図表1の日本の認証件数のグラフは、いつも私が出している日本の認証件数の図表2のグラフと違います。
というのは理由があります。図表2はJAB認定の数字です。ISOサーベーの認証件数にはJAB認定だけでなく、外国の認定を受けている認証機関から認証を受けている会社、認定を受けていない認証機関に認証を受けている会社、そして認定を受けている認証機関が認定がいらない会社を認証したなどを含めた数字なのです。
そのためISOサーベーの方がISO9001では15,000件、ISO14001では8,000件ほど多くなっています。3割も違うと驚くことはありません。ノンジャブも結構シエアがあるのが現実です。
3割を占めるノンジャブがJAB認定を受ければJABの売り上げは3割アップですか、よだれが出そうですね。でもノンジャブが継続的にビジネスを展開しているということは、世の中の現実は認定が必要でないのかもしれません。だから積極的に認定を受けていない認証機関に依頼しているという可能性もあります。なにせ認定を受けるとJABそしてIAFに上納金を収めなければならず、企業が払う審査料金は高くなるわけです。
おっと、ノンジャブの方が、まっとうな審査を(以下略)
ともかく図表1を眺めると、世界全体でISO9001は伸び悩みであっても減少はしておらず、ISO14001はまだまだ一直線に増加しているようです。
ともかく世界全体ではISO認証は増えているようです。ヨカッタヨカッタとパレアナ
(注3)ならば喜びそうです。
ところで外国というのは自分の国以外を言います。この定義は英語でも同じです。
ですから外国にはアメリカとかEU諸国だけでなく、韓国も北朝鮮も入ります。それではISOサーベーの中身を見てみなければなりません。
実を言って分析するまでもありません。中国とそれ以外に分けてしまえばおしまいです。
「ひとめあなたに」は荒井素子、上の図をみれば
「ひとめであなたも」ひらめいたでしょう。
そうです、世界中でISO認証が増えているのではなく、中国だけISO認証が増えているのです。中国を除くとISO9001の方は2010年をピークに減少しているように見えます。ISO14001は2016年くらいがピークになるのかどうか、まだ予断はできません。しかし図表1から受けたイメージはイケイケドンドンの柔道一直線でしたが、それとは大きく違いますね。
グラフでは細かくて分かりにくいですから関係する数字だけ示しますと、
2016年から2017年への増減
| 中国以外 | 中国 |
ISO9001 | -89,810 | +42,377 |
ISO14001 | -11,972 | +28,435 |

2017年の全世界のISO認証件数のISO9001ではその37%は中国、そしてISO14001では46%が中国。そしてISO9001は年率6%、ISO14001は4%シエアを増しているのです。
この分だと
あと2年でISO認証の過半数は中国が占める でしょう。

どういうことか分かりますか?

ケンシロウではないけど、
中国を除いてISO認証はもう終わっているのです。

ISO認証は、中国の中国による中国のためのもののようです。
アメリカを真似しろとか、フランスを真似しろという方は多いかもしれませんが、周回遅れの中国を真似することはありませんでしょう。
いや既に日本はISO先進国イギリスを真似しているから認証件数が減っているのです。
真似ではなく製品ライフサイクルが衰退期なのでしょう

もし御社がまだISO認証していてその効果が見えてないなら、即刻 認証返上するのが良さそうです。というか、いまだに認証を続けているのが信じられない。無駄は省けと大野耐一さんも唐津一さんも言ってますよ。
私が嘘をついているかもしれませんから、元データでご確認くださいね、
元データ:ISO Survey of certifications to management system standards - Full results

本日思い出したこと
もう1年か2年前になりますが、私がISOサーベーの数字を基に作ったグラフをウェブに載せたら、お前のグラフは
「うそ800」以外では見かけない。だからお前は嘘つきだ、信用できないと罵詈雑言のメールを何度も送って来た方がいました。
そうなんですよ、ISO関係者はきれいなというか、自分たちに都合の良いものしか公にしていません。ISOサーベーの元データから、グラフを書いたり考えたりする人はあまりいないようです。
私に文句を言うのは、まずは
ISOのウェブサイトにアクセスして多数のエクセルファイルをダウンロードして(もちろん無料ですよ)、それらの数字を比較したりグラフにして考えてからにしてください。
元データを示しているのですから、そこから演繹される結果にイチャモンを付けるのは困ります。
注1 | |
電取とは電気用品取締法の略、今は電気用品安全法と変わった。名前が変わっただけでなく規制緩和の大改正であった。
|
注2 | |
ULの安全確認には指定寸法の鉄球を糸で吊るして一定の位置まで持ち上げて手を放して当てたり、指の形をした器具で危険個所に触らないかとか、切断面で傷がつかないかとかさまざまな試験がある。
最初はそういうプローブの図面をみて自分たちで加工して作ってみたが、後でUL指定の検査器具でなければダメというのを知った。それがまたべらぼうな値段がした。なもの中小企業では買えませんよ。
|
注3 | |
どうでもいいことですが興味があれば下記を読むこと。
「少女パレアナ」エレナ・ポーター、村岡花子訳、角川文庫、1981
|
うそ800の目次にもどる