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2005-2006 駅伝時評 プロローグ

北京をみすえてのスタートライン
新勢力の台頭は果たしてあるのか?


時評はじめて9年目に突入!
新しい趣向で再出発を!今

 10月、いよいよ駅伝シーズンが幕あける。
 駅伝時評を初めて、今回で9年目を数える。好きとはいえ、まあ、よくぞ続いたものだと思っている。
 世界陸上が終わって、今回はいよいよ北京オリンピックを見すえて、新しくスタートになたるシーズンである。これからおよそ半年、マラソンを頂点とした日本長距離の新しい勢力の台頭を希いながら、観てゆくことになる。
 駅伝時評はもともと、数字だけの大会結果・記録だけでなく、自分の眼で観た駅伝の感動というものをメモとして書きとどめておこうとして始めたものである。だから、「独断と偏見による観戦記」と付している。筆者の私はアマチュアのランナーではあるが、競技歴というものはまったくない。ただ駅伝のウオッチャーとしてはおよそ50年のキャリアがある。駅伝が観るスポーツとして、現在ほどメジャーになるはるか以前から、記録をあつめたり、ひそかに注目しつづけてきた。
 駅伝大会の当日の夜には時評をアップする。前回まではそれをひとつの目標にして、ほぼ完璧に達成してきたが、今回からは数日間は時間をおくことにさせていただく。時評子の私が身辺多忙になったこと、さらには年齢的に出発力が落ちたという理由からである。なにせこの1年間で1kmの走破タイムが平均30秒から40秒も落ちてしまった。寄る年波を考えるわけにはいかなくなったのである。
 そんなわけで、今回からは内容的にも少し趣向を変えてゆきたいと考えている。


世界を視野に新しい第一歩
野口みずきの挑戦

 ヘルシンキの世界陸上は、いわばアテネオリンピックが終わり、新しい目標に向かう節目のイベントという位置づけであろうか。
 マラソン・長距離の成績は総じて振るわなかった。男子に比べては勢いのあると思われていた日本女子マラソンも原裕美子の6位が最高、優勝したラドクリフやヌデレバなど世界のトップクラスの強さだけが際立っていた。
 もっとも今回の代表5人の顔ぶれをみると、原裕美子をのぞいて、誰もかれもがピークを過ぎた選手たちだから、まあ、こんなもんかも知れない。しかし……。世界のトップとの差は確実にひろがっている。現実をあらためて思い知らされる大会となった。
 男子は尾方剛が銅メダル……、日本陸上の置かれている現在の時点に立って考えるかぎり、これは素直に「よくやった!」と賞めてやるべきだろう。
 世界陸上組を尻目にアテネの金メダリストの野口みずきが独自の路線を歩み、ベルリンマラソンでマラソンの日本記録を更新した。2時間19分12秒……、昨年の同大会で渋井陽子(三井住友海上)がマークした2時間19分41秒の日本記録も29秒上回り、03年北京国際で孫英傑(中国)がマークした2時間19分39秒のアジア記録もあっさり塗り替えた。
 野口の記録更新は日本女子の長距離にとって、たしかに明るいニュースだが、ベルリンマラソンそのものが記録が出るように、あの手この手を尽くしたレースだから、額面通りには評価はできないだろう。
 強い選手、たとえばラドクリフ、ヌデレバあたりの選手が出ているチャンピオンシップの大会で競り勝って、記録を更新するまで、ひとまず賞めるのをペンディングにしておきたい。


ポスト実業団システムは?
グローバリーのチーム移転の意味するもの!

 マラソンの日本女子をひっぱる野口みずきの周辺がにわかにあわただしくなっている。所属するグローバリーはもともと商品の先物取引の会社だが、不祥事のまつわるドタバタから自主廃業、陸上部はもちろん廃部になる。
 新聞報道によると、藤田信之監督(64)ほか選手10人、スタッフ6人、あと京都市右京区にある事務所と選手寮を丸ごと引き受けているスポンサーを探しているという。個別移籍ではなく、あくまでチームとしての移籍をめざしている。
 移籍問題で明らかになったのは、企業が陸上部なるものを保有すると、寮設備が10億円、年間経費が約2億5千万円かかるということである。
 要するに女子長距離の選手たちは、そういう実業団の強力なバックアップによって、世界のトップに躍り出てきたのである。
 10年来の不況つづきで陸上部の廃部があちこちで出現、実業団システムそのものが危機に瀕しているといわれて久しいものがある。
 陸上部がごっそり移籍するというケースも数多い。たとえば99年世界選手権代表の小幡佳代子などの営団地下鉄は2001年3月末で廃部となり、長沼省吾監督ほか選手は半年間の移籍先探し、同年10月にアコムへ移り、同じ東京・江戸川区を拠点に活動を再開している。アテネ五輪代表の田中めぐみ(現姓大島)の埼玉りそな銀行は2003年8月末に廃部,
、さいたま市拠点のまま9月1日創部の「しまむら」にチームごと移籍した。ほかに、みずほ銀行は2004年3月末で廃部、ヤマダ電機に移籍、東京都から群馬県に拠点を移している。
 グローバリーは2001年の実業団駅伝に彗星のように現れた。岐阜の全日本大会では初出場ながら,最終的には5位に終わったものの、前半は2区でトップに立つなど大健闘したのはまだ記憶に新しい。三井住友海上を倒すのはこのチームではないかと思わせるほど衝撃のデビューを飾った。それだけに移籍先が早く決まってほしいものである。

焦点は駒澤の箱根4連覇!
今シーズンも学生駅伝はおもしろそう!

 今年も大学駅伝は「観る駅伝」として最も注目を集めるだろう。
 興味の焦点は駒澤の箱根4連覇である。駒澤は毎年、箱根を最終目標におき、出雲、全日本の道のりで、課題をしっかりクリア、本番にきっちりと仕上げてくる。今年も絶対的なエースはいないが、選手層の厚さは図抜けている。総合力ではやはり一番手にあげなくてはなるまい。
 だが短い区間の距離をつなぐ出雲では、スピード力と決め手のある選手をもつチームが有利とみる。サイモンをもつ日大、伊達と佐藤の東海、あとは層の厚い順天堂、日本体育大などもあなどれない。駒澤は全日本、箱根をみすえての戦力チェックというところで出雲では3番手か4番手ぐらいの評価か。
 全日本、箱根は駒澤にくわえて、上記の4校あたりが中心になるだろう。4校がいかにして駒澤包囲網をつくりあげるか。それがもっぱらの興味である。
 大学女子は立命館の3連覇なるか。ひところとちがって昨今は大学の女子駅伝も力のある選手がそろいつつある。立命館が王座をまもるのか。とっぷに肉薄しながら、いつも今一歩のところで苦杯をなめている名城大が悲願の初優勝をとげるか。城西をはじめとする関東勢がいかにからんでくるか。目の離せないレースになること必至である。


コニカミノルタ、三井住友海上……?
果たして王座をまもれるか?

 実業団は今年もやはり男子はコニカ、女子は三井住友海上を中心の展開になるのだろう。男子はコニカミノルタと中国電力の両雄がつべぜりあいを演じるだろう。エースの坪田智夫を欠いたにもかかわらず執念で王座奪還を果たしたコニカミノルタは選手層が分厚そうである。今シーズンは逆の立場にある中国電力が悔しさをバネにして立ちはだかる番である。
 ほかでは日清食品、ホンダ、トヨタなどにも期待したいが、何よりも昨今はまるで元気のない旭化成をはじめ九州勢の捲土重来を待ちたい。
 女子は近年2度までもいま一歩に迫った京セラ、今回はチャンスありとみる。王者の三井住友海上はいくぶん戦力ダウンしているのではないか。そうなると一番手はやはり京セラであろう。世界陸上のマラソンで日本人としてトップに立った原裕美子など、伸び盛りの選手が多く、昨年よりもさらに上積みがのぞめそうである。
 あとは資生堂、福士加代子に元気の出てきたワコールも戦力充実しており一角崩しの期待ができる。スズキ、第一生命もあまし差のないところ……。
 実業団システムにほころびが目立つ近年、各チームはどのような戦いぶりをみせるのか。日本陸上界の将来を俯瞰しながら、じっくり見と守りたいと思う。


若さにあふれる爽やかな走りで
めざすは世界をレベル!

 高校駅伝はもっぱら昨年、圧倒的な強さをみせた仙台育英(男子)の動向だろう。今年はどんなチームでづくりをしたのか興味津々である。
 高校駅伝といえばいつも思うのだが、毎年のように1区はケニアからやってきた留学生選手たちの競演になる。留学生選手がトップに躍り出すと、もう誰もが追ってゆかない。駅伝はチームプレーだから、レース全体の流れを考えるとしかたがないのかもしれないが、それではあまりにも視野がせますぎる。
 留学生とは力がまるでちがうのだから当然……とみる向きがあるようだが、果たしてどんなものか。それでは戦うめから勝負はみえている。いつまで経っても、世界で戦えるランナーは育ってこないだろう。飛び出した留学生選手たちにくらいついてゆく選手がどんど出てきて、競り落とすぐらいの選手が育ってこないと、世界を舞台に活躍する長距離ランナーにはなれないと心得るべきではないか。
 高校生、大学生がのびなければ男子の日本長距離の底上げはない。高校駅伝で活躍して、大学では箱根を走る。それが決してランナーとしての到達点ではないはずだ。若いのだから、世界レベルで戦うために、もっと満足度レベルを高くもってほしい。いずれにしても爽やかな走りを期待したいものである。(2003/10/04)


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