あなたは、犬を飼うべきですか?
(1)

優良家庭犬普及協会理事
NADOI前会長
AFSAnimal Fanciers' School)校長
テリー・ライアン


CONTENTS

はじめに
どんな犬を選ぶのか


家に連れて来るための準備




はじめに

 犬程いい伴侶はいませんが、飼い主との相性も考えてみて下さい。犬は社会的な生き物で、猫や鳥などのペットと比べ、手がかかります。まず自分自身の事を考えてみて下さい。家をあける時間が長いか、異常なきれい好きか、犬が鼻でこすったガラスの汚れや、カーペットについた毛を我慢出来るか。そして犬の運動の為に庭にフェンスをつけ、時間が来たらトイレに出してやれるか、又リードをつけて散歩に連れて行き、排泄の後始末をきちんと出来るか。

 こんな事を考えた上で、犬が最良のペットだと思ったら、次に家族構成と生活様式、そしてそこで犬がどんな役割を果たすのかも考えてみます。活動的な子供のペットなのか、じっとしている事の多い大人の伴侶なのか。犬に長時間お留守番させなければならないのか。自分の家に一番ふさわしい犬を選ぶための家族会議を開いて下さい。

テレビCM等をみて、犬をファッションと考える人もいれば、有名なTVスターと思う人もいます。なかには、犬をデコレーションや子供のおもちゃとみなす人もいます。犬が年をとってヨボヨボして、可愛らしさを失ったとしても、天寿をまっとうするまで面倒を見て、共に心豊かな生活をするという心構えで犬を選んで下さい。

[CONTENTS]


どんな犬を選ぶのか

 犬には色々な容姿、サイズ、性格があります。家族構成と生活様式に最も合った犬を選びましょう。

         

ピユアプレツド(純血種の犬)

 純血種のいい所は、各犬種にスタンダードがあることで、どんな犬になるのか予想が出来ることです。しかし実際には、なかなか予想通りには行きませんが・・。各犬種の中でも広範囲の特性があるのです。

 ほとんどの犬種は、特定の目的の為に作られていますから、信用のおける犬種図鑑等を読んでその犬種について勉強して下さい。(陰の声:佐良直美「テリー・ライアンさんに問い合わせるのが一番いいと思います。」)犬の“容姿”ではなく何の為に犬を飼うのかという“目的”、そしてその目的を達する可能性の高い犬種を選んで下さい。一日12時間も走る為に作られた犬と都会のマンションで暮らしたいと思う人はいますか? 犬種を決めたら、次に自分の目で確かめ、飼っている人がいたら訪ねてみて下さい。

        

ミックスブリード(雑種)

 ミックスにはスタンダードがないので、特に仔犬については、その仔犬と親犬について出来るだけ調べる事が大切です。身体や性格の特徴は遺伝するものが多いからです。しかし、それらの事が全く解らなくても家族の一員としてふさわしい仔犬を選ぶ方法もありますのでそれは後で書きます。ミックスを選ぶのは良いことです。優秀なペットの中にはミックスもいるのです。

        

ブリーダーから入手すべきか

 良い獣医さんに相談して、犬種のスタンダードと大種の遺伝的な問題に知識のあるブリーダーを紹介してもらいます。そしてプリーダーから大種の資料をもらいましょう。良心的なブリーダーとただ売る為に生ませている人とは違います。個人で犬を売る広告を出しているのも見かけますが、注意をして下さい。その人が心身共に健康な動物に対する知識があるのかどうか、見極めて下さい。

         

保護施設からもらってくる

 シェルター(保護施設)には、自分にピッタリの里親が現れるのを待っている素敵なミックスやピュアブレッドがいっぱいいます。成犬を欲しいと考えている人は、その犬がシェルターに来た理由を調べて下さい。お行儀が悪いからなのか? 何らかの問題付きのまま飼い始めてもいいのか?

 不要犬とされてしまった犬が増え続ける現状は、日本だけではなく数多くの国で大きな問題となっています。ホームレスドックを引き取る事は社会への貢献です。犬は一生恩を忘れません。里子となった犬も幸せですが、その犬から何年も忠誠をつくされる里親の方がもっと幸せといえるのかも知れません。

         

ペットショップから買う場合

 仔犬に必要な事項や、どんな家族がその犬に合っているのか解っている良い店があれば最高です。しかし、犬の事は勿論その犬の飼い主になる人について充分に考えていない店もあります。信用のおける獣医さんから推薦してもらえればいいのですが−。あまりにも幼いうちに仔犬を仕入れてしまう為、肉体的にも精神的にもまともに成長していない犬を売っている店もあります。そんな欠点は、犬が成長しないと解らない場合もあります。パピーミル*から仕入れられた犬は、劣悪な状態に置かれていることが多い為、ショップに来た後も適切な社交性がない場合もあります。なかには、隔離された小さなケージで飼育されて、犬や人との交流を持たないまま売られている犬もいます。

※鶏の様に仔犬を産ませるだけの悪質な繁殖家。いわゆるパピー工場。

         

性格テストは?

 一番重要な点は、選んだ犬と今後十数年、ずっと一緒に楽しく生活を送ることが出来るかどうかです。

 選んだ犬がとても自信過多で、押しが強く、支配力のあふれた子でしたら(通常考えられている、遊び好きでとても可愛らしい大にこの様なタイプが多いのです!)、その子に合ったトレーニングをして、飼い主がり−ダーシップを取れるようにしておかなければなりません。そうでなければその子と今後の生活さえも難しくなってしまいます。

 また内気で臆病な犬は、なんとか飼い主に家へ連れていって欲しいと心に訴えるような行動をとります。この様な犬もまた特別なケアとトレーニングが必要となります。飼い主はこのタイプの犬は"忠実”になると思いがちですが、実は家で一人でお留守番が出来ないとか、人見知りをする等の問題を起こす自信のない犬なのです。

 これら両者の中間の性格の大が最も良いペットとなります。

         

天性(氏)と育ち

 犬は生まれ持った性格があります「天性」(氏)。そして飼い主の元での環境やトレーニングはそんな素質に大きな影響を及ぼします「育ち」。 トレーニングの影響力は良くも悪くもさまざまですので、出来るだけ自分に一番合った犬を初めに選ぶのがいいでしょう。

ある種の行動で犬の性格や今後の訓練性能が解るとされています。犬を新しい環境に置き、色々な反応を視ることでわかります。(私が最もよく使うテストを後記しました。)

[CONTENTS]


家に連れて来るための準備

        

新しい犬、新しい名前

 その犬が家に来たときに既に名前がっいていたとしても、新しい名前をつけた方が良い場合もあります。特に自分の名前に悪い印象を持っている場合は重要です。「ポチ、駄目じゃないの!」ピシッ! 「ポチ、バカ!」と以前に経験しているかもしれません。何度もこういったことが続くと、ポチと呼ぶ人の事は二度と信用しないでしょう。

        

犬に関する法律を学ぶ

 地域の動物条例のコピーをもらいましょう。畜犬登録の方法、狂犬病の予防注射、係留の義務等が書いてあります。

        

安全を考える

 犬をどの様に安全に運動させるかを考えましょう。リードをつけずに広いところで思いきり走らせるのは大変危険な事です。庭をフェンスで囲んだり。ほぼ100%安全に運動させられる場所を探したり、散歩も他人の迷惑にならない様にしたり、飼い主の責任は重大です。

        

ハウストレーニングを考える

 家が泥で汚れる事が犬を嫌いになる主な理由です。ハウストレーニング゛の計画をし、犬が来る前に家族全員が理解している事が大切です。成犬の場合も初めからトイレの場所をわかっているとも限りません。はじめは必ず仔犬と同じように教えてあげましょう。犬が“来る前”に最良のハウストレーニングの方法を知識のある人にアドバイスを受けるのがいいでしょう。

※ハウストレーニングとは:家の中でのルールを犬に教えること。

 例:トイレの場所、寝る場所、ケージトレーニング、入ってはいけない場所、

   家に入る前には足を拭くこと、噛んでいい物といけない物等

        

犬を迎える

 犬にとって魅力的で危険な物はないかよく調べてみて下さい。子供のおもちゃやゴミ箱は犬の届かない所に置きましょう。電気のコードは束ねて家具の後ろに隠Lましょう。靴やスリッパは棚の上に置きましょう。観葉植物のツタが床まで垂れ下がっているのは大変きれいでしょうが、中には毒のある物もあります。高価な置物を元気な仔犬が跳ね回っている所に飾って置く必要があるでしょうか? 大を迎える前にこんな気配りも忘れずに。

       

犬が来る前に必需品をそろえましょう 

 もちろんまずフード、出来るだけ今までの物からいきなり変えないようにしましょう。しかし、最も大切な物はケージ(クレート)です。犬が安心して眠れるスペースを確保してあげるという事と、これはハウストレーニングにもなります。ペットの専門家(獣医師、トレーナー、ペットショプのオーナー等)にケージの使い方を教わりましょう。もし室内トイレを教えるのでしたら、ペットシーツや失敗をした時の為の消臭剤が必要です。そしてもちろん牛の爪等の固いガムとか、首輪とリードはなくてはなりません。

犬がスムーズに溶け込み、これからずっと楽しく過ごせる様にするための気配りや計画が必要です。


[CONTENTS]

あなたは、犬を飼うべきですか(2)へ続く

優良家庭犬普及協会広報誌 「OHワンダフル」第3号(25.March.1996) に掲載
禁無断転載


[続き(2)] [OHワンダフルライブラリ] [優良家庭犬普及協会] [AFC] [AFS]