「衆議院が解散されたときは、解散の日から四十日以内に、衆議院議員の総選挙を行ひ、その選挙の日から三十日以内に、国会を召集しなければならない。」

いつも申し上げておりますが、第５４条ではありません。第５４条１項です。お忘れなく、

さてこの条文も難解きわまります。イエ、中身の解釈以前に国語として正しいのか？はなはだ疑問であります。

• はじめの謎
  まず主語は誰でしょうか？
  ちなみにこの憲法では同じ条の中の項であっても主語が同じとは限っておりません。
  
  私の語ることを本当かどうか疑ってくださいね。
  
  実はひとつの条に複数の項があるときのそれぞれの項の主語が同じか否か数えました。憲法の条文の中で項を有するものの内約６割の主語が異なっています。
  ゆえに同じ条文の中であるとしても主語は同じではないのです。（証明終わり）
  
  総選挙を行うのは選挙管理委員会（公職選挙法第１７条）、国会を召集するのは天皇（憲法第７条）、臨時会の召集を決定するのは内閣（憲法第５３条）と定めがある。
  しかし通常国会の召集の決定者の主語はない！　招集者は天皇である。
  されば天皇は内閣の助言なしに国事行為を行うことを憲法が認めているのか？
  

  この条文のまま主語を補おうとするといくつもの言葉を補わないとならないようです。
  
  「衆議院が解散されたときは、『選挙管理委員会は』解散の日から四十日以内に、衆議院議員の総選挙を行ひ、『内閣は』その選挙の日から三十日以内に国会の召集を決定し、『それを受けて天皇は』国会を召集しなければならない。」
  疲れました　

• 次なる謎
  この憲法通りとしますと、解散してから国会が機能するには最低で７０日、実際には解散前は混乱状態でしょうし、特別国会で首相が決まるまでにひと悶着ありますので、実際にはそれ以上の権力の空白が生じることになります。
  

  ところで議席が２０にも満たない国民の代表ともいえない政党がああだこうだと騒ぐのをまともに相手することもなさそうですが・・・

  この動きの激しい時代に、そんな悠長なことでよろしいのでしょうか？
  
  想像ですが、終戦直後、日本の鉄道はズタズタ、もちろん飛行機は飛んでない。九州や東北北海道選出の国会議員が選挙区に帰って選挙運動をするにはそのくらいの日数が必要だったのではないでしょうか？
  当時は東京福岡間２日くらいかかったのかもしれません。
  今現在は東京福岡は日帰り可能です。
  

  おかげさまで出張族は苦労しております。私が若い時は東京〜大阪といえば一泊できたのですが・・・

  中国で発生した伝染病（おっと、今は感染症というそうです）がジェット機ですと半日で日本に来てしまう時代、北朝鮮のテポドンなら２０分で来てしまう今日現在、選挙に二月もかけていたのでは日本は消滅してしまうのではないかと・・・・
  
  
• 更なる謎が続きます。
  任期満了に伴う通常選挙はいつまでに選挙をしなければならないと決めていないのです。
  するってえと、解散をすれば内閣はいやがおうでも選挙をしなくちゃいけませんが、任期満了のときは選挙をしないでほおっておいても憲法違反ではないようです。
  
  もちろん公職選挙法第三十一条
  
  1. 衆議院議員の任期満了に因る総選挙は、議員の任期が終る日の前三十日以内に行う。
     
  2. 前項の規定により総選挙を行うべき期間が国会開会中又は国会閉会の日から二十三日以内にかかる場合においては、その総選挙は、国会閉会の日から二十四日以後三十日以内に行う。
     
  3. 衆議院の解散に因る衆議院議員の総選挙は、解散の日から四十日以内に行う。
  とはありますが、
  
  うーーん、憲法で定めない些細なことを法律で定めるのは当然です。でもね、解散の場合の日数まで憲法で定め任期満了のときは法律に丸投げ！という整合性のなさに困ったもんだというより、憲法のだらしなさを非難したいものです。
  
  ところで『解散の場合４０日以内』となぜ公職選挙法に憲法と同じことを記述しているのでしょうか？
  無駄、重複はやめて欲しいものです。
  図面を書いたことないのですか？図面屋は決して同じ箇所の寸法を２箇所に書いてはいけないのです。一箇所しか書かないで、誰でもすぐに読める箇所に書く、それが図面屋の意地ってもんでしょうが、

では本日のまとめでございます。

この条文をいかに改良したらよいのでしょうか？
道遠く途方にくれそうです。
ひとつ言えるのは、日本国憲法にはまともな日本語でない文章が多々あるということです。

まったく日本語教育がなっとらん！
日本語も正しくあやつれなくてどうする！