私が経験したウィスキーの旅を紹介します

山崎蒸留所 (2000年12月)

当時、名古屋に住んでいた私は、京都はそんなに遠くなかったので、会社の保養所をとって二泊三日の一人旅に出かけました。メインはもちろん京都の寺巡りでしたが、最終日は山崎蒸留所に行くことに決めていました。


この京都旅行では、雨が降ったりと天候には恵まれませんでしたが、最終日は晴天に恵まれました。京都からJRに乗り、山崎駅で下車。10分ほど歩くと、緑に囲まれた赤いレンガ調の蒸留所が見えてきました。さすがにきれいな水が湧く場所だけに、緑も多く、気のせいか空気もきれいに感じました。仕事の関係で、数度京都に来たことがあり、京都大阪間の電車の窓から見えていた山崎蒸留所。やっと念願の蒸留所見学が叶うということもあり、山崎蒸留所の入り口に立ったときに一種の感動が襲ってきたことを覚えています。


蒸留所に到着した私は、正門の警備員室を訪れ、見学に来た旨を伝えました。すると、待合いのホール通され、見学ツアーが始まるまで、そこで待つことになりました。そのホールの中には、売店やウィスキーの飲める喫茶(もちろん有料です)、そしてウィスキーの展示がしてありました。
その中でも、私が一番気を惹かれたのが、真ん中にある樽の形状をしたウィスキーの展示室です。サントリーのウィスキーだけでなく、世界各国のウィスキーが瓶詰めにされて展示されていました。その中には、私が大好きなARDBEGやBOWMOREの瓶も置いてありました。


しばらく待つと、ツアーを案内するガイドさんに呼ばれ、ツアーが開始されました。まず見学したのが、過去に発売された、記念ボトルや特殊ボトルの展示室。毎年の干支をかたどったボトルや、記念イベントのために作られたボトルが展示されていました。日本のウィスキーだけに、日本っぽいボトルが大半を占めていました。これだけでも一見の価値があります。そして、すぐ近くのボトル工程を見学。ウィスキーのボトリングと、ラベル貼りのコンベアがガラス越しに見学できました。


次は、実際のウィスキー製造工程の見学です。見学したときは空でしたが、モルトの発酵槽の並んだ工程、そして醸造槽を実際に見学。中に何も入っていませんでしたが、逆に中の方まで見れました。ここは、ガラス張りではなく、実際に槽の近くまで寄って見れる上、仄かにウィスキーの香りもして見学に来た実感が湧いてきました。


醸造の工程を見学した後は、蒸留工程。銅褐色のポットスチルが並んだ、素晴らしい光景が目の前に広がります。各ポットスチルの中では、実際に煮沸が行われており、側面についた丸い小窓から中を覗くことができました。そして、部屋の真ん中にはスピリット・セイフと呼ばれるガラスの箱が置かれてあり、できあがったアルコールが通っているのも見ることができます。


最大の見所である、蒸留工程の見学を終え、次に見たのが樽詰め工程。コンベアの上に置かれた樽一つ一つにウィスキーが自動的に注がれていきます。そして、最後に見学するのが、醸成工程。先ほど樽詰めされたウィスキーが永い眠りにつく場所です。薄暗い倉庫に、沢山の樽が積まれています。それぞれ樽には、いつ樽詰めされたかも明記されているので、どれだけ長い間置かれているかも一目でわかります。それらの中には、山崎蒸留所100年記念の樽もありました。一見、整然と並べられ、静かに眠っているように見える樽の中では我々にはわからない、いろいろな変化が起きて、一年一年おいしくなっていく...そう考えるとまた不思議な感覚に襲われます。もっと長い時間ここで樽を見ていたいという感覚に襲われますが、時間も迫り製造工程の見学に終わりが告げられます。


楽しいウィスキーの製造工程見学を終え、最後のイベントは試飲会となります。山崎蒸留所で造られるウィスキーの新商品紹介(私が見学したときは、21世紀を記念したミレニアムでした)、そして美味しいウィスキーの飲み方の説明を受け、試飲をしました。ウィスキーの製造工程を見学した後なので、いつもより格段に美味しく感じます。


これで、ツアーは終了。せっかくなので、ツアー終了後もホールでの売店に寄ったりとしばらく楽しみました。その中でも売店は面白く、山崎で製造されるウィスキーはもちろんのこと、自分でブレンドして楽しめるモルトのセットが売っていたりと、ここでしか買えないようなものも置いてありました。


たった一時間程度のツアーでしたが、また来たいと思わせるような、素晴らしいツアーでした。私自身、このためだけにでもまた京都に旅行に行きたいと思っています。蒸留所見学でどこに行こうか迷っている方がいらしたら、私はここをお奨めします。
※この記事は、4年前に行った見学を思い出しながら書いています。記憶があやふやなところもあるので、事実と多少異なる部分があるかもしれませんがご了承下さい。近日中に写真を公開する予定です。

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