日本国憲法前文(その2) (2004.05.01)
私は日ごろ、会社でも自宅でもマイクロソフトワードというものを使っている。10年以上前は専用ワープロ機だったし、その後は一太郎とか悪太郎とか与太郎とかさまざまな遍歴を経たが、デファクトスタンダードというものには勝てず、もう7年くらいはマイクロソフトワードしか使っていない。
パソコンがないと私は禁断症状が・・・・ とはいってもワードを使いこなすなんてレベルには程遠く、過去のワープロソフトの使い方で打ち込んでいるだけで、正直なところ、テキストエディター程度にしか使っていない。たとえばこのウェブサイトのコンテンツを書くのに、ワードを使っているが、その後、メモ帳に貼り付けてhtmに直している。「それなら最初からメモ帳を使えば?」とか、「なんでワードから直接htm化しないの?」と聞かれそうだ。
メモ帳ではやはり編集機能が弱いし、ワードでhtm変換するととんでもなく大きいファイルサイズになるし、またネスケどころかIEでさえ表示がおかしくなることがままある。オートマ車が好きな人もマニュアル車が好きな人もいるということでしょうか?
もちろんワードの機能が豊富でさまざまな活用ができるということは知っている。暇があるとあちこちのプルダウンメニューを開いて何ができるのか?と見ている。時々面白いというか役に立ちそうなものを見つけて悦に入っている。まだ精神年齢が子どもである。 

ワードに要約機能というのがある。「ツール」をクリックして「要約の作成」というのを選び、長い文章をその何パーセントと指定すると文章のサマリーを自動的に作ってくれるのだ。 実際には新たな文章を作るのではなく、中身を調べて、重要だと判断したセンテンスのみを残すというプロセスを行う。
こんなものを見つけると、じゃあ、ちと試してみるか?となるのは当然です。
自分で文章を打つのも面倒だし、法律のような条項では無理かな?なんて考えて、憲法前文を試してみました。

日本国憲法前文の全文であります。
日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、われらとわれらの子孫のために、諸国民との協和による成果と、わが国全土にわたつて自由のもたらす恵沢を確保し、政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであつて、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。これは人類普遍の原理であり、この憲法は、かかる原理に基くものである。われらは、これに反する一切の憲法、法令及び詔勅を排除する。
日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであつて、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。
われらは、いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであつて、政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則に従ふことは、自国の主権を維持し、他国と対等関係に立たうとする各国の責務であると信ずる。
日本国民は、国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓ふ。

まず要約の比率を75%というのを選びますと、一瞬にして、

そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであつて、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。これは人類普遍の原理であり、この憲法は、かかる原理に基くものである。われらは、これに反する一切の憲法、法令及び詔勅を排除する。
日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであつて、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。
われらは、いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであつて、政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則に従ふことは、自国の主権を維持し、他国と対等関係に立たうとする各国の責務であると信ずる。

日本国民は、国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓ふ。

となります。
ほう、本文でグレーにしていた文字が削除されたわけです。
全文と同じとはいえませんが、この文章だけを読んでも特段違和感はありません。文章には余分なところ、冗長なところが多いものです。
冗長とは重複という意味です。必ずしも冗長ということが悪いことでもないのです。人工衛星や通信網、電力の送電線などは万一、一部が故障しても代替がきくように余分な回路やネットワークを設けるのが普通です。
quest.gif火災保険とかサーバーのUPSなんてのも冗長といえましょう。だって使わなければそのほうがいいわけで・・・・そういえば自衛隊の活躍の場がないほうが良いようです。
でも火災保険やUPSを無駄金と言わずに、自衛隊を無駄とか税金泥棒というのはどうしてでしょうか?
さて、これでもまだ長い。
今度は50%を試してみます。

そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであつて、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。
われらは、これに反する一切の憲法、法令及び詔勅を排除する。
日本国民は、国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓ふ。

75%の文章でグレーで示したところが消えてしまいました。語っていることの半分が消えてしまいましたが、これでも意味は通ります。
消えてしまったものはなくても良かったようです。
戦争放棄は消えてしまいましたが、これは文章の組み立てとしてそうだからとしか言いようがありません。前文記述が戦争放棄を独立した文章として書いていればこのワードの要約のアルゴリズムにおいて残ったでしょう。そうしなかったのは戦争放棄が国民主権よりも低位であると考えていたからに違いありません。

さあ、次は25%です。

そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであつて、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。

50%要約の時のグレー字が消えてしまいました。
この文章だけでも国民主権と間接民主主義を宣言しています。

・・・・というようなことを暇にあかせていじっておりました。
ワードの要約機能なんて当てにならないかと思っておりましたが、けっこう論理的なのであります。
そして、日本国憲法前文は冗長すぎて論理的ではないのでした。 


だがしかし、良く考えてみると、憲法前文とは憲法本文のサマリーや当たり前なことを述べるものではないと思うのです。 憲法前文とは制定のいきさつや制定のさいの気概を示すものではなかろうか?
謎だ そういう風に考えると、ワードの要約機能ではじめに落とされた箇所ほど、この日本国憲法の制定経過を表しているのではないか?日本国憲法の前文としてふさわしいのではないかという気がしてきます。

75%要約で落とされた文章を再掲すると、

日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、われらとわれらの子孫のために、諸国民との協和による成果と、わが国全土にわたつて自由のもたらす恵沢を確保し、政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。
平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。

まさしく、そのとおりであった。
戦争に負けて(私は「戦争が終わった」とは言いたくない)日本がこれからどうするのか?という混乱時期において、今我々はこれからの国の形と行く末を、そしてあるべき姿をイメージした憲法を宣言すると語っています。
しかし、それは憲法前文としての形式・内容ではあるものの、それではあまりにも奇麗事すぎる。

いやそれは真実とは程遠い『うそ』なのだ。

本当は日本国憲法の前文をこう書くべきではなかったのだろうか?

日本国民は、戦争に負けて、アメリカに占領されている今はみずからの意思で憲法を制定することさえできない。残念だが今は屈辱にまみれて、このマッカーサー憲法を受け入れることになった。
だが、いつの日か自らの憲法を制定し、真の独立国家たる日本を再建し、日本と日本人の名誉を高め、国際社会において重要な地位を占めることを我々は誓う。


考えてみると日本国憲法というのは存在しない。
過去日本に存在した憲法は「大日本帝国憲法」と「マッカーサー憲法」である。
一刻も早く自前の憲法を持ち、占領状態を脱し独立を回復したいと願ふ。




重大なご注意を申し上げます!

このウェブサイトのコンテンツをワードの要約機能でチェックすることは禁止されています。
そのようなことをしますと、一切の文字が消えてしまう危険性があります。
なにしろ、まったく価値のない文章ばかりですので・・・・トホホ

しちゃいけないよ


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