終審とはなんぞや?
2002.11.21追加
実を言って法律、憲法で『終審』の定義はない。
憲法ではここでだけ使われている。
法律ではただ1本次の法律でのみ使われている。
裁判官分限法(昭和二十二年十月二十九日法律第百二十七号)
第三条(裁判権)○2 最高裁判所は、左の事件について裁判権を有する。
一 第一審且つ終審として、最高裁判所及び各高等裁判所の裁判官に係る分限事件
二 終審として、高等裁判所が前項の裁判権に基いてした裁判に対する抗告事件
この条文からは『終審』とは三審制の最後の裁判として使われていることが分かる。
広辞苑においても『審級制度における最終裁判所の審理』つまり三審制において三審めのことらしい。
三振じゃないよ! 
しかし、この条文において『終審』を『三審である』で解釈しては『行政機関は、終審として裁判を行ふことができない』というのはいくら考えても意味が通じない。
毎度のことながら原文はどうなのだろうか?
No extraordinary tribunal shall be established, nor shall any organ or agency of the Executive be given final judicial power.
ええとですね、乏しい英語力ですが・・・
Final judgment なら最終的な裁判だろう
しかし、この文はいささか異なる。
final judicial power とは『最終的な司法上の権力』あるいは『司法上確定できる権力』ではないのだろうか?
するってえと、この文章は、
『特別な裁判所は設立してはならん、かついかなる行政府の組織・部門も司法に関わることについて確定的な判断をする権力を与えられない。』
ということじゃないのだろうか?
そう解釈すれば、憲法76条1項と矛盾することはない。
この条項がおかしいと感じたのは日本語にした時、終審という言葉を当てたのがまったくの間違いではなかろうか?
行政機関による終審裁判の禁止とは?
司法試験の受験参考書によりますと、、
行政機関も審判の制度として、人事院の裁定、公正取引委員会の審決、選挙管理委員会の決定などが行政機関による審判の制度であるというのが適切で、司法機関にかける前に担当行政機関が迅速に事件の処理にあたることが行政サービスの向上になるという考えだそうです。
難しい法の理論からの説明だそうですが、私は語義をそのままたどり、単なる誤訳であったというほうが論旨明快であろうと思います。
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