憲法のこれ(その25) 2003.01.13
ななし様からお便りをいただきました。
憲法の言い回し
憲法の言い回しは、口語調で書かれていても、どこか漢文調で、回りくどく、また、いらない指示語が多い。
とくに、『これを』という指示語がやたらに多い。その多くは、それをとっても意味は全く変わらないのです。
無用な指示語はいらないですね。

おっしゃるとおり『これ』という語が日本国憲法でなんと「78回」使われています。
驚くほどの数です。
私たちの日常会話で「これ」という言葉がツーセンテンス(2行)に一回の割合で使われるとは思えません。
憲法103条で78回ですから、概算でそんなもんでしょう。
家内との会話で「あれ」「それ」「これ」が出ると『老化現象だ』と断定されてしまいます。
よって我が家では「新聞取ってくれ」とか「テレビのボリュームを二つ上げてくれ」というように完全な文章を話さなければならないことになっております。
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『お〜い、あれとってくれ』『あれじゃ分かりません!』

会社でも、「独り言」と「こそあど言葉」を多発すると老化現象だと若い者から笑われます。
憲法で大量に使われている「これ」とはいったい何を意味するのでしょうか?
日本語版と英語原文と対照しました。
大変な労力でしょうとおっしゃいますか? アッ、言わないですか? 
 私、毎度駄文を書いておりますが、結構裏をとっておるのです。
結論ですが、
『which』や『it』など原文で代名詞を用いているもの8箇所
英文では明確な主語があるにもかかわらず『これ』、『それ』を用いている。多数
原文でもなく、日本語としてもなくともよいのに入れている。多数
原文に形式主語があるが日本語にないもの若干

これから見ますと、英語原文を日本語に訳したから形式主語などが「これ」となった、のではありません!
日本語として記述するときに「これ」「それ」を追加したのがほとんどです。
それによって分かりやすくなったのでしょうか?
翻訳者が誤解されないようにと考えたのでしょうか?
誤解を防ぐ効果があったのでしょうか?
分かりません。
言えることは、日本国憲法の「これ」の使い方は一般的な日本語ではないということは確実です。
日本国憲法が日本語で書かれていないという証拠でしょう。
英語を素直に日本語に訳したほうが分かりやすいのに!と思われるところが多いのです。

現在の日本語で書かれた「日本国憲法」はその分かりにくい表現、主語のない受身、無駄な「これ」とかによって英語原文の意味を十分伝えることができなくなってしまったのです。

これは由々しきことです。
いったいぜんたい、こんな文章で50年以上国家の憲法だ!なんてよく威張っていられたものです。
そしてこんな文章をすばらしい、世界に誇る憲法だと発言していた方々はいったい日本語の読み書きができるのでしょうか?

日本国憲法の護憲、改憲論議を進めるためには、もう一度英語原文に立ち返り、日本語として意味が分かるように翻訳しなおすことが議論を進める上で必要かと愚考いたします。



本日の反省


日本国憲法にはまだまだ謎があります。
私が気づかなかった『これ』を教えてくれた方、ありがとうございます。
未熟さを実感いたします。
日本国憲法探求の旅は終わりそうにありません。





ななし様よりコメントいただきました。(2003.01.13)

どうもありがとうございます。
何気ない投稿が、このような形になり、驚いております。大変恐縮です。

さて、憲法の謎をまた見つけました。
もう、気が付かれているかとも思いますが、憲法のある章の名称の非一貫的なことです。四章『国会』、五章『内閣』とあれば、次は六章『裁判所』となるのが普通ですが、実際は、『司法』。なんですかこのいい加減さ(笑)。まあ、有名な話ではあると思いますがどうでしょう?
お便りありがとうございます。
ご指摘の箇所はけっこう有名なようです。西 修先生もおかしいと指摘しています。
私の考えでは日本国憲法そのものが矛盾だらけなのでこれをとりあげてどうこう言うまでもなさそうな気がします。


私なりにその原因を考えました。  何事にも原因はあるのです。
マッカーサーの原文ではそれぞれ対応する語は次のとおりです。
日本語英語英語の意味
国会DIET
国会や議会を意味します。
『立法』という語義はなさそうです。
内閣CABINET
原義は箱、そこから会議室となり内閣の意味になりました。
ですから特段『行政』という意味はありません。
司法JUDICIARY
政府の司法機関、裁判制度、集合的に裁判官といった意味です。
よって『裁判所』という意味はもともとないようです。だから『司法』と訳しても間違ってはいないのでしょう。
多くの方が指摘しているように国会や内閣と釣り合いが取れないのは確かです。それらに合わせるためには『裁判制度』とするべきだったのでしょう。
私に声がかからなかったのが残念です。

  次回はぜひハンドルネームを名乗ってください。
  ななし様がおおぜいいらっしゃるので間違えてしまいます。




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