2007/9/23

南アフリカ VS トンガ
南アフリカVSトンガ
307前半325
TRY
GOAL
PG
DG
.23後半22
TRY
GOAL
PG
DG



ランキングでは上位のサモアを破り、2連勝と勢いに乗ったトンガが、グルジアがアイルランド相手にやらかしたような手に汗握る素晴らしい試合を南アフリカ相手に見せてくれた。

南アフリカは、主力選手を少し温存したスターティングメンバーとはいえ、トンガの豪快な突破力が南アフリカを切り裂く。相手ディフェンスに真っ向からぶつかって行くあのスタイルは全盛期のNZのスーパースター、ロムーのプレーを見ているようだった。しかも南アフリカのアタックに対してもタックルが刺さりまくる。そして、そこからターンオーバーする回数の多いこと。完全にガチンコ勝負の感動的な戦い振りだった。

まず、神戸製鋼でプレーしているSOホラのPGで先制すると、その後、南アフリカに1トライは許したものの、何度もあったピンチを奇跡的なターンオーバーで凌ぎ、前半を7対3の4点差で折り返す。後半に入ると、NZやオーストラリア相手でもG前では鉄壁なディフェンスを見せ、なかなかゴールラインを割らせない南アフリカに対して、5分、22mライン内に入ると、低い姿勢でFWがサイド、サイドを徹底的に突いて、いとも簡単にトンガはトライを奪った。コンバージョンも決まり、10対7と逆転。

さすがに南アフリカもまずいと思ったのか、今大会の注目選手にも挙げられているWTBハバナをも含め、総勢5人を入れ替えで投入するという荒療治。しかし、トンガ陣でペナルティをもらうと、とりあえず同点ということでSOプレトリアスがPGを狙うが、このキックを外す。試合が最後までもつれたのは、プレトリアスがキックをことごとく外しまくったのも要因だった。南アフリカは、キッカーを途中出場のステインに変え、後半13分、トンガ陣でのPGを決め、何とか同点に追いつく。

その後もトンガは互角の戦いを続けるが、ラインアウトのミスが大きく、南アフリカ陣に攻め込みながらもマイボールを奪われ、南アフリカに展開されてトライを奪われる。コンバージョンも決まり、17対10に。残り20分でようやく南アフリカが逆転。こうなるとさすがに地力に勝る南アフリカが本来の実力を出し始め、その2分後、1999年WCのスター、ボビー・スキンスタッドのトライ。

ゴールは外れるが22対10に。(この時ラフプレーで両チームとも1名ずつシンビンに)立て続けにそのまた2分後、また自陣からボールを繋ぎまくり、最後はピナールが右隅にトライ。これで27対10。本来なら、誰もがここで、南アフリカの勝利確定と思ったことだろう。17点差といえば、強固なディフェンスは世界一と評判の南アフリカから、3トライを残り15分で奪わなければならないのだから。

ところが、この状況下でもトンガは決して諦めなかった。
ボールを繋ぎまくって南アフリカゴールラインに迫ると、ラインは割れなかったものの、何と南アフリカ、ハバナがペナルティを犯し、シンビンに。ここでスクラムを選択したトンガは力強いサイドアタックを数回仕掛けて、SOホラが左ライン際に絶妙のキックパス。タッチラインギリギリでボールをキャッチしたCTBが柔らかい見のこなしでタックルに来た南アフリカFBモンゴメリーを交わしてトライ。ゴールキックは外れたものの27対15に。だが、まだ12点差ある。しかし、トンガの攻撃はこれでも終わらない。

残り10分を切るが、絶妙なホラのキックをきっかけに自陣から繋いで攻め込み、最後はインゴールに蹴り込んだボールを押えてトライ。これで27対22と5点差に。もう場内騒然。

私も思わず「トンガ凄い!、頑張れ、勝っちゃえ!!」と叫んでしまった。
残り5分、トンガが自陣で反則を犯し、このPGを南アフリカモンゴメリーが決めて30対22と安全圏の8点差に。これで万事休す、と思ったが、この後南アフリカが自陣でペナルティを犯す。この時、残り3分。再びPGを選択したトンガはホラがしっかり決めて、再び5点差に。

最後2分の攻防は見応えがあった。
恐らくラストプレーになると思われる南アフリカのキックオフ。ボールが途切れたら試合終了という危機的状況の中、トンガは、自陣から集中力を切らさずに徹底的に繋ぎまくる。FWバックス一体となって徐々に前進、南アフリカ陣に入る。ミスの全くない攻撃で場内が固唾を飲んだ。ただし点差は5点、DGでは逆転できない。とにかくゴールラインを割ること、これが使命だ。

攻め続けた第11フェイズ、すでに残り1分。
南アフリカ陣中央10mラインを過ぎたあたりで、ホラが南アフリカ左サイドG前10m付近へキック。この時、「何故、蹴るんだ!!」と私は思ったが、実はこれも意図したキックパスに近く、そこにトンガWTBが走り込んでいたのだ。G前10m、タッチライン間近。しかし、このキックの転がりが最後にトンガに味方せず、わずかにタッチ側に転がり、ラインを切った。ここで激戦は終わりを告げ、無情のホイッスルが吹かれた。

しかし、敗れたトンガ選手の顔は晴れやかだった。優勝候補の一角、南アフリカ相手にここまで俺達はやれたんだという満足感だったろう。
それにしても、ここまでできるのだ。目標をキチンと定め、戦術、戦略をしっかりと立て、それを選手に徹底的に浸透させ、どんなプレッシャーの中でも、最高のパフォーマンス、自分たちの持てる力を全て出し尽くす。今回のトンガはそんなチームだ。

私はJスポーツがイングランド対サモアという好試合をESPNでの生中継に組んでくれたお陰というか暴挙のせいで、現時点ではこの試合の結果を知らない。あえて他のサイトで結果を見ようともしていない。
今日(23日)5時からの再放送をライブ感覚で見たいからだ。
この試合でイングランドがもし敗れていれば、サモアも含めた3すくみになるか、それともジョニー君の復活効果でサモアに勝ち、イングランドとトンガのサバイバル勝負になるのか解らないが、いずれにせよ、次のトンガ対イングランド戦はわくわくするような好勝負が見られることだろう


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