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Steering ピニオンギヤ周辺へのアプローチ - 1
Tech Guide

ステアリング・ホイール〜ピニオンギアのレイアウトとステアリング・カップリング

BXのステアリング系はラック・アンド・ピニオン形式で、ピニオンギヤ部にコントロールバルブ(ピニオンバルブ)を持つパワーアシストを採用しています。

ステアリングシャフトとピニオンバルブの間にステアリング・カップリングが配置されています。これはキックバックを軽減のための構造で、ラバーと金属を溶着成形した部品ですが、経年変化によりラバー部分が切れ、ステアリング・フィールが著しく悪化する事があります。

ステアリングセンタ−付近で遊びが大きくなり、完全に切れると停止状態でもハンドルがぶらぶら動くほどです。
恐ろしくて、とても運転できたものではありません。


横から見たレイアウト図

ステアリングシャフトは途中のユニバーサルジョイント部で分割できます。
ロアシャフト上端にはスプラインが切ってあり、ジョイント下側にある固定ボルト()はスプラインを挟むクランプを締め付けています。ここを緩めると上下のシャフトをスライド/分離する事が出来ます。

カップリングやピニオンバルブを取り外す為には、ロアシャフトを軸方向に移動して、固定ボルトの長さ分だけクリアランスを作らなければなりません。
以前はステアリングコラムを分解していましたが、シャフトのスプライン部を緩めてロアシャフトを引き上げ、シャフトがフロアを貫通する部分のゴムブーツを外せば作業が容易になる事が分りました。

新品のカップリング

左がピニオンバルブ側です。
Ω型のクランプ内側にはスプラインが切ってあります。

右はステアリングシャフトに固定する側です。

クランプ、ボルト共、円盤の金属プレートにカシメで着いています。

約90.000km使用後
ラバ−部分は完全に切れてグラグラしていました。
クランプとボルトは各々金属プレートに固定され、金属プレ−ト同士は中央で十字に固定されています。




作業の実際
  1. フロントをリフトアップしてウマを掛けます.
    ウマはサブフレームに掛けた方が安全です.
    BXはサイドブレーキが前に効くため、後輪に輪留めをしたほうが安全です.

    この作業はフロントサブフレーム後ろからのアクセスが必要なため、車体は高めに上げます。安定に十分留意してください。

  2. サブフレ−ム側からピニオンバルブのクランプ固定ボルトを外します。

    ボルトはクランプから取り外します。
    バルブのシャフトには切り欠きが有って、ボルトが有ると抜けません。
    ボルトの頭は6mmのヘキサ、ナットは12mmです。

    ボルトが抜けたらΩ型クランプの切り欠き部に合わせて、バルブのシャフトにペイントマークを付けておきます。

    組付けの時に位置が狂うとステアリングが正面を向きません。特にボビンはステアリングホイールが単独で抜けず、ハンドル側で修正が効きません。例によって私は失敗しました(^^;


  3. ブーツを外します
    フロアとシャフトは垂直でないため、ブーツの形状は非対称です。外す前にフロアとブーツに合わせマークを付けておかないと、後で位置合わせに悩みます。
    私はまたしても此処で失敗しました(笑)。

    フロアカーペットをめくり、ブーツを押しつぶすように握って隙間を作り、鋭くないドライバーなどでコジって外します。
    外れない時は、外から押し込んでも結構です。

    フロアの穴は元々サービスホールとして作られたものなのでしょう。随分大きいです。
    穴の向こうにカップリング/シャフトの固定ボルトが見えるので、車室側から外します。


  4. 上下ステアリングシャフト間のジョイント下にある、スプラインのクランプを緩めます。

    スプラインに沿ってロアシャフトを上にスライドさせます。
    これで、カップリングのボルト長をクリアする隙間が作れます。

    カップリングを取り出します。

  5. それぞれのマークを合わせながら、逆の手順で新しい部品を取り付け終了です。

    ピニオンバルブ交換も、同じアプローチで作業が出来ます。)



(C) K.Oku、Y. Narabayashi

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