第43条1項 (2002.07.31)
「両議院は、全国民を代表する選挙された議員でこれを組織する。」

この文章は単純に見えますが、一筋縄ではいきません。
分解しましょう。

「両議院は、全国民を代表する選挙された議員でこれを組織する。」というこの条項は次の文あるいはフレーズに分けられます。
言葉は大事じゃ
   (1)両議院は、議員でこれを組織する。

   (2)その議員は「選挙された議員」である。

   (3)「その議員は全国民を代表する」


(1) 両議院は、議員でこれを組織する。

では(1)から考えましょう。
確かに衆議院とか参議院とかいうものに属する人は議員と呼ばれるのですからこの切り取った文は当たり前あるいは無意味と言えます。

  委員会に属する人は委員
  研究所で働く人は所員
  警察署で働く人は署員
  巨人軍に属する人は巨人軍選手といいますからね
(^^)

(2) その議員は「選挙された議員」である。
では(2)まいります!
確かに衆参両院ともすべての議員は選挙によって選ばれた方であることは間違いありません。
世襲とか抽選とか推薦で議員になった人はいないようです。
しかしながら、最近は与野党双方ともに親も議員だった、あるいは今も親が議員であるというような世襲としか思えないような方も多く・・・・
そりゃアメリカ大統領だって親子や叔父甥があったじゃないか?
そうかもしれません。
でも今の日本の国会は名前だけ見たら40年前と変わらないんじゃないかな?

  小泉さん
  鳩山さん
  橋本さん 地方には弟さんもいらっします。
  小渕さん
  田中さん・・・・辞任されますと、修正するのが大変です。
  河野さん
  福田さん
  石原さん・・・・オヤジさんは知事がんばってます。
  麻生さんは苗字が違うけど・・



(3) 「議員は全国民を代表する」

何か中身がない条文のような気がしてまいりました。
最後の期待をかけて(3)を拝見しましょう。

「議員は全国民を代表する」

 むっ??これはいかなることを意味するのでしょうか?

 「議員は選出母体に関わらず、全国民を代表しなくてはならない」ということでしょうか?
 「選挙で選ばれたのだから、全国民を代表しているはずだ」
 「議員は全国民を代表するとみなされる」

どんな意味でしょうか?
こりゃ日本語憲法をいじっていても仕方ありません。

英語原文に立ち返りますと、、
Both Houses shall consist of elected members, representative of all the people

ちなみに『代表』の原語は『representative』で、英英辞典によりますと『a perason who has been chosen to act or speak for somebody or for a group』
直訳しますと、『個人や団体のために行動したり発言するために選ばれた人』すなわち代表と言うよりも代理者のような感じです。

原文を直訳すれば
『両議院は、全国民の代理者として選挙で選ばれたメンバー(議員)で構成されなければならない。』

   shallは命令形であることを忘れずに!

日本語の『代表』というのはいささかこういう意味とは異なるかと思います。

実を言いまして、ISO9000とかISO14000にも『representative』というのがでてきまして、それがなんと訳されているかご存知でしょうか?
『管理責任者』なんですよ! 笑っちゃいませんか(^^)
本来は最高経営層に代わり、品質や環境担当の役員が勤めるべき職務が日本では「管理責任者」!
ですから、ほとんどの企業では品質管理課長とか、環境施設課長なんて人をこれにあてています。
本来ならば『品質担当役員』とか『環境担当役員』でなければ勤まりませんよ。
議員は国民を代表するものでも、代表すべき者でもありません。
議員は国民の代理者です。
私たち国民はみな自分の仕事、たとえば会社に行って機械を動かしたり、商店で物を売ったり、トラックを運転したり、畑できゅうりを作ったり、家庭で赤ちゃんの面倒を見たりまあそんなことに忙しいので、国民からお金(歳費)を頂いて、国民の代わりに国の運営をしているにすぎません。


この翻訳をしたメンバーは、議員は偉いんだ!国民の代理者なんかじゃない、代表者なんだ、いや本当は国民の上に立つ者なんだ!と認識していたに相違ありません。

それはまったくの間違いです。




本条項の改定案
   受身は日本語になじみなせん。ひとつ能動態で、


国民は両議院の議員を選挙で選ぶ。

簡単 明瞭でいいじゃありませんか。

ね、だから選挙は大切よ






第43条1項 その2 (2005.03.21)
国会議員にはリコールという制度がないのだそうです。
憲法第43条に記述されている <全国民を代表する選挙された議員> とは選出された選挙区の代表ではなく、国全体の代表という意味なそうだ。
そんなわけで一度選出されたなら、国民の代表であるので、選出区においてのリコールというのがありえないということらしい。
でもそれはおかしいと思う。
過去おかしな国会議員はたくさんいたし、現に今もいるし、これからもゴキブリのように湧き出てくるに違いない。そういった議員はいつでも取り替えることができなくてはならない。
そうでなければそれこそ憲法第15条、43条に違反である。

ではどうしたらよいのか?
現憲法の仕組みにおいて考えてみた。
man2.gif 後法優位の原則にならって、後選優位の原則といいまして(今作った言葉です  同じ選挙区で再度選挙をし、新しく代議士あるいは参院議員が選ばれた瞬間に前任者が失格するという仕組みです。
おれは○○県○区第85代代議士だといばっていると、ある日突然、「私は○○県○区第86代代議士です」という人がきた瞬間にただの人になってしまうのです。

あるいは国会議員のリコールは全国区で行ったらどうでしょうか?
「あの代議士は学歴を詐称しているのにまだ居座っているぞ!」とか、
「あの代議士は北朝鮮に拉致された人に冷たい、きっとあっちから金もらっているんじゃねえか?」
といった場合は全国民が賛否の投票に参加するといったらいかがでしょうか?
しかしなんですね、この場合、リコールが成立すると選出区の選挙民のメンツ丸つぶれですからね・・・この方法はどんなもんでしょう。
更に補選した結果また同じ人を選んだりしたら・・・これは全国からの笑いものですね 

もっとも国会議員にもリコール制度を!と唱えている人は、法律学者にも市井の人にも多くいる。
立法化を求めたい。


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