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2003/6/30 『露出騒動考』

鶴○がTVで秘部を露出して騒然となったらしい。
この人は過去に何度か露出騒動を起こしているので、そういう性向があるのであろう。実は私の周りにも、一定の酒量を超えるとご開帳される人々がいないでもない。私自身も精神的に昂揚した場面でその衝動に激しく駆られたこともある。バッカスの合宿恒例の禊で、褌一丁で海に飛び込むのも同じ行為であろう。

あの岩戸神話で天宇津女命が露出して八百万の神を盛り上げ、天照大御神を引きずり出して以来、日本人は裸にあまり抵抗が無く、露出にはおおらかであったに違いない。
以前触れたイザベラ・バード女史も、明治日本の夏の一風景として「知的な顔つきをした中年男性が縁側で体に眼鏡以外何もつけずに本を読んでいる景色をあなたは想像できるだろうか?」と本国に書き送っているし、海音寺潮五郎は太平洋戦争当時、農家のおばさんが上半身裸で農作業しているのを見て、アメリカのパイロットがここを東南アジアと思うのではないかと述懐している。

なら西洋人はどうなのか。旧約聖書に出てくるノアは、酔いつぶれた自分の裸を見たハムの息子カナンを「カナンは呪われよ、兄(セム)たちの奴隷となれ」といっているし(なぜかハムの子孫は黒人、セムの子孫は白人ということになり、のちの黒人奴隷貿易の根拠になる。)基本的に露出はタブーのようだ。
その割にはダビデ像なんかには割りに控えめだがリアルなものがついている。絵画にも多いように、裸体を信仰する気がないでもない。しかし人智を得たアダ ムとイブが真っ先にやったことは葉っぱで裸体を隠したことだった。

裸体をみられるのを極端に嫌うのは中国人といわれるが、私の好きな春秋時代にそれを象徴するエピソードがある。
流浪の晋国の公子・重耳が曹国に立ち寄ったとき、曹の共公は入浴中の重耳を覗いた挙句、あっちの趣味があったのか、奇声を発しながら浴室に侵入し、体を触ろうとした。史上初のホモ・セクハラ事件であり、激怒した重耳は即位後、曹国に攻め込み共公を追放している。共公にとっては高い拝観料だったろう。

基本的には世界の文明は裸体の露出を嫌ったようだ。露出が肯定的に扱われているのは前述の岩戸神話くらいではなかろうか。
豊葦原水穂国の末裔たるわれわれは、TVや演奏会後の打ち上げでだれかが秘部を露出したくらいで騒いではならず、原日本人のおおらかな温かい目で眺めてあげたい。

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