数理も情報も卒研の配属シーズンである。 今のところ、数名から相談の問い合わせがあるが、 おそらく最終的には多くて二、三人と言った所だろうか。 情報からは随分とおどかしておいたせいか、 インスの学生で数理ファイナンスぽいことをやりたいという人一名が 相談のアポイントを取りに来たのみである。
糠床を作って三日で既に発酵が始まったようでそれらしくなってきた。 茄子を一晩漬けてみたら、 確かに糠漬け、京都で言うところのどぼ漬けである。 昼食に美味しく食べながら、なんだ簡単じゃーん、と思ったことであるが、 しかし毎日二回、糠床に手を入れて酸素をやらねばならぬ。 家を留守にする時などはその間「凍結」するための手続きがあったり、 なかなか面倒なもので、 それもそのはず、生き物を飼っているのと同じことなのである。 面倒なことではあるが、 これだと言う漬け物を作ってやるぞ、 という気概を持って盆栽のように手入れを続けていく予定である。
よくあることだが、また激しい思い違いをしていることに気付いた。 北村透谷の言葉だったと思うのだが、 「恋愛はジンセイのヒヤクである」というのがある。 私は昨日まで「人生の秘薬である」だと思っていた。 つまり、 恋愛というものは人生を楽しくしたり哀しくしたりする 秘密の薬のようなものである、と解釈していたのだが、 もちろんジンセイもヒヤクも両方とも間違いなのであった。
午前はメイルで出来る仕事をあれこれ片付けて、 昼食は茄子の漬け物、だし巻き卵、かぼちゃの煮っころ。 午後は薩摩芋を砂糖と味醂少々で煮つけながら、 楕円関数の勉強をする。 夕方チェロを練習してから、 夜は京都文化博物館でのコンサートに出かける。 「ヴィヴァルディのすべて」というタイトルで、 オペラからのアリアや、 チェロコンチェルトがなかなか良かった。
今日の読書。「ファストフードが世界を食いつくす」(E.シュローサー)。
すごく恐い本ですね。
マクドナルドとディズニーを目の敵にしてきた私だが、
ここまでとは思わなかった。とにかく物凄い「経営努力」である。
つい最近、サンドウィッチ・チェーンのサブウェイで材料仕入れ費用が
97パーセント圧縮された(ということは今までの30分の1以下だ!)
というニュースに驚いたばかりだったのだが、
こういった極限までの経営効率の追及ってどこかが恐いですね。
不景気なので私学教育の現場でまで効率追及が行なわれている昨今だが、
あまりテクノロジーが進まないことを望みたい…
昨晩のおでん種の残りを適当に煮しめておかずにしたお弁当を持って大学へ。 夕方の講義までの時間を卒研配属の学生相談にあてる。 数理から三人と情報のインス学生一人が相談に来た。 数理の一人がRIMSのT師匠の所を受験したいようなことを言っていたので、 反射的に「それはやめた方が」と忠告しておく(笑)。 まあ、冗談ではありますが、 進路は自分の向き不向きをよくよく考えるに越したことはない。
また、文理総合インスティテュート、 特にファイナンス・インスは履修上の問題が多いみたいだ。 融通が効くのだか効かないのだか、わけがわからない。 学生は本当にこの制度を有効に使えているのだろうか。 私はかつてはインス制度は結局、 何にもなれない学生を作るだけに思えて、 本当にこの制度自体に有効性はあるのか疑問に思っていたのだが、 普通の学生達のほとんども結局何もやらずに卒業することを知ったので、 学生の心がけ次第ではそれほど悪くない制度かも知れない、 というくらいに今では思っている。 特に私は境界領域とか、ジェネラリストとか言う言葉が流行った昔の、 悪名高い「教養学部」の卒業生なので、 あまり他人事とも思えないという面もある。
夕方から「数学解析」の講義。 振り子の運動を近似を用いないできちんと解くと楕円積分の問題になることを示し、 一次近似として高校で習ったような結果が得られることを紹介。 さらに次回のためにJacobiの楕円関数への導入をちらっと話しておく。 その後、即帰宅。 夕食はおでんの残り、南瓜の煮つけ、大根と人参のなます、 胡瓜の漬物。
大学へ。昼から卒研の予定だったが、 スピーカーが遅れた上に途中に横入れした会議が長引き、 結局卒研は流れてしまった。 その後、M1のゼミ。理由あって、何故か内容はガロア理論入門。 アルティンのガロア理論入門を読む。 これなら苦痛なく出来ます、などと当事者は言うのだが、 まったくストレスがないのは、 何のためにもなっていないという事と同値だと思うなあ… ゼミの後は、AMSレヴューを一本書いてオンラインで入稿。 雨の中、夕方帰路につく。
ふと立ち寄った6階で数理の卒研希望届を見ると、 予想通り私の所は今の時点で一人もおらず。 1階に貼り出されている情報の卒研希望届では、 普通は研究室一つに20人くらい学生が集まっている中で、 たった一人だけ「原研」と書いているのがいて異彩を放っていた。 どこの牧場にも黒い羊はいるものである。 数理からも別の迷える子羊がやって来ないとも限らないので、 楽しみにしていよう。
木曜から土曜まで東北大学での熱方程式関係のシンポジウムに 参加する予定なので、明日は更新できるかどうか。 次回更新は来週月曜になるかも。
この日記は、GNSを使用して作成されています。