Back Numbers : 王様の耳はロバの耳!2002年版



(一番上が新しいもので、下に行くほど古くなります。)

ピーターパンだの人魚姫だのといった古典に対してさえ手前勝手に続編なんてものを捏造してしまうディズニーは、よっぽどネタに困っているのだと見える。やるに事欠いて、今度は自分とこの遊園地のアトラクションまで無理矢理映画にしてしまいますか。しかも『カリブの海賊』とかならまだしも『カントリー・ベア』だの『ホーンテッド・マンション』だのってもう……。

しかもその東映洋画系にギャスパー・ノエ監督の超問題作(と言われている)【IRREVERSIBLE】を掛けるんですか ? しかも【アレックス】とかいう今一つポイントの絞り切れていない感のある邦題で……。そもそもギャスパー・ノエ監督の作品がおよそ拡大公開に向いているとは思えないのに。悪い予感のすること必至。

私は【ギャング・オブ・ニューヨーク】を銀座のシャンゼリゼという劇場で見たのですが、アラ ? ここは確か東映の直営館だったはず。この映画は確か松竹の配給だったわよねぇ。【ロード・オブ・ザ・リング】の予告編もやってたけどこれも松竹の配給だったんじゃ。東映の洋画系はもう無きが如しのものとは聞いていたけれど、ここまで事態が進んでしまっているとは。

以前お伝えした、黒田硫黄さんのコミックス『茄子』の1巻に収録されている【アンダルシアの夏】のアニメ化の話ですが、私はてっきりオリジナル・ビデオとかになるのだとばかり思っていたのですが、これはどうやら夏に劇場公開されるみたいですね。あの黒田さん原作のアニメが映画館に掛かる ? うーん、なんか知らんが、日本がとってもいいところのように思えてきたぞ。このイキオイに乗って、今度は『茄子』最終巻の3巻に収録されている『富士山の戦い』なんかを映像化してみるってどんなもんですかね ?
『富士山の戦い』あらすじ : 21世紀中盤、予想される再噴火の防止と地熱利用のために富士山に地熱プラントを埋め込む15年掛かりの大計画はいよいよ佳境を迎えていた。ところがある日、8合目辺りに隕石らしきものが落下し、山頂にある工事基地と下界との連絡が全く取れなくなってしまう。緊急要請を受けて出動した自衛隊が富士山8合目で見たものは、巨大な茄子の林だった……。

【マイノリティ・リポート】を見て思い出したんだけど、清水玲子さんのコミックスの『秘密』は、うまく映画化すればかなり面白いんじゃないかと思うのだがどうだろう。あの連続少年猟奇殺人事件のバージョンで、犯人役は勿論ビートたけしさんに ! (多分、原作もたけしさんがモデルだろから。)

【過去のない男】(アキ・カウリスマキ監督)のチラシを見て唸った。こりゃ今時、なんってシブくて美しいの ! 原題は英題とかじゃなくってちゃんとフィンランド語の題を載せてあるし(大体、こっちは日本で相手はフィンランドなのに、どうして中途半端な英語の題名なんかが世間に流通しなくちゃならないの !! )、ワケの分からんげーのう人やら作家やらのウザったいコメントなんかは載っていないし。こりゃどこの配給会社だ ? と思って見てみるとやっぱりユーロスペースだった。こういう矜持を持った送り手なんて、今はもうきっと日本には数えるほどしかいない。

ニューヨーク市で、公共のパフォーマンスものの会場(映画館、劇場、etc.)で携帯電話を鳴らしたり通話したりすると罰金を取られる、という条令ができるかもしれないのだそうです。いい考えですね~。日本でも似たような条令を作っちゃってもいいんじゃないですか ? だってそのうるさい人は、本来は、劇場側からも他の観客からも損害賠償を請求されたって仕方がないんじゃないかって思いますもん。最近は一頃よりは減ってきたような気もしますが、ここぞという場面で雰囲気がすべてぶち壊しになってしまうというあのはらわたが煮え繰りかえるような経験は二度と勘弁して欲しいから、今後の予防策としての意味合いも込めてですね。

例のBBCの『シネマ情報局2002』で、あのタルコフスキー監督の名作【惑星ソラリス】をスティーブン・ソダーバーグ監督がリメイクをしたというしろものの映像を一瞬だけ見たのだが……なんかこれはちょっと非常にマズい予感がする……。セット・デザインはオリジナルに酷似しているんだけど、音楽の使い方なんかが相当安っぽい雰囲気で、全然お呼びじゃない感じ。主演がジョージ・クルーニーっていうのも……う~ん、この映画に関して言えば、ちょっとどうかと。

釈由美子サンの勇姿だけはちょっとだけ見てみたいような気はした。でもやっぱり【ゴジラ×メカゴジラ】はパス。時間がないのもあるんだけど、 併映が【…ハム太郎…】なのがやっぱりどうも……。

最近刊行された樋口尚文さんの『大島渚のすべて』(キネマ旬報社刊)という評論集は読み応えがありました。今までの大島渚論では、監督の政治的なラディカルさばかりに焦点が当たりがちでしたが、本作では、大島作品の作品自体の面白さの真髄に迫ろうとする考察が、従来よりもっと自由になされていたのではないかと思います。今後、大島監督を語る上では外せない、定番の一冊となることでしょう。樋口さんは私とあまり年齢の変わらない方ですが、こんなスバラシイものが書けるなんて羨ましいな~。

全くの他人事ながら、ニコラス・ケイジとリサ・マリー・プレスリーには一言言いたい。3ヶ月半で離婚するくらいなら、3ヶ月半くらいはつきあってみてから結婚しろっての。

今、フジテレビ系列で水曜の夜11時から放送している三谷幸喜さん脚本のシチュエーション・コメディ『HR』は面白いですねぇ~。主役の香取慎吾君からベテラン、若手に至るまで、役者はこれでもかっ ! ていうくらい芸達者な人やクセ者ばかりを揃えているし、三谷さんの脚本も我が意を得たり ! と言わんばかりに嵌まりに嵌まっている。ただ一つ問題があるとすれば……私が面白いと思ったTVドラマって大抵、視聴率がよろしくないっていうことだ。

今週、TVのスペシャルドラマ枠で北野武さん主演の『鬼畜』を放映していましたが(私は見ていないのですが)、翌日のお昼の休憩時にその話題になった時、一緒にゴハンを食べている数名のうちのなんと半数から“昔見た映画の【鬼畜】は本当に恐かった”という意見が出て来ました。皆、平均すると30ちょい過ぎになる女性なのですが、見た人の心にそんなに高い確率でトラウマを残していくなんて……そりゃ凄いことだ(岩下志麻姐さん、恐るべし)。これはそのうち、【鬼畜】を始めとする【砂の器】【疑惑】といった松本清張原作=野村芳太郎監督ラインの作品群を見直してみなきゃなぁと、強く思ったのでした。

ジャニーズの嵐主演の【ピカ☆ンチ】は、監督が堤幸彦ということでちょっと興味がない訳ではなかったのだが……大久保の東京グローブ座というのに少々距離感がある上に、チケットが全席指定の完全予約制というのではそりゃ無理ですよねぇ。わざわざ予約してまでチケットを買う気がないのも勿論だけど、そりゃ完全にジャニーズファン向けのイベントっていうことですもん。恐くってとてもとても足を踏み入れられません。

BBCの『Talking Movies(シネマ情報局2002)』という番組で面白い話題を見掛けました。日本でも【スモーク・シグナルズ】という映画が公開になっている、ネイティブ・アメリカンでは多分初めての劇場用映画を創った人であるクリス・エア監督が、最近作の【Skins】という映画をトレーラーに積んでアメリカ各地のネイティブ・アメリカン居住区を巡回上映しているのだそうです。そのトレーラーというのは映画上映用に改造してあり、トイレ・エアコン完備で1度に100人のお客さんを入れることが出来るとか。全米で既に17ヶ所を回り6000人のお客さんを動員しているというのですから(ヒアリングが間違っていなければ ! )これはなかなかの成果と言えます。【Skins】もネイティブ・アメリカンの置かれた状況がテーマということですから、監督もまず誰よりも同胞の人々に一番見て欲しかったに違いない。その気になればこういう興行の方式もありなのか~と、ちょっと感動してしまいました。

先クールにTV放映していた『濱マイク』シリーズはどうやらあんまり視聴率が良くなかったみたいなのだが、そうかなぁ、全体的に言えば私は面白かったんだけどなぁ。(……しかし、私が面白いと思ったドラマは、大体において視聴率が低くなる傾向があるかもしれないが。)一つ言えると思うことは、回によってかなり当り外れがあるということで、特に今シリーズの場合は、TVという枠組みの時間的・空間的な制約を熟知したCFやMV出身監督の作品に見るべきものが多かったように思う。中島哲也監督の回(林家ペー&パー子夫妻の出てたやつ)なんてもうサイコーでしたね ! そう言いつつも、一番好きだったのはやっぱり石井聰亙監督の回だったりするんですけど……。逆に最低だったのは、最初から映画だかDVDだかの他のメディアに持っていくことを想定するあまり、何だか中途半端な作りになっているように見受けられた回。はっきり言わせてもらおう。青山真治監督の回なんてかなり酷かったと思う。こんなの、TVの視聴者を馬鹿にしているとしか思えないよ。ここが結構鳴り物入りの回だったというところに、低視聴率の一つの原因があったのではないかと個人的には思っているのだが、どうだろう。

平成【ガメラ】シリーズの特撮監督である樋口真嗣監督は、心から応援したい監督の一人である。しかし……モーニング娘。の映画はさすがに私には無理だ。カンベンして下さいぃ。

9/11には会社を早引けして(最近そういうの多いですな)、【チョムスキー9.11 Power and Terror】というドキュメンタリー映画の上映会に行ってきました。ノーム・チョムスキー氏は言語学者として大変高名な方ですが、ベトナム戦争以降のアメリカの外交政策に対する批判的論評でも有名で、この映画の中では、昨年の9月11日のテロは勿論許容されざる暴力行為だとしながらも、そのように何千、何万という民間人が犠牲になる暴力行為自体はそれ以前から世界中のあちこちに数限りなく存在していたのであり(その中にはアメリカ政府が直接・間接に関与したものも多くあり)、そのような暴力行為がアメリカ人やその同盟国の人間に向けられたという点だけが歴史上初めてのことだったのだと言明しています。チョムスキー氏の発言や、彼の引用する数多くの事実関係をどのように解釈するかは映画を見た人次第だと思いますが、まずそれ以前に、出来れば一人でも多くの人にこの映画を見てみて戴きたいものだなぁと思いました。ちなみに、チョムスキー氏御本人はいたってお茶目で上品で優しそうな(そして筋金入りのインテリの)オジイチャマなんですけどね。

当日の夜地上波でも放送していた、世界各国の11人の監督によるオムニバス【11'09”01/セプテンバー11】も、各国の監督それぞれの主題の捉え方や手法の違いがそのままに呈示されていて、それが視点の多層性をより豊かに際立たせているのが面白かったです。ただ、会社のお昼休みに会社の同僚とこの話をしていると、たまたま同じ番組を観ていた一人が「私は見ていてあまりにも心にず~んと来てしまったので、とてもじゃないが“面白い”といった感覚ではなかった」と言っていたのを聞きまして……完璧に映画ズレしてしまっている自分の見方をいたくいたく反省させられた次第です。

HYDEさんとかいう人とGacktさんとかいう人が、今度【MOON CHILD】とかいう映画で競演するんだそうで。げげ、またこりゃつまんなそうな企画、と思って聞くともなしに聞いていたら、何と監督が瀬々敬久氏なんだとか……ぜ、ぜぜさん ? 一体何を血迷ってそのようなことに……。

今週は金曜日と土曜日(9/6・7)で(金曜日は会社はお休みをもらって)、R・W・ファスビンダー監督の【ベルリン・アレクサンダー広場】(1979/80年)の合計15時間の上映会に行って参りました。もともとテレビ用に企画されたものとのことで、全13話+エピローグという構成になっているのですが、回を追うごとに話がどんどん無茶になっていって、特にエピローグなんて、主人公の精神が破壊されたということにして本当に好き放題やっていたのが凄かったです。一体、これのどこがテレビ用なんだ(笑)。当時、本国のドイツでも夜遅くの放送に回されたとのことですが、宗教コードに引っからない今の日本ですら、殺人のイメージやら強烈なホモセクシャル的イメージやらで、少なくとも地上波で放送するのはムリなことでしょう。

マシュー・バーニーというアーティスト(今ビョークとつきあっている人なんだそうな)の【クレマスター】というアートフィルム・シリーズの上映会(計7時間くらい ? )に行って参りました。(一週間限定とは言え、こういうチャレンジャーな企画をするからシネマライズって好きだよ。)こちらの感想は……まぁアートフィルムですからねぇ。でもこの人の持っているイメージの核自体は案外クラシックな(悪く言えば割と古い)んじゃないかなぁと思いました。

しばらく前のことだが、映画を観ている途中で上映がストップしてしまったことがある。たっぷり5分位の中断の後に映画は再開したが、まぁここまではほんの時たま遭遇する腹の立つ話。でもその映画館では映画の上映後に、1年間有効の招待券を配っていた。勿論、その回の上映に失敗してしまったこと自体は全くもって歓迎できないことなのだが、一旦映写事故が起こってしまったからには、客はいわば支払ったお金に対して“不良品”を掴まされてしまったのだから、返金なり何なりの措置を採るのが当然だと私は以前から書いてきた。だからこの映画館の採った措置は当たり前のことだ。当たり前のことなのだが、その当たり前のことを当たり前にやってくれる映画館に私は今までほとんど遭遇したことがなかった(“お詫び申し上げます”の一言すらない映画館だって全然珍しくない ! )ので、さすがこの映画館には世間の一般常識が通用するんだなぁと少し嬉しかった。その映画館の名前はテアトル新宿といいます。実はお気に入りの映画館の一つです。

フィルムアート社から刊行されている『マイ・ファースト・ムービー―私はデビュー作をこうして撮った』には、私の好きなタイプの監督さんのインタビューが多数収録されており(コーエン兄弟、スティーヴン・フリアーズ、ニール・ジョーダン、ペドロ・アルモドバル、ケヴィン・スミス、アリソン・アンダース、P・J・ホーガン、アン・リー、ケン・ローチ、ベルトラン・タヴェルニエ、etc.……ゲーリー・オールドマンやスティーヴ・ブシェミ辺りにまで目配りをしているセンスも凄い !! )、第一作目を撮るまでの苦労話の中に各国のシステムの違いを浮き彫りにさせながら、何よりも内外の多大なプレッシャーを克服して夢をカタチにする過程がそれぞれ克明に綴られているところが、大変に感動的でした。ただこの本、原著では20人のインタビュー集だったのに、日本版では16人に割愛されているのが残念。まぁ確かに現行の3000円という値段でも高いと感じるから、ページ数の関係でどこかを削らなければならなかったのは仕方なかったとしても、ミラ・ナイール監督を削った感覚だけはやはりどうしても解せません。アリソン・アンダース監督以外の唯一の女性で、アン・リー監督以外の唯一の非白人だったということだけを考えても是非とも残すべきだったのでは。はっきり言って【リービング・ラスベガス】の某カッコつけ監督のインタビューなんか要らないと思うし(笑)。

【オースティン・パワーズ・デラックス】のテレビCMではロンブーの淳くんを使って宣伝しているようなのだが……私ゃロンブーはそんなに嫌いじゃないけれど、そりゃちょっと笑いの質とか何とかが、根本的に違くない ? とにかく売れてるお笑いの人なら誰だっていいやという姿勢なのだとすれば、そりゃとっても安易なんじゃないだろうか。あーあやっぱり昨今って、全体的に映画の宣伝の質が落ちているんだなーと感じないではいられない。

かつてディズニーが、世界中のお伽話に手を付けてアニメ化しまくったことはまぁ許そう。でも最近、そういった作品の続編なんていうものを勝手に捏造してあれこれ売りに出しているのはどうにも許せん。彼等にはそうした物語自体が世界人類の記憶にとっての共通遺産だという認識なんて毛頭無いのだな。さすが歴史の浅い国のやることは違う。総ては全部、札束にしか見えないらしい。物語を紡いでそれを語り継ぐという人類の営為の歴史に対する敬意なんて、微塵も持っていらっしゃらない。

ベン・アフレックの顔って、最近何だかますます大味になってきたなぁ。【チェイシング・エイミー】や【グッド・ウィル・ハンティング】の頃のような繊細な演技なんて、もう二度と出来なくなっているのじゃないのだろうか。

【ディナーラッシュ】って映画のフライヤー、普通のサイズよりデカくてかさばるの !! 邪魔なの !! 持って帰るのも断念しましたってば。しょうがないじゃん。

なんかね~、スティーブ・マーティン主演のあまり題名を聞いたことのないような映画(【ノボケイン 局部麻酔の罠】とかいうの。もしかしてこれ、まんま商品名なんじゃないのか? )を、歌舞伎町の片隅の方の映画館(ここはこの間まで三池崇史さんの【新・仁義の墓場】をレイトショーでやっていたところなんじゃないのか)でレイトショー公開するみたいなんですが……。スティーブ・マーティンが出ているってことはまがりなりにもちゃんとしたハリウッド映画でしょ、なのにそのうらぶれた展開は一体何…… ? と考えていてハタと気がついた。こりゃあれだ、Vシネとおんなじ方式。どんな場末の映画館でもレイトショーでも一週間くらいでも何でも、とにかく公開しさえすればビデオのパッケージに“劇場公開作”と銘打てるというヤツ。ああついにハリウッド映画系にもそんな商売の仕方が始まってしまったのか。でもそんな形での劇場公開をするためだけにわざわざ割高なお金を出したとも考えにくいし(劇場公開権込みで買うよりもビデオ化の権利だけ買った方が安いはず)、こりゃ何かの映画の権利と抱き合わせでパッケージで買わされてしまったものを何とかして少しでも換金せんがなの為の方策なのではないかと想像したのだが。

辻仁成原作・中山美穂主演の映画が、彼等が入籍したタイミングと前後して延期になった、とかいう話を聞いてどうも胡散臭いな~と思っていたので、あれは辻仁成が自分で監督をやりたがって色々と小細工したのが裏目に出たのだ、という話を某誌で読んでいたく納得した。(内部的には本当はもう延期ではなくて中止になってるんだって。)「映画化の権利を持っていたフジテレビも“辻にメジャーの監督は無理”と本人の申し入れをきっぱり拒否していた」という下りを読んで更に笑った。およそミーハーな企画にしか手を染めないフジテレビでもさすがにそれくらいのことは判っていらっしゃるのね。監督に予定されていた行定勲さんも、いくら個人的にはおよそ好きじゃないと言ったって、辻仁成と較べれば映画監督として100万倍くらいまともだし才能だってちゃんとありそうだもんなぁ。

これは恥ずかしい“混ざっているぞ”シリーズ。私、バリー・レビンソンとバリー・ソネンフィルドがなんかごちゃごちゃになってしまう……。

yahoo ! のショートフィルムで北村一輝さんが主演をしているということで、(ウチのコンピュータはボロいので)わざわざインターネット・カフェにまで行ってみたりなんかしちゃったりして、インターネット配信映画の初体験とあいなりました。感想は……おお、なかなかちゃんと動くんじゃん ! 画面がまだまだ小さいし、他の技術的な面でもまだまだいわゆる“映画”の域に達するのには時間が掛かりそうですが、まずビデオでショートフィルムを作って自分のプロモーション用に公開する、なんて意図には充分使えそうで、これは何か映画の裾野が広がる予感を感じさせてくれて楽しみです。え、北村さんの映画は ? 北村さんはカッコよかったですよう。内容についてはまぁ……林海象監督だもんねぇ。思った通りのベタな感じでしたけれども。

小津安二郎監督の不朽の名作【東京物語】を某フジテレビがドラマにするとかいう話を聞いて、何てバチあたりなことをするんだと思った。【東京物語】は、地味な物語や設定の中に小津監督作品独得の空気感が浮かび上がってくるからこそ名作なのであって、小津テイストを盛り込むための空っぽの器である物語や設定の方だけを拝借して適当にアレンジしてみたところで何の意味も無い。(それとも今回演出するディレクターの方は、小津監督に匹敵するだけの個性や演出力をお持ちだとでも !? )おまけにキャストが……あ~あ、もう。素晴らしいオリジナルがあるのにわざわざイマイチなリメイクを作ってオリジナルに泥を塗るようなマネをするとは、まるでハリウッドの悪業を見ているような気分だ。映画をテレビにアレンジし直すのなら、永瀬正敏主演の『濱マイク』シリーズくらいの凝った芸を見せてくれ。(『私立探偵濱マイク』は月曜夜10時に日本テレビ系列で放映中でっす。)

今度『ぼのぼの』がCGアニメ化されるんだそうだが、そのチラシを見て「うっ」と思ってしまった……ぼ、ぼのぼのに毛が生えている!うえ~気持ち悪い~!【モンスターズ・インク】を見てその技術の向こうを張ってみようということになったのかもしれないが、つるつるじゃないぼのぼのなんてぼのぼのじゃな~い!やっぱりぼのぼのってあくまでも平面世界の生き物なのよ。

三池崇史さんが監督して先日テレビで放送された時代劇の『さぶ』の劇場公開が決まったと聞いて……ちょっと待ったという気持ち。三池監督の時代劇へのチャレンジは応援したいところなのだが、正直言って、主演の二人の技術の不足がモロに画面に出てしまい、作品の出来栄えとしては今二つだったので。

河村隆一が太宰治を演じるんですって !? それって一体何のギャグ !?

【千と千尋…】の東京地方での上映が6月末でようやっと終了するようだ。しかし去年の7月半ばの公開でしょ ? 本当に1年近く上映していただなんて凄い。DVDの発売がなければもうちょっとやっていた可能性もあるのかもしれないし……。

ヨーロッパのちょっと個性的な映画を観ていると必ずと言っていいほどクレジットされていたフランスのカナル・プリュス(Canal+)社……ここの大元の親会社がヴィヴェンディ・ユニバーサールとかいうところになったとかの余波で、創設者であった名物社長のピエール・レスキュア氏が解雇されてしまったとのこと。これで今後カナル・プリュスが手掛けようとする映画のチョイスが、儲かる映画=あんまり芸術志向じゃないかもしれないハリウッド・タイプの映画、に変わってくるかもしれないと見られている。う~ん、ハリウッド映画みたいになってしまったカナル・プリュスに見るべきものなんて多分なぁ~んにもないぞ。どうなるヨーロッパ映画 !? というか、ことはヨーロッパ映画に対する影響だけに留まらないかも。全世界の映画がハリウッド化してしまったら ? 私は映画を観るのをやめます。

映画館で【ブレイド2】の予告編を見ていたのだが……“【マトリックス】も【グリーン・デスティニー】もこの映画がなければ生まれなかった”なんて、あまりにずうずうしいというか、厚顔無恥なのにもほどがあるんじゃない ?

配偶者シリーズ第三弾 ! な、なんとあの庵野秀明監督とマンガ家の安野モヨコさんが御結婚なさったらしい……お付き合いしているらしいとは噂で聞いていたのだが、安野さんはともかく、永遠に思春期が終わっていないような印象を与えるあの庵野監督が御結婚なんてなさる日がまさかやって来ようとは……。

配偶者シリーズ第二弾。【鬼が来た!】の監督・主演のチアン・ウェン(姜文)さんの奥さんってフランス人なんだとか……なんか妙に納得してしまった。

【ハムナプトラ2】で評判を呼び、ついには単独主演作【スコーピオン・キング】まで作られたWWFのプロレスラーのザ・ロック様だが、奥さんがメリル・リンチの重役だとかいう話を聞いて、大変失礼かも知れないが、とてもびっくりしてしまった……何でも大学時代、ザ・ロック様がまだアメフトをやってらした頃からのお付き合いなんだそうで。う~ん、なんかいい話だなぁ、それ。

私の好きな漫画家の黒田硫黄さんの『茄子』という連作短編コミック(しかしなんちゅう題名だ)の第一巻に収録されている『アンダルシアの夏』という作品がアニメ化されることが決定したようです。あまりにも我が道を行っている個性的な世界だから映像化にはとんと向きそうもない黒田さんの作品が、紛りなりにもアニメ化される日が来ようとは。何かすごい時代だなー、という気がしてしまいます。

その前の方の席に座っていて時々気になること。一番スクリーン側のドアを次回の客の入場口にしている場合が往々にしてあるのだが、待っている客同士のおしゃべりの声が耐え難いくらいうるさいことがあるのだ。これはなんとかならないものだろうか。おしゃべりの声は案外響くものだという認識も一般的に広まって欲しいものだが、映画館の人もこまめに客にインストラクションして欲しいし、いっそのこと扉をすべて防音扉にするくらいの配意があってしかるべきなのではないだろうか。

私は出来れば前の方の席に座ることにしているのだが、後ろの方からやってきた人が私の席の周辺で急に立ち止まってうろうろしていることがままあるということに、ごく最近気がついた。私はもともと背が低く、更に座高も低いため(その分横幅も広いけど)、ある程度の高さがある背もたれの椅子に座ると埋もれてしまい、後方から見るとどうも空席に見えるらしいのだ。す、すみません、でもしょうがないじゃない……。

ふと気がついたら、中野武蔵野ホールのプログラムが新宿昭和館化している……閉館した昭和館の魂が乗り移ったのか !?

最近、ショート・フィルムという形態が注目されているのはいいことなんだとしよう。確かに、コストが掛かり過ぎてしまう長編をいきなり作るのは難しいから、予算的にまだ何とかなりそうな短編映画をまず何本か手掛けてみるというのは、世界的に見てもスタンダードでごくまっとうな筋道である。ただ、最近のいくつかの短編の企画の話を聞いていると、もしかしてそりゃ単に長編を作るための構成力が欠如しているってだけなんじゃないのか ? と思われるものも少なくないような気がしてならないのだが……。

ここしばらくの間に、コラムを書く際の調べものにインターネットを使う機会がぐっと増えた。特に新作映画では宣伝用のホームページが作られていることが多く、なかなか重宝する場合も多いのだが、これが各社各様、仕様も中身もバラバラ。そのバリエーションが面白いところでもあるのだが、しかし不満を感じる場合も少なからずある。ということで、私が個人的に映画宣伝用ホームページに望むことを以下に挙げてみる。1.重すぎないこと。2.あまり凝った作りになっていないこと(ウチはコンピュータの仕様がボロいので、いろんな技術を駆使したページは動かなくなってしまうことが多いのです……)。特にムービーなどは、不要な人はスキップ出来るようにしておいてもらいたいかも。3.キャストやスタッフの詳しい紹介やインタビュー、製作に関連したエピソードなどはとても参考になるのですが、最低、映画の基本情報(エンディング・ロールに載せているようなスタッフとキャストの出来れば全員の名前、製作会社、配給・宣伝会社、製作年度、フォーマットなどなど)は、どこか片スミのページでいいから一応載せておいてもらいたいなぁ。宣伝文句の羅列や数人の主要キャストの紹介なんかだけで終わっているページなんて何の参考にもならないし、わざわざネット上で検索してまで見る意味なんてなーい !! 4.で、結局のところは、その映画に対する“愛”が感じられるページじゃなきゃ大して面白くないんですよね。

とうとう我が吉祥寺にもTSUTAYAが出来るらしい ! 素直に考えて、選択肢が増えるというのは大変嬉しいことだ。だがよく考えてみると、老舗のDORAMAには、私ゃもうかれこれ15年以上もお世話になっているんだよね。(う、眩暈がしてきた……。)新参者に負けないよう、これからもずっと末永く頑張って戴きたいものである。

毎年、アカデミー賞の選考の時期になるといろいろなところに受賞予想の記事が載る……が、日本にいながら賞の行方を予想するのは実のところ難しい。結局はノミネート作品を実際に見て作品の質の感触を確かめなければ話にならない(が、各社とも候補にしたいような作品は年末ギリギリになるまで公開しないことが多いので、選考の時期には日本ではまだ未公開の作品も多い)ということもあるのだが、その年はどの作品に勢いがありそうかとか、どの会社のキャンペーンが効を奏していそうかとかいった“現地での感触”(特に業界人の間での)といったものも大切で、それはやはり日本にいたのでは肌で感じることは出来ないからだ。が、そこのところさすがだなと思ったのが、アメリカに本誌のある『プレミア日本版』の記事。今年なんて、主要6部門のうち、主演女優賞のハル・ベリー以外はみんな当ててたもんね。この的中率はすごいと思う。来年は参考にしてみようかな(何の ? )。

仙頭武則プロデューサーがこの度ついに自分で作った会社の社名は『ランブルフィッシュ』っていうんだって ! う~ん、なかなかいいセンスをしてるんじゃない ? ちなみに映画の【ランブルフィッシュ】はコッポラ監督の昔の作品で、私の大好きなラリー(ローレンス)・フィッシュバーン氏もちょい役で出ています。ミッキー・ロークって実は本当にちゃんと演技が上手かったのね、とか、今見るとまたいろんな発見があって楽しい映画なんじゃないかと思いますよ。

昨今、ヒットする映画はバカ当たりするがヒットしない映画には全然人が入らず、その格差がもの凄く広がってきている、という現象がおこっているんだそうな。その記事を書いていた人は、シネコンの浸透や客の質が変化してきたことなどが原因だとしていたのだが(まぁ確かにそういう要素もあるだろうとは思うのだが)私はもう一つ、ずばりシネマ・ジャーナリズムの脆弱化が大きな原因なのではないかと踏んでいる。だってそりゃ要するに、小さくても良質な作品の情報がちゃんと観る側に伝わっていないっていうことではありませんか!誠意ある情報提供を心掛けて下さっている方々というのも業界には勿論たくさんいらっしゃるとは思うのだけど、非常に多くの場合(心ある専門の映画番組や映画雑誌でもない限り)、大手の会社から大容量でだらだらと(金にあかせて)流されてくる情報をそのままタレ流しているだけだって場合が、圧倒的なんじゃないのだろうか。……ああこのテーマは本気で論じているとなんかおおごとになりそう。今日は時間がないからこのへんでやめときますが最後に一つだけ。今現在の映画を巡る総ての状況の中で、資本の論理その他に流されっぱなしにならない批評精神をいかに総体的に確立するかということが、非常に大切になってくると思うのです。

金大中氏誘拐事件を扱った【KT】が待機中の阪本順治監督の次回作は……なんと西原理恵子さん原作の『ぼくんち』 ! う~ん、まぁ案外、合ってると言えば言えなくもない題材かも……それにしても思い切ったことをしはりますなぁ。

映画関係者の「映画はビジネスだ」という類いの発言を聞いてたまに思うこと。確かに映画は金勘定的な要素を多く含んでいるし決して無視して通れもしないが、実際にビジネス化(計量化)できるのは事前の準備に関する支払いとか事後の流通に関する部分とかのみ。映画の一番コアになるクリエーション(創造)の部分、つまり、狂気をも含めた人間の“尋常じゃない部分”を形にする、そのものズバリの部分は決して計算はできないのだ。(少なくとも現時点では。今世紀中くらいにはもしかして、そういったようなものも定量化できる数式みたいなのがどこかの大天才によって発明されるかもしれないが。)だから、件の発言も、その人がそこのところを取り違えてないかどうかというところに、その人の感受性の浮き上がってきてしまうように思う。で、そういったものを感じられない人とかの呈示するような作品って、多くの場合、フツーの発想の枠組みを越えてなくてやっぱりつまらんのだよ。

背が低い 1列目ドア外新宿高島屋のアイマックスシアターが閉鎖……お客さん結構入ってたと思うんだけどなぁ、どんな形のものであれ映画館がなくなるというのはやっぱりなんか寂しいなぁ、なんて思っていたら……なんか3D形式の上映をしなくなるだけで、その場所は普通の映画館としてはこれからも存続するんだとか。一瞬無駄に寂しがってしまった私の心のエネルギーを返してくれ ! それにしてもBootsとかセフォラとか、銀座にあったワーナーショップなんかを見てて思うけど、外資ってちょっと思ったように利益が上がらないとなると本当にさっさと撤退してしまいますね。確かに儲からないことをいつまでもやってても仕方ないと思うし、その時期の見極めは大事だと思うけど、それ以前に、事前のマーケットリサーチとか(一旦作ってしまったからには)市場に自分達のことをちゃんと浸透させる努力とか、本当にやってんのかな~ ? といぶかんでしまうんだけど。
(……その後の追加記事 : アイマックスシアターは品川に復活致しました ! なぁんだ、ちょっと先走ってしまってすいません。でも品川は私にはちょっと微妙に遠めかも……。)

【千と千尋…】が、アニメーションなのにも関わらずベルリン映画祭で金熊賞を受賞したというのは本当に凄い快挙 ! 遅ればせながら、心からお祝いを申し述べたいと思います !!

【竜二forever】という映画の予告編を見て思ったこと。スタッフやキャストの皆さんの意気込みは多分もの凄く真剣なのだと思う。でもやっぱり金子正次さんという方、その生き様を抱え持つ方は……御本人の他には二人といらっしゃらないのではないだろうか。

最近、気がついたんだけど……私、牧瀬里穂さんとつみきみほさんが今一つ混ざっているみたい……。

1999年から2001年に掛けては、極個人的に「気になる映画はなるべく頑張って見てみる」という裏テーマを何となく設定していた。でもまぁ、世間の流れと自分の好みの乖離も昔以上に激しくなってきたことだし、私も最近ついに完全にオバサン化してきたしで、今年あたりからはもうそろそろ、あんまり観たくない映画は今まで以上にバンバン切り捨てて、もっともっと極端に趣味に走ってしまってもいいんじゃないかと思い始めている。エ、誰です ? 今までやってたことと大して変わんないじゃん、なんて言っているのは ? ま、確かに、そうは言いながらもやっぱり今年も見る映画の本数はそんなに減ったりしないんでしょうけどねぇぇ~。でもまぁ手始めに、【WASABI】なんかは見なくていいことにしてもいいですかねぇ。

御年100歳になったレニ・リーフェンシュタールさんが、新作映画を準備中だとか……レニさんの業績については世界中で様々な御意見があるようだけれども、100歳で映画云々という事実自体、これはもう凄いとしか言いようがあるまい。

いくらカンヌでパルムドールを取ったからって、イタリアのナンニ・モレッティなんていう日本ではそれほどメジャーとは言えないであろう監督の新作映画を松竹東急系なんかで全国公開するなんてどういう風の吹き回し…… ? と思っていたのだが、TVでガンガン流しているCFを見てようやく腑に落ちた。なぁ~んだ、つまりは【ダンサー・イン・ザ・ダーク】の 夢よ再び、ってことなのね。全く何のひねりもないったら。

香取慎吾君が出る1月からのフジテレビのドラマ、要するに【赤ちゃんに乾杯 ! 】の設定の焼き直しなのでは ? とはの指摘。な、なるほどぉ……。


ことしの「ろばみみ」へもどる

ご意見・ご感想はこちらまで


もとのページへもどる   もくじのページへもどる