ケチャック・ダンス（Kecak Dance）

ケチャックダンスは1930年頃からバリ島で演じられている舞踊劇です。 これ以前にも原形となるものがあったのですが、洗練された形に整理し、構成し直した ものが現在のケチャックダンスと言われています。 この舞踊劇は50〜100人の半裸の男性達のケチャ・ケチャと言うコーラスに合わせた 踊りで、古代から伝わるラマヤナの物語を演じます。 男性達のコーラスが見事なハーモニーを醸し出し、円熟の舞踊と相俟って、会場全体 が独特の雰囲気に包まれます。 　ラマヤナの物語のあらすじは下記の通りです。 アヨディア国のラマ王子は妻のシータ、弟のラクサマナと共に国を追放され、淋しく森の中で暮らしていました。しかし妻のシータが、この森に住む悪魔の王・ラワナにさらわれ、ラマ王子は森に住む猿と協力してシータを助け出し、最後にラワナを滅ぼします。 この舞踊劇は５つのパートに分けて演じられます。 森の中を散歩するラマ王子・妻シータ・王子の弟ラクサマナの３人の前に黄金の鹿が現われ、シータにその鹿を捕えてくれと頼まれたラマ王子は、鹿を追って一人森に入って行きます。しかしこの鹿が悪魔の使いであることを知ったラマはラクサマナに助けを求め、シータも夫ラマを助ける様に頼みますが、ラクサマナは偉大な王子が危険な目に合うとは信じず、その願いを聞き入れません。「弟は兄の王子が悪魔に殺されるのを待っている」勘違いしたシータに厳しく責められたラクサマナは、その屈辱からシータを森に一人残し立ち去ってしまいます。 シータが一人になるのを待って、悪魔のラワナは彼女をさらって、自分の王国に連れ去ります。 ラワナの王宮に閉じ込められているシータの元にハノマンという猿の大将が現われ、自分はラマとシータの味方で助けに来たことを告げ、証拠としてラマの指輪を渡し、彼が無事であることを伝えます。シータは自分の髪飾りをハノマンに渡し、ラマに助けてくれる様、伝えて欲しいと頼みます。 シータを助けに来たラマ王子はラワナに矢で撃たれ、この矢は蛇に変身しラマが身動き出来ない様に巻き着きます。ラマは神の使いガルーダと言う大きな鳥に助けを求め、ガルーダは忽ちラマに巻き着いている蛇を殺し彼を自由にします。 自由の身となったラマは、悪魔・ラワナを滅ぼそうとする猿の王・スグリワに味方し、猿と悪魔、両軍の戦いが始まります。男性コーラスも両軍に分かれ、その場を盛り上げます。激しい戦いの末、猿の軍が勝利を納め、ラマは妻シータを連れだって無事に自分の国アヨディア王国に戻ることが出来ます。 ケチャ・ケチャと言う男性コーラスの極めて微妙な音程の使い分けや、見事なハーモニーと絶妙のタイミング、個々の演技者の磨き抜かれた踊りの技術。 バリが世界に誇る舞踊芸術は必見の価値あり。

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