第14条1項 (2002.12.25)
「すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。」

まず、この文章をすなおに読みくだすと
『すべての国民は法の下に平等であり、人種、信条、性別、社会的身分又は門地が異なっても、政治的、経済的又は社会的関係において差別されない。』
ということでしょうか?
とすればこの条文は政治的、経済的、社会的な差別を禁止してるのでしょうか?
もし、経済的差別を禁止すれば、憲法29条と矛盾し、社会的差別を禁止すれば憲法19条に反すると論理的に証明できそうです。
憲法がそんなことを規定できるはずがありません。
規定と規程、何が違うか?
規定は名詞ではなく、「規定する」という動詞で使われ、規程は定め・規則という名詞です。
会社によっては「○○規定」なんて社内規則がありますが、これは厳密に言えば誤用でしょう。
いえ、私は「御用!御用!」なんては言いませんが・・・・
閑話休題、
私はこの条文を理解できない自分の頭がおかしいのか? 理解力がないのか? 日本語が分からなくなったのか? 悩んでしまいました。 


結論から言えば、この文章は正しいのは単語だけで「語句の順序」も「てにをは」も「読点」の振りかたもみんな間違っています。
ということはもはや救いがないということです。
「なぜ、そんなに自信があるのか?」 とおっしゃいますか、英語原文があるじゃないですか。

第一に接続詞に関しては、
『人種、信条、性別、社会的身分又は門地が異なること』と『政治的、経済的又は社会的関係』の関係では全然ありません。
『人種、信条、性別、社会的身分又は門地が異なること』は「because of(の理由で)」で『社会的関係』につながっており、社会的関係とは・・という事例を示しているのです。
『人種、信条、性別、社会的身分又は門地』と『政治的、経済的』は原文ではまったく関係ないのです。

第二に上記理由により
『経済的又は社会的関係において』ではなく、『法の下に平等であり差別されない』ということです。
文中の『おいて』という格助詞の意味ですが、これは場所や場合を示しているのではなく「〜によって」とする解釈もあるのかもしれません。まあ、60年前の時代はそういった使い方もあり意味が違ったのかもしれません。
にしても上記第一の理由とその前後関係から意味をごまかすことはできませんよ。

ご無沙汰です

国語学者の銀田一先生です。
これらに注意して原文を正しく読むと、(といっても私の中学英語ですが)

「すべての国民は、政治的・経済的または人種・信条・性別・社会的身分又は門地といった社会的関係に関らず、法の下に平等であり差別されることはない。」

ということです。
憲法解釈の本を読みますと、実際そのように解説しています。
でも、それならばこそ、この文章はひねくれた論理あるいはまちがった言い回しといえましょう。
あるいは単に英語を理解できずにこのような文章にしたものの、その後英語をよく読んで解釈が定まったのでしょうか?
ああ、今日も更に憲法のおかしな点を付け加えてしまいました。


日本国憲法は良い憲法、大日本帝国憲法は悪法なんて思ってらっしゃる方いますか?
ぜひ大日本国憲法を読んでください。
少なくとも、旧憲法には『こりゃいったい、どういう意味じゃ?』という箇所はありません。
なんせ、たった2週間でこしらえた日本国憲法と違い、大日本帝国憲法は12年の歳月をかけて練り上げられたもんですからね、
私は旧憲法に戻せ!なんては言いません。
しかし、その完成度ははなはだしい格差があると考えます。
もちろん、大日本帝国憲法が良くできています。





では本日の復習です。



文章を書くには、主語と述語を明確にして、形容詞句がかかる語句を間違えないようにしましょう。




同じ単語が使われているから意味も同じだ、と早とちりしてはいけません。
同じ単語を用いてもまったく別の意味の文章にしているメディアやウェブサイトがあります。

『北朝鮮は日本から拉致した人々を速やかに帰すこと。』
  これは正論であり日本人すべての願いでしょう。
  ところが、
『日本は拉致された人々を北朝鮮に速やかに帰すこと。』
  と書いているメディアやウェブサイトがあります。
このような人たちはごまかす言い回しを日本国憲法から学んでいるのでしょう。
なげかわしいことです。


『拉致された人を返せ!』という叫びを『これは北朝鮮バッシングだ!』と書いている新聞がありました。
その論でいくと、真犯人に『あいつが犯人だ!』ということも誹謗中傷となるようです。
日本には正義はないのでしょうか?






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