第50条 (2003.04.24)
「両議院の議員は、法律の定める場合を除いては、国会の会期中逮捕されず、会期前に逮捕された議員は、その議院の要求があれば、会期中これを釈放しなければならない。」

ハーイ、本日はとうとう憲法の折り返し点となりました。
エッ、なんのこと?
だって日本国憲法は99条ですから50条ならちょうど真ん中、折り返し点ですよ!
日本国憲法は103条なんて言っちゃおしめえよ
読んだことがないのがばれちゃうじゃあないか。
  (寅さん曰く)
この条文は二つの文から成ります。
・衆参両院の議員閣下は法律の定める場合を除いて国会の会期中は逮捕されない。
・会期前に逮捕された議員は、その議員の要求があれば会期中は釈放される。

では分析開始!
  • 両議院の議員は、法律の定める場合を除いては、国会の会期中逮捕されない。

    数も少ないですから使われている単語を見ていきましょう。
    • 両議院の議員
      なぞです これは衆参両院の議員として選出された者ということで疑義はございませんでしょうか?
      早飲み込みの方は衆参両院の議員を親に持つ者と勘違いするかもしれませんが、そうじゃありません。過去に衆参両院の議員でなかった親に持たない者がどのくらい衆参両院の議員にいるのか私寡聞にして知りません。
    • 法律の定める場合
      憲法では具体的にどんな場合に不逮捕特権があるのか明記しておらず、ぜーんぶ法律に投げてます。
      法律は誰が定めるのでしょうか?国会議員です。
    • 国会の会期中
      国会が開会している間ですか?国会の開会は年一回(第52条)だそうですから、『逮捕されそうだ、危ない!』と思った議員は会期延長を発議すればよいのでしょうか?
    • 逮捕
      刑事訴訟法でいう逮捕、拘引だけでなく広い意味で拘束されることをいうそうであります。

    この文章の一般的な解釈では「犯罪事実が明白で逮捕権の濫用の可能性が少ない場合、例外を認める」のだそうです。結果として院外においての現行犯とその院の許諾のある場合に限定されているそうです。とはいえ、許諾の決定基準があいまい、期限はどうなのか?というのが分からないところです。
    私が思いますには、この文章はまったく無意味でしょうね、
    だって法律にすべてを任せているのですから(俗にまるなげといいます)議会がどう決めてもいいわけでしょう。

    公共工事のまる投げを非難して、憲法のまる投げを批判しないのでしょうか?

    憲法の規定からは、すべてにわたって不逮捕特権を認めると決めても合憲ですし、またはは懲役刑以上の罪が科せられる時を除いてとしても、あるいはすべてにわたり不逮捕特権を認めないとしてもいいはずです。
    全然不逮捕特権を認めないのは憲法に反するとおっしゃいますか?ならば「通常なら逮捕されるべき行為をした国会議員であって、道具を使わず空を飛べるなら不逮捕特権を認める」と表現すれば憲法違反を逃れることができます。ヨカッタデスネ

    おっと、おばQ  や麻原ショウコウならば特権にありつけそうです、

    あなた国会議員なら良識があるからおかしなことはしないとは・・・・・思ってもいないでしょうね! 

    現在有効な最古の憲法であるアメリカ憲法を参照しますと・・・・
    アメリカ憲法 第1条 第六節(アメリカ大使館訳)
     (1)上院議員および下院議員は、その役務に対し、法律で確定され、合衆国国庫から支出される報酬を受ける。両議院の議員は、反逆罪、重罪および公安を害する罪以外のあらゆる場合において、会期中の議院に出席中、あるいはこれへの往復途上で、逮捕されない特権を有する。議員はまた、議院内における発言あるいは討議について、議院外で審問されることはない。
    なるほど、反逆罪、重罪および公安を害する罪以外の場合に不逮捕特権が認められるのだそうです。

    明快です。日本国憲法は迷怪です

    はじめに「法律に投げている」と書きましたが、この憲法そのものが支離滅裂でさじを投げているのかもしれません。
    「さじをなげる」って意味ご存知ですか?実は私の先祖は伊達藩の御殿医(ウソです)
    こういう話なら任せてください。
    昔は薬を調合するのにさじを使いました。そこからさじ加減という言葉が生まれ、そしてもう救いようがなく薬を作ってもしょうがないという時、医者はさじを投げたんであります。

    ちなみにやぶ医者とは、
    竹やぶは笹の葉で向こうが良く見えません。それで病名がつかめない医者のことをやぶと呼んだのです。
    ついでに言えば、まったくダメな医者は「土手医者」といいます。やぶなら風の具合で向こう側が見えることがありますが、土手があればまったく見えないでしょう。

    では第二文にまいりましょう。

  • 会期前に逮捕された議員は、その議院の要求があれば、会期中これを釈放しなければならない。

    これは前半よりはすこしは意味が明確です。逮捕された議員は議員要求がなければ釈放されない、つまり法律に投げてません。国会の議決に投げてますが 
    わかりません   あれ!
    するってと、刑法犯であっても凶悪犯であっても議員が要求すれば釈放するということですよね、
    文言をよっく読んでください、例外規定はありません。
    日本の国会議員は悪いことをしないよ、とか、国会もまさかそこまではせんだろう、なんていっちゃいけません。
    その論理ですと憲法そのものが不要ですよ!
    国民と国家が契約したことを明文化したものが憲法であるはず、


はい、本日の結論は


この条文は多いに疑義があります。
ひとつマッカーサーの祖国のアメリカ憲法をお手本に見直そうじゃありませんか、
そのほうがいっそう国民の権利を保護すると思います。
護憲論者の方々、ご異議ござらんでしょうね。



ハイ、あとがきであります。
みなさんご存知のように、私はいつもあまり考えないで文章を書いております。この条文は昨夜書きかけ、本日読み直して推敲(オイオイ)してみました。

その結果、
お分かりのようにまったくいつもの愚文・駄文と変わらないことが判明しました。 
駄文でゴメンネ


やす様からお便りを頂きました(07.08.14)
HP拝見させて頂きました。
高校で憲法について考える課題をきっかけにHPを拝見したのですが、憲法についていろいろな見解を見ていてとても面白かったです。
ここが本題なのですが、課題をするにあたり50条の不逮捕特権が問題となった事例を探しているのですが知識が浅く何を探せばいいかわからないという状態です。よろしければこれについてのアドバイスをお願いします。
やす様 お便りありがとうございます。
過去、この不逮捕特権が申請されたのは18回で認められたのは16回だそうです。
googleで不逮捕特権と入れるとその全事例が表示されます。
みますと、その容疑は
容疑回数
業務上横領
収賄
贈賄
公職法違反
あっせん収賄
背任
詐欺
政治資金規正法違反

もちろん上記の中にはその後、無罪となったものもありますが、いずれも政治家として疑われた罪状としてはあまり誇れるようなものではないようです。
誇れるような罪状って何だといわれると言葉に詰まりますが、詐欺とか収賄では憲法でわざわざ保証するまではないような気がします。

内田様からお便りを頂きました(07.12.18)
どうも、はじめまして。
僕は埼玉県の中学生3年生です。
では、本題にはいります。
社会の授業で憲法をひとつ選びそれについてレポートを書くことになりました。それで、僕は憲法50条についてかくことにしました。一応色々調べたんですがあまり意味がわからないんですが簡単に教えてください。出来れば深く教えてください
内田様 お便りありがとうございます。
まず、私は法律の専門家じゃありません。単なるしろうとです。でも物好きで調べものが好きなしろうとです。
ということを前提に話します。
憲法50条というのは日本国憲法に特有なものではありません。悪の代名詞のように言われている大日本国憲法にもちゃあんと同じ条項があります。(第53条)
アメリカ憲法にもあります。(第一条第6節)
北朝鮮憲法にさえあるのです。「第84条 最高人民会議代議員は、代議員としての不可侵権の保障を受ける。最高人民会議代議員は、最高人民会議、その休会中には最高人民会議常設会議の承認なく逮捕できない。」
だからこれは誰が考えてもそのようなところに落ち着く普遍的な決まりのような気がしませんか?
そんなことを考えると面白いでしょう。日本国憲法の条文のわずか33文字を読み返してもあまり得るところはありません。いろいろな憲法を見比べて同じところ、違うところを考えるとすぐにレポート用紙10枚くらいになります。
簡単にもまとめることができるでしょうし、深く考えることもできるでしょう。
お断りしておきますが、私は簡単に教えたりしないんです。しかし考え方を教えたつもりですよ。
頑張ってください。



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