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2004.9.15 白魚と水菜のスパゲッティーニ カボス添え

 これもランチメニューで出す予定のもの。これは 前に書いた 塩鯖のスパゲッティーニ カボス風味 と 生うにとからすみのスパゲッティーニ  を組み合わせたもの。仕込みの手間がかからない(他のメニューとかぶるもの)、たくさん作っても味がぶれにくいもの、多くの人に受け入れられ、美味しいと思えるものに変化させようと思った。

 ベースは生うにとからすみのスパゲッティーニ と同じソースに唐辛子を刻んだものを少し加え、パスタを和えてから、生の白魚を加え、余熱で火が通 るように合わせる。仕上げにからすみパウダー、水菜、別に揚げておいた白魚をのせ、横にカルチェに切ったカボスを添える。お客さんに絞って召し上がって頂くようなイメージだ。

 白魚は和えるだけだと、崩れて何か分からなくなる。揚げたものを添えるだけだと味が乗らない。両方のやり方に欠点があると思ったので、両方加えることにした。数多く出すことを考えると一行程でも省きたいところだが、味がなんと言っても最優先なので加えることにした。

 塩鯖にしなかったのは、前に出していた時も言われたことだが、少々生臭くなったり、青魚は好き嫌いが分かれたりするので今回は使わなかった。イメージ的には鯖以外にもさんまやいわしなどを本当は使いたいところなのだが、下処理の手間も考えると使いにくい。

 味のポイントは塩気、辛味、そしてあえて自分で絞って加えてもらうカボスの酸味が合わさったうまさだ。その狙いは塩鯖のスパゲッティーニ カボス風味 の時と同じだ。白魚は生で加えたものが崩れて軽く乳化したソースのような感じに、揚げたものが食感を加えていいんじゃないかと思う。まだ実際に出していないので、また変化していくかもしれない。

 今日、イタリア料理技術講習会を受講してきて、リストランテ ヒロの山田宏巳氏の乾麺を使った料理10品と特別 講師に加わったレ クレアシヨン ド ナリサワの成澤由浩氏の料理2品を見てきた。飛び入りで参加したラ ベットラの落合務氏 も含めた話もおもしろかった。レシピ自体は正直どうでも良くて、素材の組み合わせや、ねらいどころ、3人の本音の部分が聞けて良かった。料理を見て、3人の話を聞いていて、何もびびることはないなと思った。自分があの人たちの上をいっているとかいうのはとんでもない思い上がりだが、山田氏の料理を見て、発想やねらいどころは自分も負けているとは思わなかった。1品自分も前で作ってみたいと思ったぐらいだ。

 要は自分は足下を見失わず、当たり前のことを当たり前にできるように技術を向上させていけばいいんじゃないかと。あの人たちは商業的にも成功させているので、料理だけでもだめなのかなとは思うが、自分は自分がやるべきことをやるしかないと当たり前ながら再確認させられた。

 成澤氏は前から非常に気になっていた人なので話が聞けて非常に良かった。雑誌などで見る印象より気さくな感じも受けた。「技術に溺れたりして、作り手の側に立ってしまいがちな料理人は食べ手の側に立つ必要がある」という成澤氏の言葉は当たり前と言えば当たり前だが、それが料理にもあらわれていて興味深かった。講習会に合わせて簡単にしたというところがあるにしても、作ったものはごくシンプルで、「楽しければいい」(美味しければいいという意味だと思う)ものだった。作っている料理人が前に出るのではなくて、料理が前に出るとでも言うのだろうか。パスタを店では出しているそうだが、「フランス料理なのかイタリア料理なのかと言われてもあんまり気にしていない」という考えも共感した。

 有名な3人は自然体に見えた。奢っているようにも見えなかったし、いいか悪いかは別 にしてそれぞれ自分のスタンスを持っているように見えた。彼等のように商業的に成功するかどうかはどうでもいいが(でも現実お金は必要だが)、自分は自信を失わずに、日々勉強し、やるべきことをきちんとやっていくしかないと改めて思った。

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