ART織田の


週末画廊日記


5月9日

北島ルリ子@貘を見る。崩壊の気持ち良さ。

個展のタイトルは「とけあって」。日頃乳化剤(界面活性剤)などを取り扱う私的には妙な好奇心を刺激されるタイトルです。
ちなみに、多くのものには界面と言うものがあります。水と油、水と空気、細胞の1つ1つ、これらは界面によって区切られています。それで乳化剤というものは、この界面を別の形に変える事で、乳化安定させるものです。例えば、牛乳。これは水の中に油が小さな泡(ミセル)として存在します。実際、ミセルと水の間には界面が存在するわけですが、それがすごく小さいため肉眼では溶け合っているようにみえるわけです。ではそのミセルを物理的に崩壊させるとどうなるか。牛乳は乳脂肪+不溶性タンパクと上澄みに分離して行きます。これを解乳化(かいにゅうか)といい、これはバターの製法です。で、私何が言いたいのでしょうか?ギャグも入ってないし。
乳化という視点では「とけあって」とは、極小のミセル形成と均一分散です。別の意味では大きな界面の崩壊とも言えるでしょう。「あ〜、こわれていく〜ヽ(´o`;)ノ」何となく気持ち良いけど、一方で寂しく不安。そんな印象の絵でした。心に壁を作るタイプなのよね、私って。でも、も一っ回みたい、実は少しずつ溶けていってるんじゃないか、そんな後を引く絵でした。


DMより転載


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