第59条第2項2004.09.20
「衆議院で可決し、参議院でこれと異なつた議決をした法律案は、衆議院で出席議員の三分の二以上の多数で再び可決したときは、法律となる。」

文章として形になっており、意味は理解できます。
でも一応、英語原文で再確認しておきましょうか、
A bill which is passed by the House of Representatives, and upon which the House of Councillors makes a decision different from that of the House of Representatives, becomes a law when passed a second time by the House of Representatives by a majority of two-thirds or more of the members present.
日本国憲法の中では珍しく原文直訳の文言である。翻訳者も59条あたりまで来たので脚色をするのに疲れてきたのかもしれません。 

二院制を採用した場合、それぞれの議決が同一であるとは限らない。言い換えれば、両院の議決が同一であれば二院制を採用する意味がない。
共産主義国家の全部が一院制だったのは、一党独裁であってその議決は独裁者の考えであるのは当然であり、二院制を採用する必要はなかったというのが真相だろう。
「それなら二院制どころか一院すらいらないのではないか?」
おっと、あなたいい疑問ですよ、 

そのとおりなのです。でもね、それじゃあ、あまりにも独裁(毒裁?)ってバレバレだから、北朝鮮のような王政国家でも一応は選挙とか議会があるわけです。もっとも北朝鮮では誰に投票するかも指定されているそうです。それって選挙って言うんでしょうかね?
イラクでもフセインが政権をとっていたときに、信任投票で100%支持なんて結果でしたが、投票指示がなければ絶対そんなことはありませんよ。
民主主義であることを証明するには、政局が混乱していることが必要である。
なんてね 
二院制を取るかぎり、双方の議決が異なる場合があるのは当然である。
よって二院制であれば双方の議決が異なる場合の処置を決めておかなくてはならない。

と単純に言えるものではない。
両院が異なる決定をした場合収拾がつかないとよくいわれますが、これは本当でしょうか?
    まず両院の議決が異なった場合の処置として次のようなことが考えられます。
  1. 放置する。
    この場合、その法案は棚上げあるいは廃案となるというのが相場だろう。あるいはまた次回に再審議としても良い。
    man7.gif アメリカ憲法でも一方が否決した場合云々という手順はありません。ということは自動的に廃案です。かの国で日本より長く憲法が機能していたことを考慮すれば、そのたとえ話は偽であり、そんな深刻なことではなさそうです。
    日本でも現実には、衆院で可決後、参院で否決して再度衆院で審議せずに会期満了で廃案!なんてのはたくさんあります。

  2. 両院で調整する。
    両院で協議の場を持っても一致点を見出せないときはどうするのか?ということになるが・・・どうするかは任意に決めてもよいことだろう。

  3. 一方を他方に優先させてちゅうぶらりんの状態を避ける。
    まさに日本国憲法はこの思想である。ただし、完全に優先すると決めれば、あまりにも両院の力に差がつくと思ったのか、成立させるためには再議決が必要とし、かつその成立要件を過半数ではなく3分の2と工夫したのだろう。
世の中には理屈だけでは決めかねることがあります。そんなとき、みんなで相談して決めたことを約束事といいます。
マイナスかけるマイナスはプラスになります。これは理論的にそうなるのであって、約束事ではありません。
右側通行がいいのか、左側通行がいいのか、これは理屈もへったくれもありませんから、大勢がいいと思うほうを採用することに問題ありません。これは約束事です。
大昔、日本が戦争に負けて、戦勝国が押し付けた憲法では両院の議決が異なったときはこうするんだと決めていたに過ぎないということです。

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よって結論

この項で定めている手順は二院制の運用の約束事として特段異常であるとは認められない。
よって、継続か廃止かは国民が決めればよいことである。
決して、最高裁の判決や国会で決めるようなことではない。

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