくてはならない。認証のために会社を悪くしては、より上位の価値基準である株主の期待に応えることや社会貢献に反する。
ISO事務局とは、いかに審査員に機嫌よく帰っていただくかという、ホストとかホステスのようなサービス業なのである。
ここで記載している事項にご異議ある方は苦情申し立てすることができます。
私たちが審査で説明するEMS(環境マネジメントシステム)はバーチャルなものではなく会社が本当にしていることででなければならない。
そして審査とは審査員の知識欲を満たすために業務を説明したり、我々の成果を自慢することではない。会社の仕組みや活動そして成果が『ISO14001規格を満たしていること』を納得させることである。
私たちのスタンスは
「当社はISO規格が制定されるよりはるか前から環境活動をして社会に貢献している。当社の環境マネジメントシステムは、当社の業態や文化に合わせて進化し、ISO14001よりはるかに進んでいるのだよ。
しかしそうはいっても、社外の方は第三者(審査機関)が確認しないと一人前のEMSと信じてくれないのでやむを得ず審査機関に検証を依頼したのである。本当は当社のEMSはコンフィデンシャルで秘密やコツを他人には話したくはないのだが、これもやむをえない。我々のすばらしいシステムをチョット見せてやるから感心して帰りなさい。」
ということである。

そのためには、我々事務局はISO規格を知り、会社の実態を知り、そして会社の仕組みや活動のどこがISOのどの要求事項に対応するのかを理解しておかなくてはならない。
私たちはゼッタイ間違っていません。間違っているのはおかしな言いがかりをつける人たちに違いありません。

事務局のお仕事を遂行するためには、規格の要求に会社の何がどこが対応するのかを、よぅ〜く知り尽くしておかないといけません。もちろんそのためには会社の仕組み、仕事の手順、権限などなどゼーンブ知っていることが望ましい。
規格の一字一句を証明するために、会社のどの文書、どの記録を持ち出せばよいのかを勉強しておきましょう。
もちろんその概略はマニュアルに書いてあります。しかし、会社の文書をゼーンブ頭に入れておくくらいの努力は必要です。
それはISOのためだけでなく、実務に役立ちますよ。


woman.gif ☆☆次回は何を語るのか?と問われても
☆☆☆☆明日はいずこの街か?(北帰行)
☆☆☆☆そんな先のことは分からない(カサブランカ)
☆☆というようなもの
☆☆どちらの例えもみなさんは知らないか、歳だね〜





ふっくん様からお便りを頂きました(06.10.16)
いつもお世話になります。
いつもISO講座を読んでいるふっくんです。毎度お世話になっております。
今回のISO事務局講座、今までと趣向が変わって事務局へターゲットを絞っているみたいで本当に参考になります。
うちの会社で限って言えば、困っている事項とは突き詰めれば「文書化」できていないことでしょうか?小さい規模の会社なので、口頭伝達が伝統?となってしまって、みんなの手順を聞いて手順書を作っても誰も見ない、仕事も伝達も全て口頭伝達です。こういう中でどのようにしていくか模索中です。
でも、規格から言えば14001の中では環境マニュアル自体もつくることは要求されていないのですね。著しい環境影響を与える行為(作業)に対して、手順書なり教育が必要というなかで今後どのように運営を行なっていくか。。。まだまだ眠れない夜が続きそうです。失礼します。

ふっくん様 毎度ありがとうございます。
正直言いまして、このホームページなどふっくん様以外、誰も見ていないのではないかという気がいたします。
せめて、どこぞの審査機関とか審査員から抗議、異議申し立てが来るのではと期待しているのですが・・・いまだ来ません。
ひょっとして、恐れをなしているのかと
・・・なことはないですよね 

閑話休題
文書化しなくても仕事が進む、それはISOの理想の世界ではないですか、何を悩んでいるのでしょうか?
規格要求を見ると、9001でも14001でも必要最低限でよいようです。
まあ、最低限文書化が要求されているのが、文書管理、記録管理、是正処置、内部監査などですが、どこまでを文書化するか・・ということは組織に任せられています。
それぞれ貴社では誰でも知っていることをA4で1ページ程度にまとめてオシマイというふうにいきませんか?
なにしろ、【文書化の程度は要員の力量によって異なることがある】(ISO9001)ですからね、

真面目な話
現状でよいのなら、それをいかに説明するかを考えるべきです。
審査のために文書を作るのは、決してしてはいけません。


ISO3年目様からお便りを頂きました(09.07.12)
まとまりのないこと
大論文ではないのですが、エラーが出て書き直しです。ので、内容を短縮します。
前2回の投稿の返答ありがとうございます。返信を読むと質問しなかったほうがよかったですね。こちらで手段を考える時期になっていたようです。

A:会社には固有のマネジメントシステムがあって、やるべきことをやっている
B:ISOを認証した会社でも法令違反がある
A、Bとも管理人様の論ですが矛盾した内容と思うのですが

ISO14001審査時にて
・水濁法の貯油施設からの漏洩事故時の対応について遵守評価が必要
 →消防法どおりに管理していれば……
・下水道法の法定数量(50m3)について
 →どこでも聞ける法律は便利ですね
・グリーンエネルギー用の部品を製造しているのだから、出荷数量に応じた発電量を実績として記録すると(略
 →大きなお世話
・プラスの環境側面は企業活動が環境の役に立つというツールとして有効
 →・・・

IS27001にて
日本国憲法も遵守対象・・・→これ、遵守判定できるの?

まず、外部に対して毅然とした態度を取らないとだめですね

ISO3年目様?
私はISO3年目様という方からメールをいただいた記憶がありません。それから頂いたメールアドレスの記録もありません。一応申し上げておきます。

A:会社には固有のマネジメントシステムがあって、やるべきことをやっている
B:ISOを認証した会社でも法令違反がある
A、Bとも管理人様の論ですが矛盾した内容と思うのですが

聞き捨てならんですね。
ISO3年目様はまず定義というものをご理解されているのでしょうか?
どの会社にもマネジメントシステムは組織に付帯する属性として存在します。そしてその中の環境に関わる部分をEMSといい、品質に関わる部分をQMSと呼びます。(ISO9001、ISO14001参照)
しかしそのEMSやQMSが完ぺきかどうかは私は知りません。完ぺきな会社もあるでしょうし、不完全な会社もあるでしょう。そう言っているだけです。
次に、現実のISO審査は不十分、不完全なものですから、認証している会社であってもマネジメントシステムが完ぺきでないのはご存じのとおり。
そして法令違反はマネジメントシステムが完ぺきであっても発生し得るものです。ただ、マネジメントシステムが機能していれば、システムのPDCAの中でリジェクトしていくことができるでしょう。
まあ、そういってもご理解いただけないかもしれませんね。その場合はもっと勉強してください。

それ以降の文はどういう意味なのか図りかねます。
私にコメントせいということなのか、単なる愚痴なのか??
ところで一言、日本国憲法というのは概念であって行政法や刑法のように具体的なことを決めているものではありません。特に日本の憲法は改正をされずに60年もたっており解釈改憲が続いており、憲法を読んでどうしようということは不可能です。
文字解釈の世界ではなく、論理解釈でもなく、非論理解釈の世界ですから、もう遵守という範疇では語れません。
ということでご理解いただけたでしょうか?
いえ、理解できないということが分かれば理解されたということです。
では、バイバイ



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