日本国憲法は名文だろうか?(その21) 2002.11.21
お久しぶりです
ご無沙汰しております、国語学者の銀田一先生です。
名文とは何でしょうか?
あなたはどんなイメージがありますか?
誰の文章が好きですか?


ここにいくつかの文章をあげてみました。一読してください。


  • この法律は、環境の保全について、基本理念を定め、並びに国、地方公共団体、事業者及び国民の責務を明らかにするとともに、環境の保全に関する施策の基本となる事項を定めることにより、環境の保全に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、もって現在及び将来の国民の健康で文化的な生活の確保に寄与するとともに人類の福祉に貢献することを目的とする。

  • われら合衆国の人民は、より完全な連邦を形成し、正義を樹立し、国内の平穏を保障し、共同の防衛に備え、一般の福祉を増進し、われらとわれらの子孫のうえに自由のもたらす恵沢を確保する目的をもって、アメリカ合衆国のために、この憲法を制定する。

  • 日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、われらとわれらの子孫のために、諸国民との協和による成果と、わが国全土にわたつて自由のもたらす恵沢を確保し、政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。

  • 朕惟うに 我が皇祖皇宗 國を肇むること宏遠に徳を樹つること深厚なり
    我が臣民克く忠に克く孝に億兆心を一にして世々厥の美を濟せるは此れ我が國體の精華にして教育の淵源亦實に此に存す
もちろん、賢明なるみなさんはお分かりでしょう。
第一は『環境基本法第一条』
第二は『アメリカ憲法前文』
三番目は我らが『日本国憲法前文』
最後のものは『教育勅語』でございます。


まあ、主義思想がございましょうが、
まさか上の文章のうち日本国憲法前文が一番名文であるなんてはおっしゃらないでしょうね 


環境基本法

人類に貢献する!という熱意と大志あふれる文章はすごいと思います。
    ちなみに日本の法律で『人類の福祉に貢献する』と宣言しているのは
  • 特定製品に係るフロン類の回収及び破壊の実施の確保等に関する法律
  • 地球温暖化対策の推進に関する法律
  • 南極地域の環境の保護に関する法律
  • 科学技術基本法
  • 国際交流基金法
  • 環境事業団法
  • ユネスコ活動に関する法律
  • 日本赤十字社法
そしてこの、環境基本法だけであります。
名文か?と言えば異論があるかもしれませんが、堂々として、簡明であり、法律の文章としてよろしいのではないでしょうか?



次のアメリカ憲法  でありますが、
いささか文章が長い感じはいたします。しかしひとつの文に5W1Hを盛り込んで、独立の理念を言い切っております。

元気があってよろしいじゃありませんか?
これは翻訳文(アメリカ大使館公式訳)ですが、難解なんてことはありませんよ、
憲法や法律は小説じゃありません。この文章グッドであると思います。



教育勅語いかがでしょうか?

いくら私だって、戦後生まれですから教育勅語を唱した世代ではありませんよ、
しかしながらこの教育勅語、リズミカルで決して言いにくい文章じゃございません。
中身だってまったくそのとおり!と思います。
ご批判される方全文をよく読んでお考えください。
天皇が言ったからキライ!という方がいらっしゃるかもしれませんが、じゃあキリスト様が言ったと思ってよくお読みください。
その論旨のなかで間違っているところありましょうか?
私、これ名文であると思っております。



さて、我らが日本国憲法前文であります。
いかがでございましょうか??

いくらなんでも、憲法の第一行から『戦争してごめんなさい、許してください』と書いている憲法があるだろうか!!
まったく自虐史観これに始まると言ってもいい。
私たちは平和な国を作るといってもいいが、ちょっとこれ自尊心がなさすぎですよ・・

憲法前文を次のように評した方がいらっしゃいます。

政府案前文を読みますと、まことに冗漫であり、切れると思えば続き、源氏物語の法律版を読むが如き感がある。極端に申せば、泣くが如く、訴うるが如く、嫋嫋として尽きざる"る"(糸)の如しと言いたい。
一抹の哀愁すら漂っている。これ果たして経国の大文字と言うことができるでありましょうか

  *経国:国家を治めること

これを言ったのは右翼ではない。社会党鈴木義男議員であった。
当時の社会党は決して北朝鮮を支持するような偏向いえ、偏執的ではありません。
A級戦犯を靖国に弔え!と正論を語っております。


後継党たる某政党はその矜持・日本人の心を失ってしまったのでしょう。





本日の結論



日本国憲法の前文は支離滅裂であるだけでなく、名文ではない!
私たち国民はもっと堂々とした、自尊心あふれる、子供たちと声に出して言いたくなるような憲法を持ちたいと願ふ






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