ウィスキーにまつわる面白い話を紹介します

これこそウィスキーの本当の飲み方?

ウィスキーにまつわる小話はいろいろとある。その中でも私がもっとも気に入っている小話を一つ紹介しよう。


あるカウンターバーでの話である。2人の男がウィスキーの素晴らしさについて語っていた。
「女もいい。博打もいい。だが、バーボンほどいいものはない。」
一人がそういいながら、バーボンの入ったタンブラーを一気に空けた。
「まったくだ。俺もバーボンを飲んでいるときが一番幸せだ。」
もう一人もそう言いながらおいしそうに飲んでいる。
杯もすすみ、話も弾んでいったが、一人がバーの片隅で飲んでいる異様な老人を見つけた。その老人は目をつぶり、鼻をつまんで黙々と酒をあおっている。その老人に対して一人がたまりかねて言った。
「爺さん、なにがあったのかしらねえが、好きでもない酒をそんなに飲むんじゃねえ。それじゃぁ、その酒が可哀想だぜ。」
すると、老人は目を開け睨み付けるようにして言った。
「なにを言っているんじゃ。わしは、このウィスキーを目で見たり、鼻で匂いを嗅いだりしたら唾がでてくるんじゃ。わしは水で割ったウィスキーなんぞ飲みたくないんじゃ。」


この小話は結構有名である。でも、色、そして香りも楽しめるウィスキーをこんな飲み方をしたら、逆にもったいないと思ったのは私だけだろうか.....。


天使達は毎日だだ酒を飲んでいる?

ウィスキーを樽に入れ熟成させると、ウィスキーは樽の外の外気を吸い、揮発成分を蒸発させている。つまり、ウィスキーは呼吸をしているのである。その蒸発している量は1年で全体の3%前後。そのため、ウィスキーは樽の中にいる間、年に約3%づつ無くなってしまうのである。
仮に樽の中一杯に100のウィスキーが入っていたとしよう。1年経つとそのウィスキーは97の量になる。そのまま計算していくと10年後には、74.742・・・と約74、つまりもともと入っていた量の約4分の1のウィスキーが蒸発してしまうことがわかる。一説によると、驚くことにその量はスコッチウィスキー全体で毎年1億6千万本になると言われている。しかし、この現象はおいしいウィスキーを作るためには必要不可欠な現象なのである。昔からウィスキー作りの職人はこの蒸発したウィスキーのことをエンジェルズ・シェアと呼んでいる。


エンジェルズ・シェア(Angels Share)。日本語に訳すと「天使の分け前」となる。ウィスキーが好きで少しウィスキーに詳しい人ならばこの言葉を聞いたことがあるであろう。この言葉は蒸発したウィスキーは「空にのぼって天使が飲む分」という意味からつけられたらしい。ロマンチックな話とも思うが、天使達がウィスキーを片手に毎日酒盛りをしている姿を想像すると笑えてくる。しかし、毎日ただでウィスキーを飲めるなんて羨ましいかぎりである。


ゴルフとスコッチの関係

ゴルフはスコットランドで生まれたスポーツである。このゴルフのホール数が18ホールであるということとウィスキーには密接な関係があったのである。私もゴルフはやるが、18ホールということは常識として知っていたが、なぜそうなのかは知らなかった。


スコットランドは北国である。ゴルフはこの北国の肌寒い野原でボールを打ち、歩いて玉を追っかけ次のプレーをする。しかも仲間がプレーしているときはじっと見ていなければならないのである。そこで必要とされたのが、体をカッと熱くさせてくれるスコッチウィスキーである。
そこでスコットランド人はプレーするとき、ボトルを持参し1ホールごとに1オンス半(約42.5グラム)のスコッチをのどに流し込んだ。すると18ホールを終了したところでボトル1本が空になるのだ。これが18ホールになった理由らしい。
いくら寒いとは言ってもスポーツしながらスコッチをボトル一本飲んでしまうのだから、スコットランド人は酒がやたらに強いのである。私だったらハーフでつぶれてしまうだろう......。

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