監査とは?審査とは 2003.04.04
本日のお話はちょっと専門的な話で、いつもの軽口ではありません。
あまり関心のない方はパスしてください。
でも、週刊誌や新聞などでISOの記事に関心のある方、勤め先でISO活動をしている方、お客さんからISO認証を要求されている方は読むとためになるかもしれません。 ためにならないかもしれません。 

私が監査でご訪問して、時々不適合を発見してしまうことがあります。イエ、本当を言えばどこに行っても、法律通りしていないとか、やるべきことをしていないとかを見つけてしまうのです。
目が悪いのでしょうか? いえ、良すぎるのでしょうか? 困ったことです。

私はISOの監査じゃありませんから規格適合なんてつまらんことはいいません。しかし日本の国の中ですから法律を守っていないのは『いけません』。
愛国者であろうとも自虐史観の方でも法律を守っていないのはダメです。

私が見つけた不具合を内部監査で見つけているかどうかを追跡するのは当然です。
そして大変問題なことですが、ほとんどというかまったくというか、そういった不具合を内部監査で検出していないのです。
困ったことです。

貴重な会社のリソースを費やして行っている内部監査の意義がないじゃないですか?
内部監査をされた方にインタビューして「内部監査で何を見ているんですか?」と聞きますと、方針の徹底とかなんたらかんたらお答えになります。
でも監査の目的である「経営者に会社の実態を報告する」というミッションは果たしていません。
ひどい言い方ですが、ままごとの監査をしているのではないでしょうか。


最近、ISO14001審査の現場を拝見しました。
その審査では審査員は法規制には関わらないという態度がミエミエでした。
審査側として恐ろしくて法規制に踏み込めないのでしょうか? 万が一、遵法が徹底していないことを見つけたらそれに続く手順が面倒かつ大変なことになるので、見ない聞かないという姿勢に見えました。
でもね、その会社が認識している法規制を守っているかどうかを確認するだけなら、それは数学でいう不定で意味がないでしょう。
なぜでしょうその会社に適用される法規制を認識しているか、守っているかを審査しなくてはおかしくありませんか?
ISO14001の審査報告書には「遵法を保証しない」と必ず明記してあります。それはもちろんそうです。マネジメントシステムの審査ですから、規格適合しているかを審査するわけです。
でも、規格の要求事項を確認するということは、適用される法規制を認識しているか?それを遵守しているかも合わせて審査することではないのでしょうか?(これは疑問文ではなく反語ですよ)
それを見ていません!と宣言するならいったい、なにをしているの?
数年前までは私はISO9000とか14000の事務局でありまして、審査員が攻め込んでくるのを切り返すことに生きがいを感じておりました。
ほとんど切り返し、返り討ちにしておりましたが、『俺が規格だ!』とおっしゃる方には勝てません。泣く子とアホウ審査員には勝てないのは世の習い。

一回だけ某審査機関の中○審査員にばっさり切られてしまいました。
こちらが納得できる瑕疵があって、正鵠を得た指摘を受けると反論なんてしません。まことに同感と感じるだけです。そういった場合は気持ちよく切られてしまいます。
中○さん、あなたを尊敬しております。
ISOに関わる方々へのお願いです。
マネジメントシステムを構築する方は規格を読み返し、それをいかに自分の組織で活用するかを考えてください。
規格を満足することが目的ではありません。
品質改善はもちろん、会社の業績、業務の改善、人間関係、職場環境をよくするという成果が出なければいかなる手法も存在意義はありません。

審査をする方は、規格の目的を考えてください。危険なことには近づきたくないなら、あるいはそういった審査方針の審査機関なら審査を止めて下さい。
組織の遵法を推進する、不備があればそれを正さなくてはなんのための審査なのですか?
もっともそれ以前に法律を知らない審査員もいます。そんな方は今すぐにCEARやJRCA登録を返上してください。
『システム審査だから法律を知らなくてもいいんだ!』
そんなことをおっしゃるなら、審査員でなく、人間を止めてほしいものです。

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ISO規格を貶めないでください。ISO規格は金儲けや肩書きじゃありません。
ISO規格をこよなく愛する者からのお願いです。





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