第95条 (2003.05.25)
「一の地方公共団体のみに適用される特別法は、法律の定めるところにより、その地方公共団体の住民の投票においてその過半数の同意を得なければ、国会は、これを制定することができない。」

この世の中、すべてはお金である。
お金といって聞こえが悪ければリソースといってもいい。
国会は税金(リソース)をいかなる用途に使うか、安全保障、福利厚生、教育の分配を決めることだと言い切っても間違いではない。(まあ、表現が荒っぽいことは認めるが)
存在理由はなさそうです
国民が納めた税金を1円たりとも何に費やすかの決定権は国会にある。当然地方公共団体のリソースの分配は当然地方公共団体の内部にある。
広く国民から集めた税金を一地方の何に使うかを決定するのだってその決定権(責任)は国会にあり、それは国会議員を選出した国民すべてがその決定に等しく関与する権利を有し責任を負うからである。

憲法でも決めているじゃないか、
「第41条  国会は、国権の最高機関であつて、国の唯一の立法機関である。」
であれば国会は国内のすべての法律を制定する責務を有する。

一地方にしか関わらない法律なんてありません。その元になる税金には国民全部が関わっているのです。だから「一の地方公共団体のみに適用される特別法」って、存在しないんじゃないかと考えます。
それなのに当該自治体の住民が議員の選出と法案の賛否の二度にわたって関与する権利がある理由を私は知らない。


旧軍港市転換法(昭和二十五年六月二十八日法律第二百二十号)は憲法のこの条文に従い住民投票にかけられたそうであります。
同法附則抄
3 前項の住民の投票において、その過半数の同意を得られなかつた市があつたときは、その市は、旧軍港市のうちから除かれるものとする。
この法律を読んで住民投票が要るとお思いでしょうか?
私はそうは考えません。

国家が法律を制定するのに、該当する地方あるいは自治体の住民投票を要するという根拠はなんだろうか?
「法律は原則として国会の議決で成立するが本条はその例外である。」(司法試験の参考書より)なんて簡単に言って欲しくないのです。


私が思いますのは、地方自治の範囲をもっと広げ、税金を地方交付税なんてけちなことを言わないで、外交、防衛以外はぜーんぶ地方公共団体に任せるよ!という体制にしたらどうでしょう?

人によっては「廃県置州」と呼んでいる方もいます。

その代わり一切の法律の制定権は国会にのみ存するはずです。



はい、本日の結論は

本日の提案「第95条を廃止する。」

いりません





黒ワイン様からお便りを頂きました。(2003.09.09)

こんにちは、黒わいんと申します。
ホームページ拝見しました。
95条について この条文の趣旨は、例えば、「東京都だけ消費税を5倍にする」という法案がでた場合に、東京都以外の国民が全て賛成し、東京都以外出身の国会議員が全て賛成したならば、不平等な法律が成立しうるからだと考えます。
しかし、「東京都以外の消費税を5分の1にする」という法案であれば、今度は東京都の人の意見が反映されず、成立してしまいます。
よって、理由は異なりますが第95条は実質的意味がなく廃止してもよいかと考えます。


お便りありがとうございます。
出張続きでしたのですこし準備運動をさせてください。


この枠の中に書いてあることはうそです。

この文章は病的です。 多分誰も信じないでしょう。

この枠の中に書いてあることは本当です。

この文章なら信じてしまう人がいるかもしれません。
しかし病的なことは前の文章と同じです。

さて黒ワイン様が考えた仮定のものではなく、現在日本にはたくさんの産地限定、いえ適用地域限定の法律があります。
    ちょっと例を挙げれば
  • 本州四国連絡橋の建設に伴う一般旅客定期航路事業等に関する特別措置法
    (昭和五十六年六月九日法律第七十二号)最終改正:平成一四年五月三一日法律第五四号
  • 瀬戸内海環境保全特別措置法
    (昭和四十八年十月二日法律第百十号)最終改正:平成一二年五月三一日法律第九一号
    第一条  この法律は、瀬戸内海の環境の保全上有効な施策の実施を推進するための瀬戸内海の環境の保全に関する計画の策定等に関し必要な事項を定めるとともに、特定施設の設置の規制、富栄養化による被害の発生の防止、自然海浜の保全等に関し特別の措置を講ずることにより、瀬戸内海の環境の保全を図ることを目的とする。
  • 東京湾横断道路の建設に関する特別措置法
    (昭和六十一年五月七日法律第四十五号)最終改正:平成一五年五月三〇日法律第五四号
    第一条  この法律は、民間の資金、経営能力及び技術的能力を活用して東京湾横断道路の建設を図るための特別の措置を定めることにより、その建設を促進し、もつて東京湾の周辺の地域における交通の円滑化に資することを目的とする。
  • 新東京国際空港の安全確保に関する緊急措置法
    (昭和五十三年五月十三日法律第四十二号)最終改正:平成一五年七月一八日法律第一二四号
  • 阪神・淡路大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律
    (平成七年二月二十日法律第十一号)最終改正:平成一五年五月三〇日法律第五四号
    第一条  この法律は、阪神・淡路大震災の被災者等の負担の軽減を図る等のため、所得税法 (昭和四十年法律 第三十三号)その他の国税関係法律の特例を定めるものとする。
  • 阪神・淡路大震災に対処するための特別の財政援助及び助成に関する法律
    (平成七年三月一日法律第十六号)最終改正:平成一五年六月一一日法律第七五号
    第一条  この法律は、阪神・淡路大震災に対処するため、地方公共団体等に対する特別の財政援助並びに社会保険の加入者等についての負担の軽減、中小企業者及び住宅を失った者等に対する金融上の支援等の特別の助成措置について定めるものとする。
上記法律を読んでいただければ一部地域が有利な法律は多々あることをご理解いただけたでしょうか?
表現が悪ければ「一部地域のための法律」と言い換えましょう。
黒ワイン様が例に挙げたのは一部地域が異常に不利なケースですが、現実にはそういったものはなく、逆のケースは多々あります。
現実にこういった法律が国会で本条に該当しないものとして成立している事実をエビデンスとして提示します。
私は震災にあわれた方々への支援立法がいかんと言っているのではありません。
私の言いたいことは一部地域に有利不利ということにかかわらず、国会議員は日本全体の国政に関して立法する権利があり、その決定に関して地域住民の賛否を問う論理的必然性はないということです。
黒ワイン様 wrote:
今度は東京都の人の意見が反映されず、成立してしまいます。
よって、理由は異なりますが第95条は実質的意味がなく廃止してもよいかと考えます。
そのような「実質的な意味がない」という理由ではなく、「論理的に必然性がない」のです。
ところで、準備運動の意味はあったでしょうか? 





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