Transmission | AutomaticTransmission Valve Body Replace |
Trial |
「ATの寿命がBXの寿命」とは巷で囁かれる冗談のひとつですが、その修理金額を考えるとあながち笑ってもいられません。BXではZF社製4HP14が使用されていますが、故障の原因としてはバルブボディー回路の閉塞が多いというのが定説のようです。しかし客観的・統計的な真偽について私達には知る方法がありません。 今回は実験的にバルブボディーの交換を行ったケースレポートです。つまり、駄目でもともと、です。 この方法ですべてのATが復活するわけではありませんが、特定の位置のみギヤが入らないなどの症状では試してみても良い方法かと思われます。 部品の価格は国内ディーラー経由では170,000円くらいの部品ですが、海外のリビルトショップなどからは再生品が5万円程度で入手できました。 対象のプロフィール; 1988年式 BX19TRSセダン 走行距離 18,000km |
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数年前、ある中古車販売店に下取り車として入庫してきたワンオーナーカー。距離から分るようにあまり乗られていた車では無く、店員が乗っている間にATが故障。突然後退しか出来なくなり、そのまま店の屋根付きガレージに保管されていた。牛小屋系物好き(笑)により発掘され、ATを除く部分のあまりのコンディションの良さにたまらずサルベ−ジされた個体である。牛小屋保管中に他メンバーから熱烈な申し入れがあり、新オ−ナーの熱意によりAT修理を試みる事になった。 今回の修理にあたりATFを抜いたところ、オイルは醤油のように真っ黒で、オイルパンには金属の切子が多数存在し、ストレーナーも激しく異物が溜まっている状態。「ATFは2万キロで交換」を信じた故に不幸な転帰をとった一例と考えられる。走行距離や症状からバルブでのトラブルがではないかと考え、バルブボディーの交換を行った。 |
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結果としては "今のところ" 大成功、です。 これほどスムーズな変速を行うBXに乗ったのは初めてです。 ヤレていないボディーも相まって素晴らしい乗り心地でした。 (牛小屋、サルベージなどの用語について知りたい方はこちらを御覧ください) |
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部品入手先: | JAGGI | ||||||||||||||||||||||||
部品: | Peugeot405用4HP14 リビルト・バルブボディー |
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価格: | 400USドル(送料別) | ||||||||||||||||||||||||
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作業にあたり、下記の操作を先に行います。 |
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次にATオイルパンを外します。 作業はATFストレ−ナ−交換と同じですので、はじめにこちらを御覧下さい。 |
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オイルパンを外すとバルブボディーが正面に見えます。10本のボルトで固定されていますが、長さは写真に示す3種類が使われています。 その他のボルトは外さないでください。 再組み付けの際に位置を間違えないよう注意してください。 |
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バルブボディーを外すとATの内部が見えてきます。写真中央右にあるプッシュロッドは下側のスプリングの効いたステーに挟まれているだけなので、バルブボディーを外す時に落下する事がありますが、焦らず写真のように装着してやれば問題ありません。 また、セレクターのカムも動かしていると下にずれ、ギヤから外れる事があります。この時の対策は次に述べます。 今回は行いませんでしたが、キックダウンケーブルを交換する時もこの状態まで分解する必要があります。 |
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セレクター部分の拡大です。セレクターレバーは[1]の位置となっています。セレクターレバーを動かすとカムが回転し、シフトフィンガーがそれぞれのポジションの切り欠きに移動します。 写真左上の部分では向き合わせに傘型のギヤが噛み合っています。バルブボディーを外した状態でセレクタ−レバーを動かして(遊んで ^^)いると、カム部分全体が次第にずれ落ちてきてギヤが噛み合わなくなります。この時はセレクターレバーを1に合わせ、シフトフィンガーが写真の位置になるようカムを手で回し、そのまま奥に押し込んでギヤを噛ませてやります。 |
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組み付け前に、バルブボディーにあるリセス(1, 2)を奥まで押し込んでおきます。 つまり、セレクターレバーの位置が[1速]にあり、バルブボディーのリセスが押し込んで有る事が、セレクターレバーとATが設定どおりに連動する条件となります。 この状態で慎重に組み付けます。ボルトの位置と規定トルクは上の写真を参照して下さい。 |
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組み付けは下記を確認しながら行います。
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付録:各ポジションでのカムの位置 | |||||||||||||||||||||||||
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参考資料; シトロエンBXショップマニュアル:ユーノス刊 ZF Repair Manual 4HP14 |
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付録2 |
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