ISO事務局のひとりごと 2005.03.26
本日はISOのお話・・・
私は環境法規制に適合しているか・いないかという遵法点検だけしかできないのではありません。
ISO9000、ISO14001なんてのも一応存じ上げておりますので、品質システム構築とか認証取得のお手伝いなどもできます。もちろんシステム審査もできるのですが、誰も信用してくれません 悲しい
大いに怪しいとの声がしたようだが無視しよう 

過去10年以上前から、長い間ISO9000やISO14000の事務局も務めましたし、よそ様の会社のお手伝いなどもいたしました。
いえ、もちろん今でもしているのです。
しかし正直言いまして、最近はお付き合いがあるところから認証取得を手伝ってくれと言われても「またか!」という感じであまり乗り気ではありません。
マンネリというか新鮮味がないというか、私の中である程度標準化してしまい今更新たなチャレンジとは思えず、面白みが薄れてきました。
それに法律への適合・不適合を吟味する遵法監査に比べて、ISO規格への適合・不適合を考えるのは真剣で立ち会うか竹刀で叩きあうかくらいの違いがあります。もちろん遵法監査が真剣勝負です。その違いは理解できるでしょう。
ましてお金儲けではなくボランティアですからなおさらです。

システム構築といいますと、まず実態調査、つまり帳票・設備や仕事の流れを調べることからはじまります。
そして、それからどのような仕組みにするか議論してビジョンをつくります。
次のそのビジョンを具体化し、最後に具体化した仕組みを文書に現し、そして社内に周知し、実行させることでおしまいとなるわけです。
ISO事務局の仕事って、簡単に言えばそれで全部です。

システム構築のどの段階が困難か? と問われたら「いずれも難しいことはありません」と答えたいですね。
なにしろプロなのですから、やせ我慢してもそう言わなくちゃいけません。
しかし本当のことを言いますと、ISO認証のプロセスの中で一番いやなのは、やはり審査員とのやりとりですね。
womankomatta.gif いえ、規格の解釈とか初対面の方とお話しすることなんてことは苦手でもなくキライでもないのです。
お見えになった審査員がコマッタチャンだとか、唯我独尊だとクライシス
審査員のおかしなご意見に従ってシステムを悪くしないように、おせっかいな推奨を取り入れて余計な仕事を増やさないように、しかも気分よくお帰りいただくということが、ISO事務局の腕の見せ所でありまして、これが最大の難題でございます。
日本中のISO事務局の方々は同感とうなずかれるに違いありません。

審査の前に名刺交換しますと、審査員のJRCAやCEARの登録番号が事務局担当者の登録番号よりはるかに大きかったりします。
番号が大きいとは遅く審査員になったということです。
もちろん早い時期に登録した人が優秀・有能とはいえませんが、経験豊かであることは間違いありません。

審査員とのやりとりの中でもISO規格の理解がずれている方の相手が特に苦痛です。
  • ISO規格を読んでください。」
    そんなひどいこと言わないでくださいな、 
    私どももまがりなりにも一応はISO規格を読んでおります。そして、わからないことがあればISOの委員にお問い合わせしております。
    不明点や疑問があったときISOTC委員に問い合わせている審査員はいかほどいるものでしょうか?
  • JAB(日本適合性認定協会)の規則でそうなっているのです。」
    ここにJAB R100、JAB R200、JAB R300がございます。書いてあるところを教えてください。

  • 「うちの審査機関の統一見解です。」
    統一見解ですか? 初耳です。
    審査機関が独自の審査基準を設けることをJABは認めていますが、その場合文書化し事前に提示することを義務つけているのだが・・・
    「月間アイソス」のアンケートで統一見解を決めていると回答した審査機関はなかったはずだ。
    アンケートに嘘を書いたのだろうか?
ISOシステム構築での最大の難関が審査員との不毛な議論ということは、なんということだろうか?
嘆くほかない。

事務局のもうひとつの難題は審査員のご対応である。
幸いこれは最近大幅に改善されてきている。
90年初頭にISO9000の第三者認証制度が始まりましたが、時と共にお客様が変わってきたという、面白い制度なのです。(本当は決まっているのですよ)
ISO9001の1987年版にはお客様は購入者であって、審査機関はこの代理で工場に行くのだよと明記されていました。
ところが会社・工場は免状がほしいものだから、審査員を持ち上げてお客様どころかお殿様扱いしたんですよね。
審査員を呼ぶのにしても「先生」とか「審査官」とか「審査員殿」とか、もう田舎を巡回する江戸時代のお代官様のような扱いでありました。

当時の審査員にはものすごい方がいらっしゃいましたね、
豪傑というのでしょうか? お土産を求めたり、酒の席を求めたり、中にはオ○♀というアリサマでございました。
デパートが納入先にたかるというレベルじゃありません。
もうお代官様ではなく、代官じゃありませんか 
mito.gif
当時は日本中の企業がISO認証しないとヨーロッパに輸出ができない!と危機を感じておりましたので、審査員はお客様どころか、水戸黄門だあ〜、神様だあ〜、おっしゃることは何でも聞きやしょう・・・という状況でした。
いつでしたっけ? そうそう2002年1月 某審査機関の審査員が審査を受けた会社の費用でおいしい牛肉を昼飯に食べて問題になりましたね。
そんなの かわいいかわいい。
そんなことは21世紀だから話題になるんであって、前世紀では当然で新聞記事になるわけはありません。
当時は「昨日行った会社ではステーキが出た」とか「ホテルまで迎えの車を」なんて当然のようにおっしゃる方はたくさんいたのです。
何泊も出張していくつかの企業を審査するように計画していた某審査機関の審査員は、それぞれの企業に往復の出張旅費を請求していました。
セコイことをするものです。 
90年代後半から審査機関も市場経済となり審査費用も下がりましたし、審査の期日を審査側の都合だけで決めないで受査側の希望を聞くようになり、また審査員の技術レベルも上がりマナーも良くなってきましたね。
ISO審査機関も顧客満足というのを理解したのでしょうか 
通常の商取引のレベルになっただけともいえますね。
さすが、現在では「飯がまずい」なんて寝言を語る審査員はいなくなったようです。
それどころか、最近では弁当を持っていくようにしている審査機関もあるとか・・・
そうしますと、今度はお金を払う会社や工場がお客様となったようで、オープニングミーティングなどでは受査側をお客様と呼んでいる勘違い審査員もいるようです。 

それは明らかな間違いですからね・・・


まとめでございますが、

審査側、受査側、共に真のお客様を認識しなければなりません。
そして皆が力を合わせて、ISOの理想を地上に実現しなければならないと信じております。




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