オウム裁判ウォッチャーH氏の法廷傍聴記(#2)
97/1/31
1月31日 岡崎一明被告の公判 被告人本人尋問
お調子に乗る態度は前回もお伝えした通りの岡崎一明被告。
23回目の麻原公判の裏では、岡崎被告に対する被告人本人尋問が行われていた。
例によって、マスコミの報道は松本公判一本であり、裏番組は全くと言っていいほど報じられていない。
さて、この日の公判では、「麻原は魂を救済するといいながら、苦悩に陥れた。許すことはできない。」とまずは批判。続いて自分の不幸話を織り交ぜ、「麻原を信じたのはグルと弟子の関係にあこがれたから。家族に恵まれなかった弱点を利用された。利用された私もバカだった。」と涙をこぼして見せた。
ちなみに岡崎被告は。前々回の被告人質問では「子供の頃は農家の納屋に住んでいた。」「雨が降ると床下浸水する家だった。」「義父は子供は野菜を食べていればいいとすき焼きの時も肉を食べさせてくれなかった。」などなど、自分の”不幸”話を延々と繰り広げていた。
かと思えば、前回のように幹部連中を片っ端からこき下ろしてみたり、「自分の営業マンとしての才能はすごい」などと自慢したりと、その供述は多岐に渡りなかなか複雑である。
岡崎被告はほとんどの書証に同意しているため、審理はあっという間に進み、公判は終盤に近い。このペースで行けばオウム裁判の中ではもっとも早く「死刑」求刑が出される可能性が高い。
他方、松本被告の公判は、地下鉄サリン事件はほぼ終わり、2月からはいよいよ坂本事件の審理に入る。その第1弾となる2月13日には早くも岡崎被告が検察側証人として登場。松本被告を前にして、これまで見せたような饒舌ぶりが聞かれるかどうか大いに注目されるところである。岡崎被告の次は早川被告が予定されており、両被告と松本弁護団との対決にも関心が集まる。
現段階では、その他の実行犯、端本・新實・中川各被告の承認申請はなされていない。
端本被告については、先日の早川公判で、自分の行為については証言を拒否しながらも涙ながらに語ったその心情に期待したい。
新實被告が証言を拒否するのは明白。
中川被告は場合によっては多少期待できそう。というのも、1月31日の松本公判に証人として出廷した中川被告は、事件については証言を拒否したものの、サリンの直前物質メチルホスホン酸ジフロリド(ジフロ)を隠していたのは井上嘉浩であることを暗に認め、検察側が組み立てた井上証言を崩してしまったのである。
坂本事件については、中川被告は当時出家したてホヤホヤの時期であり、どこまで事件の本筋を知り得たのか計り知れないが、三人に注射した薬物の経過など同被告しか知り得ない部分もあり、その証言は注目されるところである。