第68条第1項 (2004.03.14)
「内閣総理大臣は、国務大臣を任命する。但し、その過半数は、国会議員の中から選ばれなければならない。」

あれえ、第7条でも国務大臣の任免について書いてたはずです。
何が違うのでしょうか?
第7条 天皇は、内閣の助言と承認により、国民のために、左の国事に関する行為を行ふ。
 五号 国務大臣及び法律の定めるその他の官吏の任免並びに全権委任状及び大使及び公使の信任状を認証すること。

Article 7(5) Attestation of the appointment and dismissal of Ministers of State and other officials as provided for by law, and of full powers and credentials of Ambassadors and Ministers.
Article 68(1) The Prime Minister shall appoint the Ministers of the State. However, a majority of their number must be chosen from among the members of the Diet.
えー、英文を読むまで私は第7条第5号の文章を誤解しておりました。
man7.gif 天皇は「国務大臣及び法律の定めるその他の官吏の任免、並びに全権委任状及び大使及び公使の信任状を認証すること。」とばかり思っておりましたが、そうではなかったんですねえ〜
天皇は「国務大臣及び法律の定めるその他の官吏の任免並びに全権委任状及び大使及び公使の信任状を、認証すること。」だったんです。
浅学を恥じます。でも100人に聞けば半分くらいは間違えるんではないでしょうかね?
私の文章は句読点が多い、短い文章が多い、改行が多いなんて特徴がありますが、このボケ憲法よりは理解しやすいのではないでしょうか?
まあ、とりあえず第7条との違いは理解しましたので、第68条1項について考察(愚考?)を進めていきましょう。
  • 第一文「内閣総理大臣は、国務大臣を任命する。」
    おお!この支離滅裂な日本国憲法にしてはめずらしく、主語述語があるではないか?
    形容詞句、副詞句がないところからみると内閣総理大臣は外部からの影響を受けずに独断で決定すると解される。
    派閥や連立政党のご意向や国民受けするかなんて瑣末なことに気を取られずに、「ワシャこのひとを大臣にする」と決定できるはずです。
    そうしますと北朝鮮の御曹司を丁寧にお返ししたトンデモ大臣を選んだのは選挙でお世話になったからではなく単なる気の迷いだったのですね、
    しかし、と考えるのですが、
    内閣総理大臣が任命し罷免するならば、総理大臣はもっとシャキとして国政に当たるべきです。
    内閣総理大臣は内閣の第一人者ではなく、全権者なのです。
    man1.gif
    同時に第66条3項にあるような「内閣は、行政権の行使について、国会に対し連帯して責任を負う」なんていうことは論理的に不整合です。
    だって総理大臣の御意思で選ばれてお気に召さなければ罷免される立場の人間が連帯し無制限な責任なんて負えるはずがありません。
    「内閣総理大臣は、行政権の行使について、国会に対し一切の責任を負う」ではないのでしょうか?

  • 第二文「但し、その過半数は、国会議員の中から選ばれなければならない。」
    これは約束事としかいいようがありません。
    約束事とは相談して決めたということで、理屈とかじゃないということです。
    お互いに納得したんだからいいよね、ということでしょう。
    行政府の長(内閣総理大臣)を国会から選出するということと、行政府の幹部(国務大臣)の過半数を国会から選ぶということは関連がありません。
    全員を国会議員から選んでも、全員を国会議員以外から選んでも、もちろんそれ以外の比率に決めたとしても成り立つわけでありましょう。
    想像するに、全部国会議員から選ぶとすると良い人材がいない、全部他から選ぶとするとやっとこ国会議員になったのに大臣になれない人が文句を言うということなのでしょうか?
    まあ、日本は三権分立でない!という証拠のひとつでありましょう。


本日の結論でありますが、


本条項のみをとらえて論ずれば、特段可もなく不可もないというところでしょうか?



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