第66条2項2001.12.11
「内閣総理大臣その他の国務大臣は、文民でなければならない」

中学校の社会科で憲法のこの条文の説明として「軍人は大臣になれないんだよ」と習いましたがホントでしょうか?
『文民』とは何でしょう?
『文民』という言葉を使っているのは憲法ではこの条文だけと5本の法律の各一箇所だけです。但し、5本の法律はすべて「本国における国際連合の軍隊の・・・・」という書き出しではじまるものであり、文中での使用は『この法律において「軍属」とは、派遣国の国籍を有する文民(派遣国及び日本国の二重国籍者については、当該派遣国が日本国内に入れた者に限る。)で、当該国際連合の軍隊に雇用され、これに勤務し、又はこれに随伴するもの(通常日本国内に在留する者を除く。)をいう。』というまったくの同文でのみ使われています。憲法でも法律でもそれ以上の定義あるいは言及はありません。想像しますにこれら5本の法律は占領軍が進駐軍になった時の軍属の扱いかと想像します。(間違ったらごめんなさい)いずれ結論としては文民とは法律上定かでないことだけは確かです。

広辞苑によりますと文民とは『軍人でない人』とあり『civilian』とあります。
では英英辞典を引きますとcivilian(a person who is not in the army, navy, airforce, or police force.)police force というのがいささか不明でありますが、警察軍あるいは機動隊のことを言うのでありましょうか?いずれ文民とは軍人じゃないことのようです。
しかし憲法制定時に日本には自衛隊も軍隊もありませんでした。
憲法が公布されたのが1947年5月で、自衛隊の前身 警察予備隊が発足したのが1950年6月です。
それなのになおかつ文民といっているのですからこれは一体なにを意味するんでしょうか?
憲法制定当時日本に軍人はいなくて、かつ総理大臣他国務大臣は軍人であっちゃちゃいかんとはまったく意味のない言葉と思えます。

今現在は現実に自衛隊が存在するわけですから、それを踏まえて考えてみましょう。
公職選挙法により公務員は選挙で選ぶ公職に立候補できないことになっておりますから自衛隊員が在職のまま国会議員になることはありえません。総理大臣は国会議員の中から選出することになっており(67条)、自衛隊員が総理大臣になることはありません。
支離滅裂よね! 国務大臣の過半数は国会議員から選出することが憲法で定めてあります。(68条)いいかえると半数以下の国務大臣は国会議員でなくてもよいわけです。じじつどの内閣でも国会議員でない大臣が一人ふたりはいます。
するとこれにより総理大臣は文民であることという一文はまったく無意味なことになります。かつ過半数の国務大臣も自衛隊員であるはずがありません。もちろんその他の公務員や消防署員や郵便局員も国会議員になれないのです。
するとこの項の意味するところは「国会議員以外で任命される国務大臣が自衛隊員でないことを要求しているだけ」ということになります。
うーん、いまいち主旨が分かりません。
よくシビリアンコントロールといわれます。軍人は政治に関わってはならない。軍人をコントロールするのは政治家であるということでしょう。
この憲法を書いた人もそう言いたかったと思いますが、憲法の文言は支離滅裂としか思えません。
論理的にはちゃめちゃですもん、


本日の教訓
この条文はよく分からん?
分かる人教えてください!


やはりこれは憲法起草者は真に独立を回復した後に日本人によるまったく別の憲法を制定すべきと考えて非論理的な憲法を作ったとしか思えません。
そう思われる方いらっしゃいませんか?



2002.01.21追加
「日本国憲法を考える」(西 修)によると、
9条2項は日本側が入れたそうです。(芦田修正)
これは1項で述べている「武力による威嚇または武力の行使」を行うための戦力は持たないということであり、「防衛のための戦力は当然保有する」ということだそうです。
GHQのケーディス大佐がこれを見た瞬間に自衛のための戦力を持つことが可能と理解して、その上でそれを認めた代わりに軍人が国務大臣になれないように66条2項を追加したと述べています。
これが事実なら本項は意味があります。
憲法が整合性を持つためには戦力を持たねばならないようです。

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すきまです