92条 2002.02.06
「地方公共団体の組織及び運営に関する事項は、地方自治の本旨に基いて、法律でこれを定める。」


いちおう、SVOはあり文章としてはまともです。
どの解説書でも疑問視し、言及するのは『地方自治の本旨』です。
『地方自治の本旨』(principle of local autonomy)って何でしょうか??

この言葉を用いている法律は憲法を除いて4本あります。
いずれの法律も現憲法以降の法律で、定義はなく、それを実現するためという意味で使われています。
西 修さんは地方自治の本旨とは『団体自治』と『住民自治』であると書いています。
私には少なくとも憲法の条文からだけではそうとは読み取れません。
この条文に関して憲法9条のような解釈論議は聞いたことありませんが、意味不明なことではそれ以上?
定義もない言葉が上記の法律で引用されていますが、この法律に基づいて公務員は本旨を理解され職務に勤めることができるのでしょうか?
謎です。
憲法で『地方自治の本旨に基づき法律で定める』と述べ、法律で『地方自治の本旨に基づいて・・・する』と述べて、あうんの呼吸で物事は進むのでしょうか?
謎です。
一般的に用いられていない言葉は明確に定義して用いるべきでしょう。
もしくは『地方自治の本旨』なんて言葉を使わず『地方自治とはなになにである』と明確に記述すべきでしょう。 憲法や法律の文言から見ると『地方自治の本旨』とは明確に言ってはならないタブーのようであり、私にとっては理解困難です。



私の結論

憲法の条文からだけでは『地方自治の本旨』は分からない。
当然、それに基づく地方公共団体とはいかなるものかわかりませ〜ん。

わかりませ〜ん



英語力 プアーな私ですが、、
『principle of local autonomy』を『地方自治の本旨』と訳すのは適切なのだろうか?
 principle ⇒人が正しいと確信の上にある規則あるいは作法、基本的な法
 local ⇒地域的
 autonomy ⇒地域や組織に属する人が持つ、所属する社会の行政や関連する出来事に関する権利
直訳すると『ある地域に住む人が地域の出来事に関しての権利行使に関する規則あるいは手順』とでも言えばよいのだろうか?
いずれにしても、principle は『本旨=本来の趣旨(広辞苑)』ではなく、『原則=根本的な規則(広辞苑)』であることは間違いない。
なにが違うか?
伝えたいおもむき=趣旨に則るのではなく、明確なルール=原則に従うという違いがある。



地方自治の本旨を理解できないのは私だけではなかった。
2005年3月15日 全国知事会は憲法改正問題についての特別委員会を知事会の中に設置を表明
「地方自治の本旨に基づいて定める」とする憲法92条について
「本旨とは何かが示されておらず、国の過剰な関与を招く一因となっている」

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