第27条2項 (2002.10.12)
「賃金、就業時間、休息その他の勤労条件に関する基準は、法律でこれを定める。」

ドクターN
本当はたくさん座布団あります
毎度、ばかばかしいお笑いを一席、
熊さん、八さんとご隠居でお笑いがとれるなら、こりゃ〜まあ、笑っていられます。

ところが、日本国憲法を語って笑いが取れるのですから、こりゃ〜あ、ちょっと困った事態かと・・・・
まあ、とにかく今晩もひとくさり・・・
善玉菌師匠友情出演


さて、本日の演題は憲法27条2項
「賃金、就業時間、休息その他の勤労条件に関する基準は、法律でこれを定める。」とあります。

この文章、主語ありません。
でも我らが日本国憲法のことですから、あまり期待水準を高く持っちゃいけません。
「法律で」とありますので多分、「国会」が主語であろうと推定します。
といっても文章の主語以前に検討を要することがあります、このさい主語はおいときましょう。

いつも申し上げておりますが、日本国憲法は日本語の悪文の見本として最適なものです。
決して憲法をまねして文章を書いちゃいけません。
憲法を反面教師として文章を書くとよい日本語がかけます。

日本国憲法を信じるものは救われる、日本国憲法に期待すれば落胆する。
(なにせ日本国憲法ですから)

この文章だけでは意味が通じません。
当然、第1項「すべて国民は、勤労の権利を有し、義務を負ふ。」を受けているわけです。
いつも申し上げておりますが、第一項に○1とは付きません。
謎です。
国民なら勤労(働かなくちゃならない)けれども、強制労働に就かせられることはない、賃金も勤務時間も、休憩もその他の労働条件も法で決めますよ!とのたまわっているわけであります。
  1. 今時は古文で「曰く」をいわくと読むのでしょうか?
    私どもの頃は「のたまわく」と読みました。ちなみに「のたまわく」とは『言う』の最上級の尊敬語であります。
  2. 別のところでも申し上げましたが、憲法では勤労、法律では勤労の代わりに労働と言う表現を用いています。
    まあ、これも粗製濫造憲法のことですからお許しください。
  3. 強制労働といいますと、すぐアア嫌がるものを無理やり働かせることだな、と考えます。社会主義国ではこれを矯正労働と表現するようです。
    こう言いますと、無理やりではなく根性が曲がっている者をまっとうにしようと親心から働かせるように受け取られます。
    誤解させるようなこと言っちゃイケマセンなあ・・・

なぜか、本日は脱線と言いましょうか、説明文が多すぎるようです。



少しマジメに

この条文の存在意義は何でありましょうか?
憲法とは99条がジグソーパズルのごとく隙間なく組み合わさり、国家の規範を明示するものであるはずです。
決して、ダブったり、言い足りないなんて事があっちゃいけないんです。


ISO規格なんてものすごく検証され、文章どころか、単語の一つ一つの要否、適否が判定されています。
定冠詞が要るか要らないかということが議論されるのです。
もちろん、使われている単語の定義もキチットされてますよ


また脱線、すみません、

さて、18条に「何人も、いかなる奴隷的拘束も受けない。又、犯罪に因る処罰の場合を除いては、その意に反する苦役に服させられない。」とあります。
少なくとも憲法のあるべき姿から考えれば、18条と27条2項は同じ次元のことではなく、まったく異なる理念を語っているはずでしょう。
同じテーマを繰り返し繰り返し語るのは、このウェブサイトだけにしておきましょう。

奴隷的拘束を受けないならば、人はその労働により適正な賃金を得るのは当然です。
奴隷的でなく意に反する苦役を強いられないとするなら、当然休憩などは保証されるでしょう。

憲法とは国家の大筋を決めるものであり、詳細は下位文書(怪文書じゃないよ)あるいは下位規定に振るのは当然だから、法律で定めるという文言は果たして必要なのか?
ちなみに日本国憲法では「法律で定める」という文言は35箇所あります。
『なんと、35箇所もあるのか!』 なんて言っちゃいけません。
それ以外の条文(99条は実は207のセンテンスから成ります)では法律で定めるなんていっていないのです。
なんでわざわざ、特定の条文でのみ法律で定めると言及しているのでしょう?



  謎です。 なんて言うまでもありません。
  粗製濫造だからでしょう




ではそろそろ本日のまとめに入りましょう



この条文は特段いらないようです。

紙の無駄、環境保護に反するようです。









黒ワイン様からお便りを頂きました。(2003.09.09)

第27条2項について
本条文は意味があると考えます。
この規定があることで国家は法律を定めなくてはなりません。現実には労働基準法や最低賃金法があります。もし、これらの法律がなければ劣悪な労働条件のもとで強制労働に近い労働環境がありえます。ご指摘の通り法律に丸投げですので、一見無意味に見えます。しかし、仮に最低賃金法で時給50円と定めたり労働基準法で、1日の労働時間を20時間以内というような規定をしたらどうなるでしょうか。
私は生存権の侵害として違憲を主張できるのではないかと考えています。(前述のような法はこの条文がなくても違憲だといえると考えますが、そもそも法律が制定されず自由競争に任せられると違憲の主張は無理であろうと考えられるからです)


ご高説ありがとうございます。
本条項に対する私の論は憲法の文言が錯綜し無駄重複があるということです。
その趣旨が気に入らんといっているのではないことをご理解ください。
もっともそれはこの条項に対してであり、すぐに廃止すべきだと考えている条項もありますが・・・
ひとつ例を挙げましょう。
「憲法14条1項 すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。」
この条項に関してたとえば性差別に関して憲法では「法律でこれを定める」とは記述していません。
現実には多数の法律において男女の平等あるいは女性の保護が延々と記述してあります。

さて、黒ワイン様、憲法において「法律で定める」と規定することの意味はなんなのでしょうか?
言い換えると「法律で定める」とあるものと「ないもの」の違いはなんなのでしょうか?
ご存知でしたらお教え願います。





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