*この物語はフィクションです。登場する人物や団体は実在するものと一切関係ありません。
但し引用文献や書籍名はすべて実在のものです。民明書房からの引用はありません。
1929年10月 さくら、自分のチームを編成する。 ![]() さくらは幸子と相談してメンバーを考えた。多様なカテゴリーの専門家を集めるのがミソらしい。そしてメンバーは専門家であるだけでなく、柔軟な発想のできる人、協力して仕事ができる人でなければだめ。 まず数学者、特に統計学者だ。しかしこの時代の統計は大学の先生よりも、製造現場で互換性とか公差の研究している人の方が進んでいる。それで電子技術や生産技術などは伊丹が指導した人たちを集めた方がいいという結論となり、相談を受けた伊丹は幾人か候補を挙げた。候補者は教えるが選択と説得はさくらの仕事だという。結局はさくらのプロジェクトなのだから。
もちろん公式にアポイントを取り更に養父の宮様の招聘状を携えての訪問である。最初はほとんどが身構えてしまう。とはいえ伊丹も幸子もさくらには内緒で予めお願いしていたから、説得するまでもなく同意を得た。
さくらチーム一同 (後に桜一座と呼ばれる)
![]() 本当はもっと専門分野が必要でしょうけど、多すぎるとお話がこんがらがるから少数精鋭でいきます。 オペレーションズ・リサーチチームの最初の仕事は既に中野から与えられていた。それはスペイン内戦での戦いから、まもなく起こるであろうノモンハンの戦いにおいて、アメリカ軍を圧倒的に勝たせるには戦術及び兵器をどうするかと言うことである。 ●
1929年11月● ● ● 政策研究所 ![]() オペレーションズ・リサーチの初会合である。 ともかく初回は顔合わせと、このプロジェクトの位置づけ役割などについて共通認識を持ってもらうことだ。メンバーはみな一家言ある人ばかりだから、簡単にはいかないだろう。 さくらはいささか緊張する。 テーマによっては全員出席する必要でないかもしれないし、検討に要する日数がいかほどになるのか、更に出た結論を担当部署例えば陸海軍あるいは工廠(軍の工場)その他に説明し実行状況を指導フォローする時間、移動方法など検討事項は多々ある。 ![]() さくらの説明が終わると、皆から質問が続出する。なにしろ今までに聞いたことのない技術というか考えだ。 ![]() | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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「私は機械部品の互換性とか寸法公差というものを研究してきた。そういうことで統計を使うことはあるが、中野様の説明された兵器の比較検討とか複数の要因があるときの寄与する割合などは考えたことがありません。この仕事には力不足と思います | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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「まず皆様にお願いしておきます。父は宮家の当主でも私は官位もなにもありません。この中で私は最若年ですから、さくらとお呼びください。様は不要です。 後堂提督閣下のお話ですが、この仕事は知識ではなく知恵を使って難題を解決していくものです。問題解決において常識と創造性があれば十分と思います。その結果、新しい手法や理屈が分かりいくつも論文が書けるでしょう、そう考えていただけませんか」 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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「いやはや、さくら様、いやさくらは楽天家だ」
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「私は電子回路は専門だが、戦車を比較してどちらが優れているかなんてわからないよ」
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「大丈夫です。一つの道を究めた人は他の仕事でも神髄が見えるのです。博士号は一つで十分、二つ取るのはバカといいます」
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「アハハハ、そう言われてしまうともう逃げようがないじゃないか」
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「アイデアはあっても実現できるかどうか、例えばね、敵より優れた戦車を作るには強いエンジンが必要という結論になっても、エンジンをつくるには固有技術がなければできません」
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「オペレーションズ・リサーチとは開発じゃありません。組み合わせとか使い方を変えて従来以上のことができないかと考えることです。 もちろん大きな馬力のエンジンを作るアイデアも出せると思います。自由奔放に頭の体操ができると思ったら楽しくありません?」 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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「アハハハ、さくらがそれでいいならいいけど、アウトプットは要求されるのだろう?」
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「まだ始まってもいないのに結果を心配しては始まりません。ともかくやってみて、それから考えてもよろしいじゃありませんか」
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「現代では問題を解くには微分方程式をたて、それを解くということが多い。だが現実には解く手段がない。まあ、ある程度見当付けて数字を入れてとなるわけだ…… このプロジェクトでは微分方程式を作りましたでは終われないだろう」 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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「湯沢先生、微分方程式の形になったものなら、それを解く計算機械があると申したらいかがですか」
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「ほう、そんなすばらしい手があるのか?」
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「説明してしまっては楽しみがないでしょう。これからご一緒にやりませんか」
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「よし、乗った。ぜひともそういう方法を見せて欲しい。 そしてうまく行くなら、自今以降その機械を使わせてもらえるのだな」 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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「工廠の仕事では統計計算などは専門部署にお願いしているのですが、ここでもそういう部署に依頼できるのですか?」
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「いえいえ、そんなまだるっこしいことをせず、私がすべて処理します」
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「へえ、堀川さんは計算を一手引き受けるのですか? 飛行機の場合は多くの変数をいろいろ変えて最善を求めることが多いのですが、そういったシミュレーションもできるのでしょうか?」
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「後堂提督閣下がおっしゃったように、工廠の仕事では過去よりほとんどの計算は計算機械でしています。矢野先生は大学にいらっしゃるのでご存じなかったのでしょう」
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「へえ!それができたら開発は倍のスピードになるよ」
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「ひとつお断りしておきますが、このチームの仕事は我国で最優先とみなされているから、私が直接使えるのです。先ほどの湯沢教授のお仕事も矢野助教授のお仕事も、最優先指定されていないなら、計算機械を使うことはできません。そこはご了解ください」
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「ちょっと提案がある。ここにいる人たちはみなそれなりだ。お互いに殿下、閣下、教授、博士と呼びあってもシャレにならない。ここはお互い「さん付け」で呼び合うことにしよう。湯沢さん、堀川さんでよろしいか? さくらは名前を呼び捨てというから、さくらと呼ばせてもらう」 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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「賛成です。ぜひそのようにいたしましょう」
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「それでは最初に私たちに与えられたテーマについて説明させていただきます。 現在、スペインは政府側とクーデター側に分かれて内戦状態なのをご存じでしょう。実際には、それぞれの勢力を外国が支援しています。政府側をソ連や各国の社会主義者が支援していて、ソ連は正規軍をそれ以外の国からは義勇兵が参戦しています。 一方、クーデター側をドイツとイタリアが支援していて、ドイツは陸海空の正規軍を派遣していますし、イタリアは陸軍の派遣と、地中海を航行する政府側への支援物資を積んだ輸送船に潜水艦攻撃をしています。 イギリス、フランスは内戦している双方に武器や食料を売ってお金儲けをしています。そんなわけで内戦は代理戦争の様を呈して収まる気配を見せません。 そしてまたスペイン内戦は列強の新兵器の実験場と化して、空ではソ連の飛行機とドイツの飛行機、地上ではソ連の戦車とドイツの戦車が戦っています。 さて本題ですが、私たちの最初の仕事は、ノモンハンでソ連とアメリカが戦うとき、戦車、飛行機、戦術をどうすべきかという対策案をまとめて、私の父経由で皇帝へ報告することです」 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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「はあ? なぜ我々がアメリカのことを心配するのですか?」
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「私の考えを話していいかな? アメリカが負ければソ連が満州を制する。そうするとソ連の次の侵略先は我国になる」
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「私も同意だ。ここはアメリカに踏ん張ってもらわないと。しかしスペイン内戦を見ていると、戦車でも飛行機でもソ連はドイツを凌いでいる。まずは飛行機かな?」
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「飛行機となれば私の専門だが、例えばだ、ソ連の戦闘機より優れたものといっても、エンジンから開発すれば何年もかかる、そんな回答で良いのか?」
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「現実に役に立たなければ回答になりません。スペイン内戦が拡大あるいは終結に関わらず、今から2年ないし3年で満州のノモンハンでソ連とアメリカが戦います。それに間に合わなくてはなりません」
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「さくらが2年とか3年と簡単に言うけど、それは信頼できるのか?」
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「私は国際政治が専門ですから信用していただきたいです」
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「なるほど……先ほどのさくら話から考えると、ソ連戦闘機と同じかそれ以上のものがなければ、戦い方とかあるいは直接対決を避ける戦法を考えるということだな」
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「仰る通り。やりがいがあるでしょう」
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「なるほど、趣旨は分かったが簡単ではないな」
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「ちょっと歯ごたえがありすぎます。解決をご存じなら説明いただけますか」
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![]() | ![]() 次に評価基準に関わる指標を定め収集します。収集といっても実際に調査測定もありますし、推定するとか代用特性とかになることもあるでしょう。 次のモデルというものを考えます。入力と出力が分かればプロセスが分からなくても良いとか、そこは工夫ですね。 問題に応じていくつかパターンはあると思いますが、問題対応で解法は異なるでしょう。 そのモデルにおいて指標を変えて結果の変化を見て、最適を見出すということです。実際にアイデアをまとめる段階ではみなさんにいろいろ発想してもらい、それを話し合うことになるでしょう」 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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「なるほど、そのときそれぞれのアイデアの効用を統計的に比較するのがワシの出番だな」
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「いえ、そういう計算は堀川さんが自動的にできる仕組みを作ります。ですから伍堂さんはご自身の専門に囚われず、思い付いたアイデアとかメリット・デメリットなどを発言していただきたいのです」
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「なかなか面白そうだ。ともかく課題を一つやってみなければわからんな」
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1929年12月● ● ● アメリカ 戦争省 ホッブス准将、ミラー大佐、石原が雑談している。 ![]() | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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「スペイン内戦も始まってもう半年か。しかし半年でもいろいろ変遷があるね。 最初はクーデター側よりも政府側が優勢でクーデター側が腰砕けかと思われたが、フランコ将軍が現れそしてドイツ軍の支援を受けて、あっという間に攻守逆転した。そのまま決まると思われたが、ソ連が本腰を入れて政府側を応援したのでクーデター側を押し戻している」 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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「ソ連軍の戦車も戦闘機もドイツより性能が良いそうですね」
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「まず飛行機だが、ドイツ側は布張りの複葉機だからね、前の大戦と代り映えしない。それに対してソ連軍は全金属性の低翼単葉機だし、しかもその数 数百とドイツ軍の数倍だから話にならんよ。 それから戦車だがドイツ軍戦車が20ミリ機関銃とか37ミリ砲に対して、ソ連軍の戦車は45ミリ砲だ。砲弾の威力は口径の3乗だから威力は2倍だ。ドイツ軍戦車はよほど良い条件でなければ勝てないね」 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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「まさに七面鳥撃ちですな」
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「とはいえそれもまたひっくり返されますよ。ドイツ軍は全金属性の戦闘機を投入するようです。既に移送の準備をしています。二三週間で実戦に投入されるでしょう」
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「ああ、我々もそれは把握している。メッサーシュミットBf109というそうだ」
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「まさに新兵器の実験場だな……そしてまた攻守交替か」
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「戦いを見ているとずいぶん参考になります」
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「確かに、10年前の欧州大戦とはもはや別次元だね。欧州大戦の戦車はもう使い物にならない。当時は37ミリ砲は各国の戦車の標準だった。ソ連が45ミリならこちらも45ミリあるいはそれ以上でないと……」
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「戦う以前に、仕様を比較しただけでもドイツ戦車はソ連戦車に完全に劣ってますね」
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使用国 | スペイン 政府軍 | スペイン クーデター側 | 欧州大戦時の標準 | |
製造国 | ソ連 | ドイツ | フランス | |
外観 | ![]() | ![]() | ![]() | ![]() |
型名 | BT-5 | T-26 | 2号戦車 | FT-17 |
生産開始 | 1933 | 1932 | 1936 | 1917 |
重量 | 11.5t | 9.4t | 8.9t | 6.5t |
主砲 | 45mm | 45mm | 20mm機関砲 | 37mm |
エンジン馬力 | 400PS | 90PS | 140PS | 39PS |
速度 | 装軌 52km/h 車輪 72km/h | 28km/h | 40km/h | 20km/h |
* 製造開始年は史実を示す。下表の飛行機も同じ。 | |
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「准将閣下、そりゃ良い戦車があればいいですが、我国には持ち合わせがありません |
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「開発するしかない。もちろんソ連の45ミリ砲を受けても大丈夫なものだ。 それから戦闘機だな。これも欧州大戦のレベルではだめだ。ドイツ軍は新開発といっても布張りの複葉機だ。全金属製の単葉機に対抗できない。そもそもスピードが違う。戦車と同じく戦闘機も欧州戦争の時とは次元が違う」 |
使用国 | スペイン 政府側 | スペイン クーデター側 | 欧州大戦時の標準 | ||
製造国 | ソ連 | ドイツ | イギリス | ||
外観 | ![]() | ![]() | ![]() | ![]() |
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型名 | I-15 | I-16 | He51 | Bf109B | ソッピース・スナイプ |
初飛行 | 1933 | 1933 | 1933 | 1935 | 1918 |
材質 | 複葉・布張り | 単葉・金属 | 複葉・布張り | 単葉・金属 | 複葉・布張り |
重量 | 1422kg | 1941kg | 1460kg | 3150kg | 917kg |
武装 | 7.7mm×2 | 7.7mm×2 20mm×2 | 7.9mm×2 | 12.7mm×2 | 7.7mm×2 |
エンジン馬力 | 700PS | 1100PS | 750PS | 680PS | 230PS |
速度 | 360km/h | 525km/h | 330km/h | 470km/h | 194km/h |
* メッサーシュミットBf109(Mf109と表記されることもある)を高性能と思っている人もいる。しかしBf109の初期型は最高速度が500キロ/時もでなかったし、
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「准将閣下、ノモンハンでの戦いがドクター石原の言う通り、2年後に起きるとしたら、どうしたもんでしょう」
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「それを考えるのが俺たちの仕事だろう。できないと言うなら満州かフィリビンで連隊長でもやってもらう」
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「さくらは今、ノモンハンでソ連とアメリカが戦った時、勝つための戦術を研究しているそうです」
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「へえ、そりゃ驚いた。でも我々は最新型戦闘機も戦車もないんだぜ」
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「さくらはその条件で勝つことを考えています。兵器が同じでも偵察とかコミュニケーションによって戦力は数倍になるという考えです」
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「ドクター、さくらに連絡を取ってくれ。大至急ここに来いって」
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注1 |
今回のお話を書くには下記を参考にした。(出版年順) 「空軍大戦略」リチャード・コリナー、早川書房、1969 「おはなしOR」森村英典、日本規格協会、1983 「OR事例集」日本オペレーションズ・リサーチ学会、日科技連、1983 「オペレーションズ・リサーチ入門」河原 靖、共立出版、1987 「世界一やさしい問題解決の授業」渡辺健介、ダイヤモンド社、2007 「入門オペレーションズ・リサーチ」松井泰子他、東海大学出版会、2008 「経営戦略全史」三谷宏治、ディスカヴァー・トゥエンティワン、2013 「新兵器・新戦術出現」三野正洋、光人社文庫、2016 「最適解の技術」鳥原隆志、すばる舎、2017 ![]() | |||
注2 |
日本においてもレーダー(陸軍では電波探知機、海軍では電波探信儀)の研究は1938年に始まり、1943年に実用化した。 ![]() | |||
パトリック・ブラケット 1948年ノーベル物理学賞受賞 ![]() | ||||
注4 |
尊敬するアイザック・アジモフの短編集「停滞空間」の中に「プロフェッション」というお話があります。 ![]() 主人公の少年はある職業(忘れました)に就きたいと夢を持ち、それに向かって努力します。やがて適性検査のときが来ました。ところが彼の検査結果は希望する職業はもちろん、他の職業に就く能力もないと判定されて精神薄弱者の施設に収容されてしまうのです。 彼は絶望します。しかし同室の年配の人からいろいろ教えられます。本を読んで勉強することが自分の世界を広げ新しい窓を開くことを・・・・おお、これはゲーテの言葉だ そして彼が勉強するということの価値を理解した時、知らされます。 『この世界は独創性を持って、新しいものを作り出す人を求めている。君はその能力をもつことを証明したのだ』と 実は同室の人は彼の教育係だったのです。 「停滞空間」アイザック・アジモフ・伊藤規夫訳、早川書房、1979 ![]() | |||
注5 |
相関係数とか寄与率はピアソンが考えたらしい。となると19世紀末には確立していたはずだ。 ![]() | |||
注6 |
ソ連はそれを基にBT-2戦車を開発し、改良を重ねてBT-5をスペイン内戦で実用試験をした。その後BT-7まで改良し第二次世界大戦を通じて使われた。総生産台数は7000台を超える。その後これはソ連戦車の基本設計となった。 ![]() |