あなたは、犬を飼うべきですか? (2) 優良家庭犬普及協会理事 NADOI前会長 AFS(Animal Fanciers' School)校長 テリー・ライアン |
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選考テスト |
ここで紹介する二つのテストはトレーニングしやすく、良いコンパニオンドックを選ぶ為に作られたものです。
そのような大には以下の様な要素があります。
スポーツ競技やその他特別な目的の為の犬を選ぶ場合は、このペット基準とは合わないかもしれません。
テストの間、犬は様々な反応をするでしょう。以下、優良家庭犬選びのテスト項目を配列してみました。飼い主自身で判断されるか、或いは経験豊かな犬好きの人に判断してもらいましょう。
以下は7週齢から12週齢の仔大に適用する簡単な10項目のテストです。 7週齢以下の仔犬には早すぎます。 12週齢以上の仔犬は、それまでの様々な経験の影響でナチュラルな反応を示さなくなっていますので、成犬としての別項目のテストを行います。
気の散らない場所で一頭ずつテストして下さい。
いつも仔犬の世話をしている人にテストを行う場所の真ん中にその仔犬を置いてもらいます。歩いていき、床に座り、何もせず、何も言わず、仔犬を全く無視します。ここで自然に人に興味を持ち、一緒にいる事が好きな仔犬を選びます。
2,ついて来る(社交性テスト)
仔犬があなたのことを見ているのを確認してから、ジェスチャーや音で励ますようにしながら立ち上がったり、後ろにさがったりします。全く無関心だったり、臆病な仔犬は良いペットにはなりません。
3.獲物を追いかける本能
ぬいぐるみや布切れの様なふわふわした物に糸をつけ、仔犬から2m程離れた所でひらひらと動かします。ぬいぐるみを引きずって、床の上を逃げるネズミの様に動かせてみて下さい。物を追う仔犬は誘発的にトレーニングしやすいのです。しかし、動物や子供、動く物に過剰に刺激をされやすい要素も持っています。この様な仔犬はものすごく良いか、或いはトレーニング次第となって来ます。吠える犬になることも考えられます。家族のライフスタイルや犬を飼う目的を良く考えたうえで、このテストの採点をして下さい。
4.仔犬を持ち上げる(服従心)
仔犬をそっと床の上に立たせます。肋骨の下に両手を入れ、ほんの少し犬の四肢が床から離れるぐらい(約5cm)上へ持ち上げ、仔犬には何も話しかけたりせず、10秒間その状態でいて下さい。自分を持ち上げている者(支配者)に対してどの様な反応をするかを見ます。
5.仰向けにする(服従心)
優しく仔犬を仰向けにし、10秒間軽く肋骨のあたりを手で押さえます。この時仔大の目を見て下さい(アイコンタクトをする)。きちんと人に服従できるかを見ます。
(このテストの後、30〜60秒間優しく声をかけたり、なでたりして仔犬を休ませて下さい)。
6.リトリープ(物を持つ)
やわらかいボールか丸めた靴下を用意し、仔犬がそれを見たのを確認してから1m程先に投げます。本能的にそれをリトり―ブする様な仔犬は、トレーニングにおいて優等生候補、また今後リーダーとなる飼い主と喜んで色々な事をする子になります(投げた物をくわえた時、飼い主の所に戻って来る様に声をかけながら誘導してもがまいません)。何年もアメリカでは、盲導犬の訓練性能の判断にこのテストを使っています。
7.抱く(人間べつたり?)
仔犬を両手で抱えます。そして優しく顔に近づけましょう。仔犬は人になつく素振りをするでしょうか
8.音に対する反応
仔犬の気がそれている時に、約3m後ろで本を落とします。音に対して過剰に反応する仔犬は、おびえたり、トレーニングにおいても気が散りやすくなります。又それだけでなく、よく吠える犬にもなり易いです(聴覚障害がないか気をつけて下さい)。
9.視覚に対する反応
仔犬の前、3m程離れた所でタオルを振りまわす。突然の視覚的刺激に過剰に反応する仔犬は、経験の少ない飼い主には難しいでしょうし、又よく吠える犬にもなり易いです。
10,誘発的におすわり(モーティベータ−*を使用)-仔犬の気を引き、集中 するかどうか
色々なモーティベーター(ボール、フード、音の出るおもちゃ)を用意します。まずそのモーティベーターに仔犬が集中できるかどうかを見ます。そして、そのモーティベーターをゆっくりと仔犬の頭上の方へ持って行き、更に少し仔犬の後ろへ動かします。モーティベーターを追って仔犬のおしりが下がり、おすわりになるはずです。こういう仔犬は、トレーニングしやすいタイプです。
* モーティベーターとは、犬の好きな食べ物やおもちゃ等のごほうびの事です。
■ペットの専門家の意見を聞きましょう
テストの結果だけで犬を決めたり、断ったりしないて下さい。大学の入学試験やIQテストでも、完璧に出来ているわけではありません。ここで紹介したテストは、特に害になるわけではなく、色々な基本的要素がわかるのです。それに犬とこんな遊びをするのは楽しいじゃありませんか! この様な仔犬選び、成犬選びのテスト以上に重要なのは、知識のある“ドッグパーソン”(犬に詳しい人)の意見を参考にする事です。良心的なブリーダーやシェルターの管理者、ペットショップのオーナーは、その犬に合った家族と生活環境の所へ犬が行く事を願っています。なかには、犬がどこへ行こうと関心がなく、とにかく仔犬をなんとかさばいてしまうことだけを考えている人もいます。
健康な仔犬はふっくらとしていて機敏ですが、太鼓腹ではありません。目や鼻から異常な分泌物が出ていないこと。コート(毛)は輝いていて、部分的にハゲていたりしていません。仔犬が健康な状態であったとしても、良心的なブリーダー、シェルター、ペットショップのオーナーは、仔犬が新しい家に行って2〜3日の内に獣医に診てもらうよう薦めるでしょう。
その犬の過去の情報をできるだけ集めましょう。今まで面倒を見ていた人に次の様な事を聞いてみます。手放す理由、年令、性別、健康状態、避妊/去勢手術の有無、犬種、家族以外の人が好きか、子供、犬、猫に対してどんな反応を示すか、お留守番が出来るか、その犬は異常に吠えないか、ハウストレーニングができているか、また今までどんな命令に従うか。その犬の長所と短所を知ることで、より良い関係を作り上げられます。
その犬の過去の詳細が得られない時は、試験的にしばらく家で飼ってみるのもいいです。但し、新しい環境での最初の数日間は、犬の本当の性格は見ることができないことを頭に入れておいて下さい。
このテストを行う場合、犬が逃げ出せない安全で広い場所(部屋、庭等)でリードをつけないで行います。
犬を管理している人(以下管理者と書きます)に、テスト1と2をしてもらいます。
管理者に、櫛やブラシで犬の全身をグルーミングしてもらいます。大の後趾、尻尾の下、両耳に触り、四趾を一本ずつ持ち上げたり、口を開けさせたりします。
2.落ち着き
管理者が突然犬の前に立つ。真正面から犬の目を見る(脅かす様なやり方ではなく)。
3.犬に近づく
犬のところに歩いて行き挨拶する。
4.コンタクト
テスト1で“良い”か”普通”でしたら、立ち止まり、手をさしのべ、頭の横の方をパタパタと愛撫する。
5.社交性
手を引っ込め、犬に背を向け数歩あるき去ります。犬の方を振り返らず止まります。犬が「行っちゃ嫌」とか「もっと撫でろ」とか注意を引こうとする素振りを見せるかを観察します。このテストの優劣は、あなたが決めて下さい。社交性のある犬は良いですが、分離不安のある犬はお留守番が出来ない等、後になって問題が出て来ます。
6,持って来い(リトリーブ)のテスト
これはパピーテストと同じです。犬にボールを見せ、3m程先に投げます。本能的にボールを追いかけ、持って帰ってくれば、訓練性能も高く、良いコンパニオンになる可能性の高い犬です。
7,音に対する反応
このテストもパピーテストと同様です。犬に気付かれないようにして、大から約3m離れた所で本を床に落とします。音に過敏な犬はおびえたり、気が散り易かったり、訓練しにくいだけてなく、吠える様になる恐れがあります。又このテストで難聴等の聴覚障害がないかどうかも判断します。
8,視覚に対する反応
これもパピーテストと同じです。犬の前、3m程離れた所でタオルを振ります。突然の視覚的刺激に過剰に反応する犬は、経験の少ない飼い主には難しいてしょうし。又よく吠える犬にもなり易いです。
9.誘発的におすわり(モーティベーターを使用)
色々なモーティベーター(ボール、フード、音の出るおもちゃ)を用意します。まずそのモーティベーターに大が集中できるかを見ます。そして、そのモーティベーターをゆっくりと犬の頭上の方へ持って行き、更に少し犬の後ろへ動かします。モーティベーターを追って犬のおしりが下がり、おすわりになるはずです。こういう犬は、トレーニングしやすいタイプです。
1 0. 誘発的にふせ(モーティベーターを使用)
モーティベーターで犬の注意を右手に集中させ、その手を突然床に下ろし、ふせをさせます。背の低い家具(椅子等下に空洞のある物)を利用することも可能です。その家具の反対側からご褒美を見せ、犬がそれを得るために必然的にふせの低い姿勢をとります。床に足を投げ出して、片膝を立て、その下を通すことも出来ます。ここでついやってしまいがちですが、犬の身体に触ってふせをさせてはいけません。その犬が喜んで服従できるかを見たいのです。
仔犬であれ成犬であれ一度選んだら、あとは飼い主次第です。犬の性格は、遺伝(氏)と環境(育ち)の両方から造られるものです。最初は「氏」後は「育ち」です。盆栽は悪い方向に育ち始める前に手を加えます。犬も同じです。可愛がって、躾をして、犬との生活をエンジョイしましょう。
優良家庭犬普及協会広報誌 「OHワンダフル」第3号(25.March.1996) に掲載
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