第81条2001.12.15
「最高裁判所は、一切の法律、命令、規則又は処分が憲法に適合するかしないかを決定する権限を有する終審裁判所である。」

三権分立とはご存知のように立法、行政、司法のこと。世の中はすべて『じゃんけんぽん』のグー、チョキ、パーのように三すくみでないとバランスが取れないということでしょう。
もっとも現在はこの他に市民運動、圧力団体、報道機関、最近ではインターネットもそれぞれが国民・国家に対しての影響力を強めています。
そうそう、日本の場合、それ以上に外国の発言が国家運営に影響していることを肝に念じておかなくてはなりません。
国家において最優先されるのは国民の意思です さて本題に戻りまして、最高裁判所は法律と下位の規制に関して憲法との整合性を判断する機関であり、かつ最終的な判断であると書いてあります。
結論としてこれは論理的、現実的に正しいと考えます。実際に機能しているかはまた別問題ですが、
しかしながら、ある法律あるいは国家の行為が憲法に適合している、あるいは適合していないと判断しても、それはその法律や行為が正しいとか正しくないと判断するのではないことを確認願います。

ISO9001あるいはISO14001という言葉を聞いたことがあるでしょう?
品質や環境に関する会社の仕組みが国際規格に適合しているかを審査し、適合あるいは不適合を判定するものです。適合と判定されますと審査機関の台帳に登録されます。『ISOとったぞ!』とか『認証を受けました』というのは本当は間違っておりまして、正しくは『審査登録』といいます。
審査をする人は品質システム審査員あるいは環境マネジメントシステム審査員という資格が必要です。
この審査員の仕事は『会社の仕組みがISO規格に適合しているか?合わないところはないか?』ということを見るだけです。
ISOで定めている機能に欠けていれば品質がよく、利益をあげていても不適合となり、どうしようもない会社でもISOの規格を満たしていれば適合となりめでたく免状がもらえます。
わたしISOに関わって9年になります。ご異議、ご質問あればお便りください。

なんかISO審査と最高裁の位置付けって似ていませんか?


本日のおさらい

法律、規則が憲法に適合しているか、否かは最高裁が判断します。
憲法が現実に適合しているか、否かは国民が判断します。



木下様からお便りをいただきました。(2008.04.19)
下級裁判所の暴走
第81条 最高裁判所は、一切の法律、命令、規則又は処分が憲法に適合するかしないかを決定する権限を有する終審裁判所である。

よって憲法上、下級裁判所である名古屋高裁は最終的な違憲立法審査権を持たない。それにもかかわらず、主文と関係なく、またなんらの拘束力をも持たない「傍論」で法律が違憲であると判断した。しかも最高裁判所で違憲であるか否か判断する機会を奪ったのである。
本当に違憲だと思ったのなら、法律を廃止させなければならないのは自明の理でしょう。最高裁の判断を仰ぐべきです。それを「ついで」で違憲としてしまったから何も出来ない。
憲法を軽んずる輩が裁判官をやっていたのかと思うと、ぞっとしませんね。

木下様 毎度ありがとうございます。
さてさて、判決の主文は
 1.本件控訴をいずれも棄却する
 2.控訴費用は控訴人らの負担とする
はあ?謎は深まります。

この判決のおかしなところは、原告が訴えたのは差し止めであって、憲法違反ではありません。
憲法違反というなら、イラク支援派遣の法律制定時に憲法違反というべきです。
だから原告もこのような判決がでるとは期待していなかったはず。内心というか内々ではそういう期待と反応があったのかもしれませんが、訴えと判決がかみ合っていません。
ということは、この判決は単なる裁判官の所信表明なのではないでしょうか?
実際にマスコミでは「判決自体が憲法違反」という声も上がっています。
サヨクも画期的判決というまえに、訴えと答があっていませんというべきではないのでしょうか?

しかしこの判決を検索すると喜ぶ人ばかりというのも変なことです。
トマトソース様からお便りをいただきました。(2008.04.19)
名古屋高裁判決支持
開戦前にアメリカが主張していた大量破壊兵器も、アルカイダとの繋がりも無かったとアメリカ自身が認めている。現在イラクは深刻な内戦状態にあり多くの民間人が毎日のように死んでいる。責任の一切は戦争を起こした米英とそれを支持した日本をはじめとした諸国にある。大義の無い侵略戦争に日本が荷担する理由など無い。よって名古屋高裁の判決は全く妥当である。
トマトソ−ス様 毎度ありがとうございます。
あなた様のお考えに触れると、いろいろな考えがあるのだと勉強になります。
本日のご意見を伺いまして、さっそくひらめくものがありました。
今回の裁判というのは、次のようなたとえ話になるかと思います。

窃盗犯に裁判官が判決を言い渡しました。
主文 有罪、懲役6月
しかしながら人の物を盗んではいけないと憲法に書いてないから、刑法235条は憲法違反の疑いがある。

トマトソース様 このたとえでよろしいでしょうか?

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