ART織田の

週末画廊日記


11月12日版

11月12日

田村真理子さんの個展に行きました.私は心を入れ替えました.


田村さんの個展は大変盛況だった.最初は沢山の人だかりで作品を落ち着いてみれなかったが, 次第に全体像が見えてきた.
タイトルには「惑−2001」とあったせいもあって,私にはそのふじつぼのような,うみうしの ような海洋生物の形をした立体作品が私を魅惑しているように思えた.「くねくね」と体をくねらせ ながら,私に色目を使っているように思えたりもした.
時間が経って,やっと作家の田村さんと話ができるようになったので,私は思い切ってこう聞いた.
「タイトルの惑わすですが,惑わすにもいろいろありますよね」
「そうですね.この作品は,例えば女が男をまどわすと言うのではなく,戸惑うという意味で作りました」
私は一瞬固まって.「はずしたぜ」と思った.11月9日の日記の如く,私の感性はいまや大湿地帯 状態にある.私はまたやってしまったのだ.無論,現代美術はどう見るのも自由なのだが,私にとっては はずしすぎである.
私は心のイジェクトボタンを押して,心を入れ替えた.私の心はカートリッジタイプだったのだ.
ちなみに,タイトルやキャプションを考えずに作品に接する事にした.
すると,この作品の存在感,血の通ったような,リアルな,生きているような存在が伝わってきたような 気がした.その「形」が私に存在を伝えてきたのだった.
少しは私にも美術の見方がわかったのかもしれない

余談になるが,今日,現代作家の山中理恵さんに出くわした.山中さんは,その細腕からは思いも よらないダイナミックな作品を作る人で,私の好きな作家の一人である.また,彼女は私同様「カフカ好き」 のひとであった.一般の家庭で巨大な作品を作る彼女は「家の中での存在はザムザ虫のよう」との 事だったが,私のような隠れファン(隠れるなよ)がけっこういるので,ぜひとも今後とも頑張って 欲しいものである.陰ながら(影になるなよ)応援しております>山中


日記のページへ
ページ先頭へ
前の日記へ
次の日記へ