今更だけどスターシップ・トゥルーパーズ考


原作は皆さんご存じ(かな?)の通り、ハインラインの「宇宙の戦士」です。
が、監督があのバーホーベンですから
この軍隊賛美小説をそのまんま映画化するわけがありません。

まず冒頭で主人公ジョニーのあこがれの君、カルメン嬢がゲロを吐くのでビックリします。
もっとビックリしたことに原作の売りである
パワードスーツ、あのガンダムの元ネタが
出てきません。兵士はヘルメットに銃を持っただけという姿です。
パワードスーツが出てこない「宇宙の戦士」なんてタコの入っていないタコ焼きのようなものです
(ウチの近所のタコ焼き屋がそうです)。

そんな軽装備のままどんどん敵惑星に降下するから陣形を整えている最中に敵のバグズ
(3Mくらいある昆虫)の大群から奇襲を受けて部隊が壊滅したりします。

これは要するに監督が
内蔵ずるずる、脳味噌びっちょん、手足ブチブチの大量虐殺を
やりたかったのでしょう。
予算が無くてパワードスーツを出せなかったという監督の弁は
たぶん嘘
です。

「あんなヨロイみたいな代物を着てたら死体の様子が良く分からないじゃん」

てな感じです、きっと。

また、原作ではマドンナのカルメンですが、映画では出世のためにさっさとジョニーを
振ってしまいます。
なんでこんなに
ヤな女がヒロインなのかと思わず考え込んでしまいましたが
やはり監督の意向なのでしょう。

どうもガチガチの右翼SF(いや、名作ではあるんですよ)をそのまま映画化するのに
抵抗があったようですなぁバーホーベン監督。
しっかりアクションのツボは押さえているのであまり気にはならないのですが、
映画全体に冷笑的というか、登場人物達を揶揄するような調子があります。
ひょっとしたら監督は

パロディのつもりで作った
のかも知れませんね。

とにかくバーホーベンの
底意地の悪さというか根性の曲がり具合を
楽しむのには格好の作品でしょう。
草場の陰でハインラインは泣いていると思いますが。



(2000.02.10)

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