Keisuke Hara - [Diary]
2001/10版 その3

[前日へ続く]

2001/10/21 (Sun.)


2001/10/22 (Mon.)

先週末の東北はやけに寒くて、 すっかり風邪を引いてきてしまった。 土日は症状がピークに達して四苦八苦する。

今日、月曜日になっても、 まだ咳も止まらず体調も悪し。 とは言え休講にするわけにもいかないので大学へ。 夕方から「数学解析」の講義。 Jacobiの楕円関数の簡単な性質など。微分公式を作ってみたり、 楕円積分を楕円関数の積分で表示してみたり。

雨の中、ふらふらしながら帰宅。 生姜をきかせて雑炊を作り、 焼き茄子と食べる。 やっぱり茄子の一番おいしい食べ方は焼き茄子。 茄子一つ丸ごとをそのままオーブンか何かで焼き、 皮が真っ黒に焼けたら即、水につけて皮を剥き、 熱々の所に生姜と醤油をかけて食すのである。 皮を剥いた時の翡翠色の身が美しくて作りながらも食欲をそそるし、 茄子はほとんど水みたいなものなので焼き過ぎる失敗もなし。

嗚呼、今週後半の講演、まずいなあ…


2001/10/23 (Tues.)

風邪は未だ治らず。咳の症状が中心なので体力を消耗する。 お弁当を作る気力もなく、兎に角大学に行って、 生協で天ぷら蕎麦の簡単な昼食をとる。 正午から卒研。ランダム置換の話。 続いてM1「代数」ゼミ。

夜は「きょうの料理」の特集「伊丹十三の親子丼」を観たりしながら、 講演の準備など。

卵で思い出したが、 瓢亭玉子のような絶妙の半熟卵を作るポイントが最近判明した。 それは思いがけないことであるが、すなわちその「切り方」である。 半熟の黄身を崩さず零さずに半分に切るにはどうするか。 もちろん、それは奥技中の奥技であるから教えられない。 A堀先生の高価な知識と同様に一子相伝である(嘘)。 ほんとうのところは、 辻嘉一の本を読んでいたら、 その中で約10ページを費やして(!)半熟卵の作り方を解説していて、 そこで学んだのである。 そう思うと料理のレシピとはありがたいもので、 こんなありがたいことをほとんどタダで教えてもらっていいものだろうか、 と後ろめたくなるほどありがたい。


2001/10/24 (Wed.)

あいかわらず風邪は治らず。 生協で蕎麦を食べて正午から修論ゼミ。 それぞれに仕事が進んでいるようである。 続いて「プログラミング演習」、さらに教室会議。

教室会議が終わってから、 A堀先生の個研で最近のA堀先生が考えている 問題のアイデアを聞かせてもらう。 例のフィルトレーションの話だが、 非常に具体的なランダムウォークの計算に帰着させる ところなど面白いアイデアに思えた。 A堀先生は非常にお忙しいので、 自分のアイデアを学生始め周りに振り蒔いていく 工場主方式を試しているらしい。 最近、A堀先生の話を何度か聞いてようやく、 おぼろげながらTsirelson理論の一画が見えてきたように思うのだが (これは我々が去年 Tsirelson に来日してもらった効果でもある)、 私も最近忙しいのでA堀先生の学生たちに任せたい。

帰宅は8時頃。ああ、もう明日から土曜まで毎日講演か… 気が重い。


2001/10/25 (Thurs.)

風邪は未だ治らず、むしろ喉の痛みなど悪化気味。 朝から京大での確率解析のシンポジウムに参加。 午前中に三回連続講演の第一回目をする。 苦手な英語での発表であることもあって結局、 いつもにもまして落ち着きのない不安な感じの講演であった… まあ、兎に角、一日目終了。 夜は百万遍の近所で懇親会。

懇親会の後、即帰宅して、自転車操業で明日の講演準備。


2001/10/26 (Fri.)

朝から京大でのシンポジウム二日目に参加。 午前中に私の連続講演の第二回目を終える。 昨日に増して浮き足だった不安定さで、 我ながら反省点の多い講演だった。 午後はもう一人のメインスピーカー、 外国からの客人W教授の連続講演を聞いて、即帰宅。 W氏の講演は最新の研究結果をテーマにしながらも、 その分野に不慣れな聴衆への教育的配慮もブレンドした貫禄ある講演で、 その格の違いにちょっとブルーになりながらの帰路であった。 5つくらいしか年も変わらないはずなのになあ。

会場は数学の建物の一階大会議室なのだが、 昨日久しぶりに見たら何と部屋が完全に模様替えされていて驚いた。 以前は唯一のドアが黒板の隣りにあるという謎な設計で、 講演中に部屋に入ろうとすると会場中の人に見つめられて 気まずい雰囲気になることで有名であったが、 なんと今は黒板が正反対に逆の壁に移動しているのであった。 これなら、遅れて来て講演中にこっそり入場することも、 逆に退出することも可能。 これで談話会の聴衆が増えるのではないか、 と言う評まであるようだ。それは関係ないような気もするが…

またしても夜は自転車操業。 風邪はいまだ治らず。


2001/10/27 (Sat.)

確率解析シンポジウムの三日目。 朝一番で私の最終講演。 途中でT師匠から入った質問に対して慌てて嘘の回答をしてしまったり (講演後に気付いて謝りに行った)、 あいかわらずのよろよろした講演だったが、 まあ兎に角はこれで身にあまる大役を終えてほっとした。 後で多くの方にプレプリントを請求していただいて、 少なくとも興味は持ってもらえたらしいということは大収穫である。 続いてW教授の最終講演を聞いて、即帰路につく。

帰宅すると、久しぶりにダイニングで執事を目撃。 副業の方ではアルファ版のリリース直後で、 ちょっとゆとりが出来たのだろう、落ちついた会話を交わす。 最近は滅多に姿を見ず、 いつの間にやら食器が片付いていたり、家の中が整理されていたので、 まるで「全自動住宅」に住んでいるような気分になっていた。 その後、午睡。4時間くらい熟睡。

陽が落ちてから目が覚めて久しぶりに御飯を炊き、 茄子の味噌汁と大根の漬物の粗食をいただく。 やはり自宅の御飯が一番おいしい。木櫃に移すせいだろうか。 食後、これまた数日ぶりにチェロを弾く。 ロングトーンを弾いたあと、 スケールを第一ポジションとサムポジションでやって、 ヴェルナーから一つ簡単な所をさらい、 いつのもシュレーダーからエチュードをする。 今の課題曲はマスネの「エレジー」。


2001/10/28 (Sun.)

久しぶりに穏やかな休日を過す。 午後は事務書類の作成を一つ片付けてから、 烏丸に珈琲豆を買いに行き、 本屋などを周って帰宅。 自宅でお茶など飲みながら、 マルクス・アウレーリウス「自省録」(岩波文庫)を読んだり。

これから年末に向けては比較的マイペースで暮らせそうなので、 気がむけばたまには土日も更新するかもしれないです。


2001/10/29 (Mon.)

久しぶりにお弁当を持って大学へ。 だし巻き卵、大根の漬物、梅干しなど。 夕方は「数学解析」の講義。 楕円関数の加法定理を、 三角関数など初等関数の加法定理の間の補間だと思って アタリをつけておいて、微積分でがりがり計算する方法で示す。 数学としては非常に筋が悪いが、最初のステップと言うのは、 大抵こんな方法で発見されるのではないだろうか。 その後、A堀先生と一緒に卒研説明会。 来年はA堀先生のファイナンスゼミと私の確率論ゼミで、 互いに行ったり来たりできるような横断的な仕組みでやってみようと。

説明会で遅くなったので、帰宅したのは8時くらい。 もう御飯を炊くには遅いので冷蔵庫と相談した結果、 良い豚のハムを買ってあったのを思い出して、スパゲティにする。 レシピはアーリオオーリオそのもので、 大蒜と唐辛子をオリーブオイルで炒めるついでにハムも炒め、 茹であがったパスタに和えイタリアンパセリを混ぜるだけである。 一時期アーリオオーリオに凝ったおかげで既に手順が自動化しており、 湯が沸いてから作業に入り全工程10分で完成。 今までに作ったスパゲティの中ではダントツの絶妙な出来で、 我ながら感激しながら白ワインとともに食す。 こういうことがあるから、人生捨てたものではないな…と、 思う疲れ気味の今日であった。

自分が、ああ旨い、と思える料理を自分で作れるってことは、 とても大事なことなのではないかなあ、と最近思いますね…


2001/10/30 (Tues.)

お弁当を持って大学へ。 南草津駅を降りた所で偶然K川先生、情報のN村先生に会って、 バスでキャンパスに向かう。 到着して即11時半から 数理ファイナンス・シンポジウム(今年も大物ぞろい)準備のミーティング。 続いて、15分の食事時間を待ってもらって、卒研ゼミ。 今日はトランプのリフル・シャッフルの確率論的考察、 言い換えれば対称群上のランダムウォークについて。 さらに続いて、30分の健康診断の時間を待ってもらって、 M1「代数」ゼミ。正規拡大とかそんな話。 二時間ほど話を聞かせてもらって、 あちこちにプレプリントを送ったり事務用をしたりして夕方帰宅。


2001/10/31 (Wed.)

正午からM2修論ゼミ。三人それぞれ進展しているようだ。 まあ三人ともこの調子なら何とかなるだろう。 続いて「プログラミング演習」。 続いて教室会議。帰宅は7時過ぎくらいだった。

最近、マルクス・アウレリウス帝の「自省録」を読んでいるのですが、 非常に面白いですね。 アウレリウス帝は子供の頃から学問を好み、 哲学者になりたくてしょうがなかったらしいのだが、 実際はローマ皇帝となってしまい、 しかも統治の間はあれこれ事件が続発し、 後には伝説の名君、哲人皇帝と呼ばれたものの、 学者肌のマルクス本人にはさぞかし辛い日々であったろう。 結局、思想的には教科書通りのただのストア派に過ぎなくても、 その哲学をちゃんと生きたと言う所が偉い。

火曜水曜は集中的に大学の仕事をするので、 あまり日記に書き留めておくことがないなあ…


[後日へ続く]

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Keisuke HARA, Ph.D.(Math.Sci.)
E-mail: hara@theory.cs.ritsumei.ac.jp
kshara@mars.dti.ne.jp (for private)

この日記は、GNSを使用して作成されています。