憲法違反とは(その14) 2002.05.04

  国会であるいは集会で『憲法違反だ!』と叫ぶ方がいます。
憲法違反だ!

特に土井たか子社民党委員長がその役に似合っていますね。
その晴れ姿に、思わずほれぼれとしてしまいます。

憲法違反とは何でしょうか?
憲法違反だという言葉にはいかなる意味合いが込められているのでしょうか?

 国民は支持していないよ!
 憲法は不磨の大典、これに反することはお天道様につばをかけること!
 憲法に反する法律は作れないよ!

まあ、そんなことなんでしょう?
では、意味がどうあれ、どうしたらいいのか考えて見ましょう。


 まず、憲法とは国家を規制するものです。
 憲法を作るのは国民です。


憲法違反とは何か? すると、基本的に一人の国民が憲法に定めることに反するならともかく、大多数の国民が憲法に異議を唱えるのは憲法違反とかいう問題じゃありませんよね?

国会議員は国民によって選ばれます。
 そりゃ民主主義ですからね、
その国会議員が法律を作ろうとするなら、それは国民の多数意見を反映していると思えないでしょうか?
仮に、現在の国会議員が国民の現時点の意見を反映していないならば、解散を請求すればよろしいでしょう。
もっとも、世論調査などで論点の是非を問うた結果、賛成が多数ならもはや論ずる必要はありません。
提案されている法律は憲法の記述に関わらず、今現在の国民に要求されていると判断するのがまっとうなことでありましょう。

もしもその法律が規定する内容が、現在の憲法の条文と趣旨が合わないと判断されるなら、憲法を変えようとするのが民主主義というものでしょう。

違いますか?

あっ、これではじめに揚げた憲法違反の疑問のすべてに答えてしまいました。
国民が憲法違反であると裁判所に提訴する権利は当然です。(憲法81条)
しかし、立法の場で法律を審議する過程において、『憲法違反だ!』というのはいささかおかしいのではないでしょうか?
なんとなれば、己が法律を作り、憲法改正を審議するのですから、
  立法の責任を司法に頼ってはいけません。
現実が憲法と乖離しているなら、それを合わせよう、整合性を取ろうとするのが立法府のお役目ではありませんか?
『憲法違反だ!』という発想自体が 責任逃れ ではないでしょうか?

 あるいは、言いにくいのですが、

  「私たちはこの法案に反対よ!
    だけど少数だから憲法違反という理由で阻止するのよ」


 ということと違いますか?


 それじゃあ、あんまりアンフェアじゃありませんか!!!

では少数派が、多数派の提案する法案に是が非でも反対したいとき、どうすればよいのでしょうか?

国民の少数にしか支持されていないならとるべき道は多くありません。
 ・自分たちの主張のほうが正しいんだ、国民よ支持してくれ!と叫ぶこと
それでも支持を得られず法案を阻止できなければ、諾(だく)とするしかない。



本日のまとめ

それでもなお『私はいやよ!』と叫ぶなら

  それは民主主義ではなく、

 駄々をこねると言います。





護憲主義者の謎?(その17) 2002.06.03

憲法シリーズを書き始めて、はや7ヶ月、毎日くらい憲法を読み直しています。
もうかれこれ数百回は読み返したと思います。

現憲法を読みますといろいろ疑問がわいてきます。
読めば読むほど謎が深まります。
推理小説としては最高ですって?
とんでもない、こんな謎解きでは最低のできですよ、
アガサおばさんとか、コロンボには笑われて相手にしてもらえないでしょう。

主義とかの観点ではなく、論理的に日本語として本当におかしな言い回し、矛盾に気付きます。
    憲法ってだめじゃない?
  • ひとつの条文内に矛盾があります。
  • 憲法の複数の条文の間に矛盾があります。
  • 現実との乖離・・運用していない、できない条文
  • 達成不可能な条文
  • 責任を放棄した条文
  • 主語がなく理解不能な条文
    幸い(?)英語原文があります(^^)
  • 同じことをダブって規定している条項
  • 未定義の言葉の使用・・・結果として意味不明?
  • 道徳を規定したような条項・・憲法は道徳律だったのか?
  • 国家としての規律なし・・・日本は団地の自治会だったのか(??)

まあ、詳細は私の個々の拙文をご査読いただくことに願います。
それにつけても、おおきな疑問といいますか謎が消えません。

それは、護憲主義者がなぜこの矛盾に気がつかないのか?
あるいは気付かないフリをしているのかということです。



私は武装を持たない主義を信じる人、主張することも是とします。
私有財産を禁止しようという思想もありと思います。
天皇制を廃止しようとする運動もあってもおかしくないと思います。

しかしながら、それならば自分の主義に合わせて憲法を改正しようと発言しませんか?
旗幟鮮明にして自分の主義の是非を問うことが個人として、政党としての覚悟であり、矜持ではありませんか?
それとも半人前のミソッカスとしてお兄さん、お姉さんの陰から世の中を見ているのですか?


私は現在の憲法の都合のいいところをつまみ食いし、憲法を守れ!と声高に叫ぶ非道徳な主義者を許さず、決して相容れないことを宣言します。




ということで本日の主張


護憲とは現憲法をあるべき姿と考えて維持しようとすることではない、
護憲とはご都合主義だ!  それはご都合主義であり、
 道徳的ではなく、
 わがままな、
 子供じみた、
反民主主義の思想であり、運動である。
あるいは俗に言う思考停止なのかもしれない



反論するなら、このホームページに腐るほどある憲法批判に対して擁護するご意見をお願いしたい。

この憲法が矛盾がなく、整合したものであると立証されたなら
現状のまま維持しようとする主義を認めよう。



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なぜこんなことを書き続けるのか?(その18) 2002.06.05

検索エンジンで「憲法」を探すと、あるわあるわ・・・
残念ながら、このホームページは上位50位くらいまでにはありませんでした。
もちろん50位以下にあったというわけでもなく、多分決して出てこないのでしょう(**;

  

検索エンジンで出てくるホームページの過半は『平和憲法を守ろう!』というものであり、
その他もいかに憲法を学ぶべきかというのが多いです。
『憲法を見直そうよ』という意見はわずかであります・・・

不肖おばQ、この半年、ほとんど毎日憲法の条文を読み返し、考えておりますが、結論はいかなる主義思想であっても現憲法は矛盾が多いと感じることは事実でしょう。

これほど一生懸命にはISO規格も勉強しませんでしたね・・・・

自由主義にしても、社会主義にしても現憲法は中途半端な上、私が書き出したようなた〜くさんの矛盾に溢れているのです。
  困ったことですね、

各条について個々の矛盾をあげつらねる私は多分労多くして、成果の得られない方法を取っているのは確実です。

本当に良い憲法を作ろうとするなら、読売新聞社櫻井よしこさん、あるいはその他大勢のように『まったく新しい憲法を起案したほうがベスト』の方法であることは間違いありません。
いえいえ既にそれらの方々が立派な草案を作られているのですから、それを基に更にリファインする議論をしたほうが建設的だろうと感じています。


では、あえてなぜ私は現憲法の重箱の隅を突つく批判をしているのでしょうか?
もちろん聡明な皆さんはご存知でしょう。


この日本には前述したように『現憲法が世界に誇るすばらしいものだ、』と信じている方がいるからであり、そういった方々、そしてそれを見聞きしている方々に、『そうじゃないよ、現憲法はとんでもない代物だよ、大変なんだ!』ということを知らしめたいと願っているからです。
そして、『ほんとかよ?』と疑問を持ち、既に前述した方々が作られた立派な憲法草案に関心を持っていただき、『なるほど今の憲法じゃどうしようもないな!何とかせねば!』と感じて欲しいからです。


某掲示板に下記のような書き込みがありました。
  (引用を訴えられるのを避けるため若干表現を変えてます)

憲法第9条は日本の戦争放棄をうたうだけでなく、同時に日本を守っていることを忘れてはいけない。
戦争を放棄し、平和を願う国を誰が攻撃するのでしょうか?
仮に攻撃したとしても国際社会が許しません。
「北風と太陽の話」でもわかるように、自分他の国を守るのは、平和憲法を守ることだと思う。
そのとおりだとお考えの方もいるでしょうね?
でも本当でしょうか?
  • 憲法9条は日本を守ってきたのでしょうか?
    戦後50年、日本を守ってきたのは紙に書かれたヘボ憲法ではなく、アメリカの核の傘と自衛隊であったことはいうまでもありません。

  • 平和を願う国を誰が攻撃するのでしょう?
    残念ながら、私は十分な武装のない国を攻撃する国家ならたくさん知っていますが、武装して侵略に備えている国を攻撃する国を知りません。

  • 攻撃したら国際社会が許さない!
    そのとおりです。
       でも、許さないって、武力でもって制裁することでしょうね?

    クウェートを侵略したイラクを武装した国際社会は許しませんでした。

    日本は湾岸戦争で大金を払いましたが、クウェートからは感謝いただけなかったようです、

  • 北風と太陽のお話、ためになりますね。
    でもあれはイソップさんが書いた寓話であって国際安全保障を語ったものではないようです。
    すくなくとも私は自分の命と日本の運命をイソップ物語に預けるほど無用心にはなりたくないですね、

    それと、イソップ物語を引用するなら原本をお読みになってね(^^)
    イソップさんは決して非武装平和主義ではなかったようです。



ということで本日の主張


憲法を守ろうというアジを飛ばす人々がいる限り、
私は、憲法は間違っていると叫ばなければならない。
きっとこれをきっかけにまじめに憲法を考える人が増えるに違いない。
そう信じなければ悲しくないか?



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