ISOその4 2003.10.26
本日は日常行っている仕事で感じたことを・・・・・
ISO14001認証すると活動している会社に行きました。環境方針を作り、法律を調べ、環境側面を特定したそうです。
なるほど、がんばっていらっしゃいますね、
ではちょっと拝見しましょう。
  • ほうほう、御社では消防法は該当しないのですか?
    すると、窓の外に見える暖房用の7キロリットルの灯油タンクはなんなのだろう?
  • 水濁法にも関係ないのですか?
    景気の良い音を出しているコンプレッサーのドレインは側溝に流しているようだが?
  • 貸しビルにいる事務所だから産業廃棄物はないのですか?
    いらなくなった事務机や切れた蛍光灯はどうするのでしょう?
とまあ、そんなことばかり体験しております。
単純に担当者のレベルが低い!とか分かっちゃいねーな、とけなしたり、笑ってすむ話ではありません。
彼らも大金を払い各種講習会に参加し、なんと審査機関のご指導も受けているのです。
  • 審査機関が審査前にご指導できるのか謎です?
    あっ、これ違反じゃないかという反語です。 
  • 私は第三者監査をしているのではありません。第二者監査に従事しております。
ご存知でしょうが、ISO9000では負のスパイラルが起きているという調査報告が出ております。
man1.gif みんなISO認証という免状がほしくて、形だけの仕組みを作り、金ほしさの審査機関が形だけの審査をしてドンドン認証証を乱発し、その結果として品質保証のしっかりしてないISO9000認証会社ばかり増えていてマスマスその質が落ちているということです。
日本のように体面を重んじる社会でも、最近は毎年「審査機関の認定取り消し」なんてことが起きているのです。
認定取り消しとなりますと、審査機関はもう商売(審査)ができなくなります。
いえ、それまでにそこから認証証をいただいていた会社は大変な迷惑でしょう。
あなた、簡単に認証してくれるところに頼もうか、なんて考えちゃいけませんよ、
審査機関は日本適合性認定協会から認定されるのであり、一般企業は審査機関から認証されるのです。
そんなことから同業者(つまり二者監査をしている人)の中にはISO認証なんて役に立たない、みんな審査登録を返上して遵法を徹底してやったほうが日本のため、会社のためになると語るお人もいます。
そのお気持ちは分かります。しかし私はISO規格をこよなく愛するものとして、このような極論は口が裂けても言いたくありません。
みんな、ISO規格をしっかりと読んで役に立つ仕組みを作りましょうと言いたいのです。

では私の思っていることをひとつふたつ、
どの会社もISO14001規格に書かれている条項の順序で仕事を進めていっているようです。
まずはじめに環境方針を作れと書いてあるので、とにかく環境方針を書いて社長や工場長のはんこをもらうというのがお決まりの進め方です。
ちなみにどこの環境方針もほとんど同じなんだよね、社名が違うだけみたい。
まったく個性というかオリジナリティがないの!悲しいなあ
それから法律を調べ、どのような環境側面(環境負荷とほとんど同義)があるかを調べるのです。
規格を読むと「環境方針は組織に見合ったものとする」とありますが、法律や環境側面を知らずに組織に見合った環境方針を作ることができるのでしょうか?

環境放心だったりして 
この原因は簡単です。
規格の本に規格の概念を示すPDCAの絵が書いてあり、みなこの概念図を規格要求だと思い込んでいるからです。
14001.gif
本当の話ですが、この絵を環境マニュアルに載せるのが必須条件だと指導していたコンサルタントを知っています。 恥を知れ!
元々のイギリスのBS規格には環境方針の条項の前に予備調査という記述がありました。そのほうが誤解を招かないのは確かでありましょう・・・・・
でも現行規格の本文をいくら読み返しても環境方針を法規制調査や環境側面特定の前に作成しろとは書いてありません。ISO14001規格の条項の順序は活動の順序を示すものではありません。法律の条項の順序で仕事をしないのとおんなじです。
本文を正しく読めば、環境方針を作れ、法規制を調べよ、環境側面を特定しろということです。それらの時間的順序は書いてありません。それは並行して行うこともあるでしょうし、フリップフロップのように相互影響でやり直すこともあるでしょう。そして実際に自分がシステム構築をしていけば法規制調査や環境側面を把握しないと自社に合った環境方針は作れないと認識するのではないでしょうか?

まあ出発点となる環境方針からしてそんなわけですからあとは押して知るべしといったところですが、
環境法規制、これを良く調べていない。
いまさらISO14001認証だからといって調べなくとも、従来から日本に住んでいるのですから元々法律を知り、守っていなくっちゃいけません。
中国へのODA反対叫んでも政府間で約束した経済援助を実力で止めることはできないし、消費税反対の政党を支持していても消費税を払わないで買い物をすることはできません。
まず一番見かけるのは廃掃法を知らないこと、青森岩手の大規模不法投棄がありたくさんの企業に追求の手が伸びていることが報道されているのに自社の廃棄物がどこに行っているのか知らない会社って・・・・・・あるんですよね、 

環境側面というとどこでも電気、廃棄物があがります。でもね、貸しビルにいる事務所の環境影響ってビルで使う電気と事務所からでるごみなんでしょうか?
聞くところによると今後環境側面に「本業を含まないものは審査登録しちゃいけない」となるそうです。
当たり前でしょうね、
内部監査
うーん、まあしっかりとしているところは少ないね、
私がお邪魔して見つけた不適合を内部監査で見つけているケースはほとんどない。
もちろん見つけていないから外部監査で見つかるわけだろうけど・・・・
たった数日の講習で内部監査をしましょうっていうんじゃあ、そりゃオママゴト
環境方針を周知しているかということを「方針が壁に貼ってあるからOK」としている監査結果をみたことがあります。
このボケに突っ込みを入れなかった私はまだ漫才師としては未熟でしょうか?

公害防止関係の法律を知らない人が何べん官庁への届けを見ても何も分からない。
消防法を知らない人が危険物保管庫をみても何も気づかない。
規格を通り一遍読んだだけではシステムが規格に適合しているのか分かるはずがない。
人は強くなければ生きていけないし、やさしくなければ生きていく甲斐がない。
監査員は能力がなければ勤まらないし、会社に貢献できなければ存在する甲斐がない。
審査機関への疑問
まず、遵法をほとんどみていない。
法律を見る力がないのか?違法を発見すると後処理が面倒だからか?とにかく法規制に適合しているかいないかを見ていない。
これ自体が負のスパイラルの根源だろうね、

環境側面の把握する方法や計算式を徹底的に調べる審査機関(名前は言わない)があるが、結果としての側面を評価判断していない。
もっとも法律も知らないんじゃあ、特定した環境側面が適正か否かの判断もできないんだろうけどね、

環境マネジメントプログラム
市販本に載っているもの、あちこちで見かけるもの、みんな縦に実施項目、横に時間軸をとっている。まあ建築工事の予定表みたいなもんでとやかくいうものではない。
ところがその中身だが、単なるガントチャートで矢印があるだけ・・・・これがプログラムなんでしょうか?そして審査機関はこれでヨシとして審査登録しているんだよね!
紙削減という項目にただ矢印が伸びていて、月ごとの紙の使用量目標値があるのがプログラムといえるの?
髪は減らないほうがよいけど、紙を減らすにはこれじゃ無理だよね、 


ISO14001認証企業での環境事故や法違反が多発している。
ISO14001認証企業で費用低減効果が出ていない。

だからISO14001認証は意義がないという方がいる。
そうじゃない、
それはみなさんがISO14001規格を理解していないで、本当に規格に適合したシステム構築をしていないんだ!と私は言いたい。


もっとも第三者認証が必要かどうかについてはかなり懐疑的ですがね、



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