22条2項 2002.05.30
「何人も、外国に移住し、又は国籍を離脱する自由を侵されない。」

憲法の条文には主語があるのとないもの、主語が不明なものと多種多様です。
21条は国家を主語にして、あっごめん、主語はないんですが、国家を主体として記述し、22条では国民を主体として記述している。

この一貫性のない文章はなぜなのでしょうか?
正確に言えば、
英語原文では21条1項は権利が主語、つまり『表現の自由は侵されない』のだが、なぜか日本文では『表現の自由は犯してはならない』となっている。
これに対して22条2項は英文、和文とも『何人も』が主語となっている。
とにかく現憲法は表現が変幻自在(わけがわかりません)でただ羅列したという感は否めません。
  うーん、わからん

迷文を批判しても仕方ないので、日本語を正すのは日を改めてと・・・

本条項では国籍離脱を認めていますが、『俺は日本人やめたもんね〜』といっても実は日本人をやめることはできないのです。
なんとなれば、現行法では国籍を持たない人を認めていないようなのです。

国籍法
第十一条  日本国民は、自己の志望によつて外国の国籍を取得したときは、日本の国籍を失う。
 2  外国の国籍を有する日本国民は、その外国の法令によりその国の国籍を選択したときは、日本の国籍を失う。
つまり、外国の国籍をとらない限り日本国籍を離れる(捨てる)ことはできないのです。

もちろん、外国の国籍は相手あってのことですから、ご本人が日本国籍を離れたくとも外国の国籍が得られるかは国内法で決めることはもちろんできません。

そこで疑問が出てきます。
無国籍となることが許されるなら、『誰でも日本国籍を放棄できる。』と法律で定めてもよいのでしょうか?
国籍法第13条
第1項 外国の国籍を有する日本国民は、法務大臣に届け出ることによつて、日本の国籍を離脱することができる。
第2項 前項の規定による届出をした者は、その届出の時に日本の国籍を失う。
これは外国の国籍がなければ離脱できないとしています。しかし、それを裏付ける憲法上の定めはありません。
ですから国籍法を改正して第1項の「外国の国籍を有する」の削除は可能なはずです。

それとも国際法上、自由意志で無国籍になることができないのでしょうか?

いずれにしても、文字解釈で行けば憲法22条2項と国籍法は矛盾しているようです。

本当なら本条は「何人も、外国に移住して日本国籍を離脱する自由を侵されない。」となるべきではないのかな?



そこで本日の疑問


自由意志で無国籍になることができないのでしょうか?
 ご存知の方、教えてください。

国外にいて、日本政府の保護を拒否したら、事実上の国籍離脱とはいえないのでしょうか?







改めて疑問が生じました。

憲法には国籍離脱についての記述がありますが、国籍を得るということについては書いてありません。
  もちろん、国籍法という法律レベルでは規定がありますが、、

日本が難民を受け入れないなんてことを批判されている方々、
憲法を改正しないと難民受け入れが困難ではないのでしょうか?

そこで、本条項の改正私案

「何人も、外国に移住して国籍を離脱する自由を侵されない。
善良で日本に忠誠を誓う者は日本国籍を得ることができる。」


忠誠という言葉に えっと思われた方、
国家に忠誠を誓わずして国家にはまぜてあげませんよ。
そりゃ当然、この理屈わかりませんか?





Yosh様からコメントをいただきました。(2002.06.10)

国籍離脱のこと。
  • 質問1 国籍から離脱することと国籍を放棄することはすこし意味が違うようにおもうので離脱と放棄の違いをおしえてください。
    すみません、私不勉強でご質問の回答を存じ上げません。
    ただし、憲法と国籍法においては国籍を放棄するという手段と手続きがないのは確かです。
    USAにおいては国籍放棄という手順が決めてあるのでしょうか?
    回答になりませんが・・・
  • 質問2 国籍法の言う外国の国籍を取得または選択した場合日本の国籍を失うのでしょう
    しかしその場合その人から日本国は国籍をとりあげるとは記載していませんね。
    これについては国籍法ではこう定めています。
    • 第11条(1項)  日本国民は、自己の志望によつて外国の国籍を取得したときは、日本の国籍を失う。
    • 第11条 2項 外国の国籍を有する日本国民は、その外国の法令によりその国の国籍を選択したときは、日本の国籍を失う。
    『失う』という言葉のニュアンスが喪失するのか、剥奪されるのか疑問ですが、結論としては同じことではないでしょうか?
  • 質問3 国籍離脱は該当国に自分で自分の死亡届を出すことと同じようにおもうのですが。
    出生しても届けないでおけば無国籍と同じことになるでしょう。日本国で今から百年前までは生存していてその人の生存を確認することができない人達が少なくなかつたそうです。
    確かに生まれても届けないでおけば日本の戸籍に載らず無国籍状態になりますが、あとで日本国籍の親の子であることが証明できれば国籍を取得できます。
    中国残留孤児などの例があります。
    おっしゃる意味は分かりますが、現在の法律では外国の国籍を得ずに自分の意思で日本国籍を放棄するという方法についての規定はなさそうです。


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