第37条1項 (2003.01.20)
「すべて刑事事件においては、被告人は、公平な裁判所の迅速な公開裁判を受ける権利を有する。」

ここでは刑事被告人に関して規定しています。
皆さんご存知でしょうが、刑事事件では被告人といいます。民事の場合は被告です。
刑事被告人といいますとちょっとダブっているような気がします。
しかしながらその程度でこだわっていますと、語義・定義がめちゃくちゃな憲法ですから前に進みません。ここではそんな瑣末なことにはこだわらずに進みましょう。

刑事事件にはどんなものがあるのでしょうか?

刑法犯の区分
凶悪犯殺人殺人罪、殺人予備罪、自殺関与・同意殺人罪
強盗強盗殺人罪、強盗傷人罪、強盗強姦罪、強盗・準強盗罪
放火 
強姦 
粗暴犯凶器準備集合罪 
暴行 
傷害傷害罪、傷害致死罪
脅迫 
恐喝 
窃盗犯侵入罪 
乗物盗 
非侵入盗 
知能犯詐欺 
横領横領罪、業務上横領罪
偽造通貨偽造罪、文書偽造罪、有価証券偽造罪、印章偽造罪
汚職賄賂罪、職権濫用罪
背任 
風俗犯賭博普通賭博罪、常習賭博罪、賭博開帳等罪
わいせつ強制わいせつ罪、公然わいせつ罪、わいせつ物頒布等罪

たくさんありますね、
なにしろ人間は罪を犯すために生まれてくるどころか、キリスト教によると罪を背負って生まれてくるわけですからね
いえいえ環境保護の立場から言えば、人間の存在そのものが犯罪と断定されてます 

刑法犯の被害者は誰でしょうか?
殺人は殺された方でしょうか?
警察が面子をつぶされるからなら警察でしょうか?
詐欺はだまされた人でしょうか?
売春は被害者なき犯罪なんておっしゃる方もいます。
被害者がいなきゃ犯罪じゃないでしょ!

  • 盗電(とうでん)って知ってます?
    東京電力ではありません。電力線から無断で電気を取ることです。昔はありました。今もあるかもしれませんが(^^)
    おお、いいじゃんか、誰にも迷惑かからないし
     とんでもない。被害者は電力会社じゃありません、電気を買っているみんなです。
     一般家庭が盗電の電気代も払わされているのです。
  • 保険金詐欺、被害者は保険に入っている人みんなです。
     それによって保険金が上がるからです。
  • あなたがシートベルトが面倒だ!といってシートベルトをしないことは自動車保険に入っている人たちの保険料を上げる原因になるのです。・・・・シートベルト未着用は刑法犯ではありませんが
sensei.gif刑法犯の被害者は国とか行政ではなく、国民全員です。もちろん、国民全員とかひとりひとりということではなく、総体としての国民です。
だから民事と違い、国家が国民の代わりに告発し裁判にかけてくれるわけです。
もちろん、時代により、道徳や価値観によって刑法犯の範疇、範囲は変わります。
江戸時代はあだ討ちというものが合法でした。もちろん勝手に殺すことはできません。藩政府の許可がいりました。今はあだ討ちはできません。
わいせつというのも時代と共に変化しています。現状追認という懸念もありますが??
殺人事件の被害者は殺された人だけではありません。ご家族だけでもありません。北海道から沖縄までの国民みんなです。
確認しましょう、刑事事件の被害者は当事者だけでなく、国民みんなです。

さあ、そうしますと刑事裁判の顧客はだれでしょうか?犯人ではありません、
検察でもありません、総体としての国家、それを構成する国民一人一人です。
ISOで顧客とはアウトプット、成果を受け取る人を言います。
お金を払う払わないとは無関係です。
そういった前提を踏まえてこの条項を考えていきましょう。 この項は三つの文章に分かれます。 それぞれについて考えていきましょう。
  1. すべて刑事事件においては、被告人は、公平な裁判を受ける権利を有する。
    刑事裁判の顧客が国民であるすると公平な裁判を受ける権利をもつのは国民であることは当然です。

     ★被告人も権利があることは明白です。

    被告人にとって公平な裁判であれば国民にとっても公平な裁判でしょうか?
    この命題は私には証明はできそうありませんが『真』であるような気がします。
    よって、この文章は正当であるとしましょう。

  2. すべて刑事事件においては、被告人は、迅速な裁判を受ける権利を有する。
    疑問が二つあります。
    • 被告人が迅速な裁判を受ける権利を持つことを保証していますが、顧客である国民が迅速な裁判を受ける権利を保証していません。
      判例においては刑事訴訟において審理が著しく遅延するときは打ち切る(起訴を取り消してしまう)という救済手段さえ認めています。
      しかし、ちょっと待ってください!
      オウム事件をはじめとして被告人側がえんえんと裁判を長引かせることは多々あるといいますか、そのような裁判が非常に多い!
      そのうち恩赦でもあると見込んでいるのでしょうか?
      被告人が引き伸ばそうとする権利(?)を有することは認めるとしても、国民は被告人と検察、裁判所に対して迅速な裁判の進行を求める権利があるはずです。
      裁判の長期化は国民の権利の侵害です。一刻も早く判決を求めることは犯罪の防止にもなりますし、裁判にかかる費用(税金)の削減になるからです。

    • 第二には、刑事裁判では迅速と記していますが、民事裁判については迅速と記していません。
      民事裁判は長引いてもよろしいのでしょうか?
      ご存知のように民事訴訟は、特に行政訴訟はながながとだらだらと続くのが・・・・・

  3. すべて刑事事件においては、被告人は、公開裁判を受ける権利を有する。
    例外規定のないこの文章では憲法82条2項と矛盾します。
    概要を定め詳細は下位規定あるいは判例にゆだねるのは法のハイラルキーから言って当然でしょうが、憲法の矛盾を下位規定あるいは判例に任せるのはいかがなものか?
以上をまとめるとこの条項を少し修正することを提案します。
もちろんご異議は尊重いたします。
反論をお待ちいたします。



憲法37条1項改正案


すべて刑事事件の被告人は、公平な裁判所の迅速な公開裁判を受ける権利を有し、またそれに協力しなくてはならない。
なお、別途定める場合においては公開裁判を行なわないことを認める。



この文章は2400字くらいです。
毎日このくらいの文章を書いておりますと、仕事でも文章を書くのが苦痛でなくなります。
A4で20ページくらい、30,000字くらいの報告書なんてお茶の子さいさいです。
oldman1.gif


えっ、内容ですか? それはまあ・・・・・





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