ワイドテレビについて

LAST UPDATED 4/23 2008

1990年代後半から2000年代始めくらいまでワイドテレビが人気であった。

そもそもワイドテレビはビクターがハイビジョン受像機の値段が高いので、 従来の画質のままで良いからハイビジョン番組が見れるテレビを安く提供しようと発売したものだ。 したがってMUSE/NTSCコンバータを内蔵していた。 しかしワイド画面というものに魅力を感じられたのか、意外と売れてきて、M/Nコンバータを内蔵しないものがほとんどになってきた。

ワイドテレビは映像を拡大する。したがって、画面の汚さがそのまま拡大される。 それを最小に抑えるために最新の高画質技術を使っている。もしワイドテレビがなかったら、これらの技術はモニターテレビだけに搭載された機能になっていただろう。

高画質技術としては、3次元Y/C分離がある。 NTSCの映像は輝度(白黒)Yと色Cが混ざっている。これらが混ざったままだとドット妨害やクロスカラー等のノイズが混入する。 そのため高精度のY/C分離が必要なのだ。

Y/C分離は1ラインから始まり4ラインまで進化して3次元まで発展した。 3次元とは、時間軸をもとにしたという意味で、前後1フィールドの情報でY/C分離する。 静止画では完全なY/C分離が可能であり、3dBのS/N改善効果がある。 だが、動画になると3次元では計算に間違いがでるため、2次元に切り替える必要がある。 これは各メーカーが苦労しているところだ。静止画よりに設定すると残像が出るし、動画よりに設定すると3次元の効果が薄れるのだ。 そのほか3次元NR(ノイズリダクション)、デジタルNRなどの高画質技術がある。

また機能面として、画面モード切り替えがある。 従来の4:3の映像を16:9に強引に変換する技術である。 だが、4:3を16:9にするためにはどうしても画面を歪ませなくてはならない。 これに大島渚をはじめとする映画界が反発した。画像を勝手に歪ませるとは何事か!というのだ。 左右に黒帯の付いた状態(つまり4:3のまま)で表示すればいいのだが、実際このモードで見ている人はどれくらいいるのだろうか?(私は4:3のまま見ているが)

ワイドテレビの28型は4:3の29型のテレビを持っていた人には物足りなく写るかもしれない。 ワイドテレビの28型でワイド映像を再生した時の画面の大きさは、29型に上下に黒帯がある映像を表示した時の映像部分とほぼ同じだが、 左右に黒帯の付いた状態(つまり4:3のまま)では21型程度の大きさとなり、迫力が失せるからだ。つまり29型を持っている人の買い換えはワイドの36型以上が最適ということなのだ。

ワイド画面を活用できるフルモードという画面モードがある。これは画面全体を一定に横方向に引き伸ばすモードで、走査線525本(有効480本)が フルに使えるので、画質はあまり劣化しない。このモードは映像を横に引き伸ばすので、元の映像を縦長に記録しておく。この方式をスクイーズというが、 いまのところスクイーズ方式で録画されたパッケージソフトは、DVD(全てではない)や、一部の放送(NHKデジタルBS1,BS2)とスクイーズLD(数タイトルしかない)のみである。
ちなみに4:3のワイドスクリーン(レターボックスともいう)画面の上下の黒帯を表示しないように拡大すると、走査線数は360本程度になってしまい、画質の劣化が目立つ。(ブラウン管だと走査線が見えるし、液晶等だとボケる)

日本のワイドテレビだけの特徴として字幕対応ということが言えるだろう。 4:3の画面を拡大すると、ソフトによっては字幕が見えなくなってしまう。 以前、スピルバーグは日本人はみんな英語が分かっていると思っていたそうだが、 アメリカでは字幕の映画なんてほとんど見ないのだろう。 日本では字幕の映画を見る場合が多いので字幕機能は必要だ。しかし、方式はいろいろある。

字幕インはワイド拡大されたときの欠けた字幕を画面の下部を圧縮表示して画面に入れるものだ。しかし、画面下部の映像が歪んでしまう。
字幕移動は欠けた字幕を移動させるものだ。しかし、映像部分が白っぽい場合、字幕移動した文字も白の為、字幕が読めなくなってしまう事もある。 この機能を採用しているメーカーは数少なく、パナソニック、シャープくらい(ソニーの一部機種にもある)である。 字幕移動と字幕インを両方装備している製品もある。

ワイドテレビ全盛の時代はブラウン管がメインであったが、次第に液晶やプラズマに置き換えられ、ハイビジョン対応のものが主流になっていった。


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